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「5,000円」の”センス”


 「5,000円」である。

 政府・与党は、受給額が減る年金生活者約2,600万人にに5,000円を支給する必要があるとして岸田首相に申し入れしたとのことである。

 素人が聞いても呆れるような話だが、案の定、ツイッター界隈では「よくやった!」という声は皆無に等しい。


(twitter https://twitter.com/hirox246/status/1503723995203764227より引用)

 

(ツイッター https://twitter.com/lullymiura/status/1504002098022653956より引用)


 この政策の是非はさておき、金額の5,000円のインパクトである。

 記事の通り令和4年4月から0.4%国民年金の給付額が下げられるとすると、令和3年度の国民年金の老齢基礎年金の年額780,900円から令和4年度の想定年額777,477円の差額分3,423円が、支給額「5,000円」の根拠と思える。


 この「5,000円」、ツイッター界隈から寄せられる批判は次のようなものに集約される。

 「高齢者にいくら優遇すれば気が済むの?」

 「財源を負担するのは現役世代」

 「シルバー社会主義国日本」

 「選挙対策のバラマキの意味だけしかない」
 
 
 つまり、今回の給付金5,000円は「選挙対策としての現役世代に将来の負担をさせてもシルバー世代を優遇する」ものであり、『世代間の分断をより進める』愚策といっていい。


 一方で、優遇されるはずの「シルバー世代」にしてみても、「5,000円って(笑)」と思うような方も一定層いるであろう。

 「5,000円」という金額は、子育て世代に昨年給付された「10万円」に比べたらインパクトは全くない。
 あの時も、「なぜ子育て世代だけに給付するんだ」とか「単身者だって苦しい生活を強いられている」とかいう”もらえない側からのバックラッシュ”
がツイッター界を賑わしたが、今回はもらえない側もさることながら、もらう方からも「これっぽっち?」「なんの意味があるの?」「生活費の足しににもならん」という声が聞こえやしないか。


 SNSで自由に発言ができ、政治家も評論家も素人も同じ土俵で討論できるこの時代において、政治家は政策もさることながらマーケティングの「センス」も問われる(もちろんSNSがすべての国民の声と見誤る昨年の衆議院議員選挙の野党の失敗も教訓としなければならないが・・・)。

 そういった意味で今回の「薄っぺらい紙切れ1枚で頬っぺたをひっぱたこうとする」政府・与党の”センス”は最悪だ。
 
 与党は「改革政党」として若者に支持を受け、近年の選挙を勝ち続けてきた。
 野党は「シルバー世代」の既得権を守ろうと固執して、支持を失ってきた。
 
 その与党が「シルバー世代の選挙対策」として打ち出した今回の給付金は、もしかしたら7月の参議院議員選挙に大きな影響を与えるかもしれない。それはもちろん与党にとって「負」の影響である。

 高齢者の支持を広げようとして若者ばかりでなく、働き盛り世代の支持も失う可能性もないとはいえない。高齢者層に対しても、たった5,000円ぽっちの給付金で支持を拡大できるとも思えない。

 風雲急を告げるきっかけとなるかもしれない「給付金騒動」である。


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