既得権の放棄
ダウンタウンの松本人志氏がこんな話をしていたらしい。
(twitter https://twitter.com/EMNAME4/status/1492677406670618625より引用)
松本人志氏の好き嫌いはともかくとして、インフルエンサーである彼が、「新型コロナウイルス感染症をインフルエンザと同じ5類にすべき」とテレビ番組で話したことは、大きな意味を持つ。
ちなみに、現在の新型コロナウイルス感染症は、「感染症法」の中の「新型インフルエンザ等感染症」とされており、入院勧告や外出自粛要請など強い措置が可能で、医療費も公費負担という、感染症法上の1~2類感染症相当の強制力のある感染症に位置づけられている。
これを5類とする場合、「感染症法上の5類」とするか、「新型インフルエンザ等感染症のまま5類相当」とするかの議論はあるものの、規制を弱めることによって、無症状者を隔離せず、ある程度の感染拡大を容認しながら、経済を回していくことが可能になる。
一方で、新型コロナウイルスに感染した場合、現在は全額公費負担で治療を受けることができるが、5類もしくは5類相当となった場合、医療にかかる費用は、医療保険による公費負担はあるものの、一部は私費で負担しなければならず、入院が長期化した場合など医療費が高額になることが予想される。
その折衷案として、5類もしくは5類相当のまま、医療費は公費負担にするなどの対策が考えられる。
しかし、医師会等の利権がからんでいるのかどうかわからないが、岸田内閣は今のところ5類への移行は慎重であるといわれている。
松本人志氏の発言により、5類へ移行することのメリット、デメリットをマスコミ等において議論するのは、歓迎すべきことと思う。
もう一つ、彼の発言で気になったのが、「おじいちゃんおばあちゃんから声が上がれば政治家は動く。日本に金のなる木も打ち出の小槌があるわけでもない。絶対、孫やひ孫に物凄い増税かかってきますから」の部分。
言っていることはおそらく間違っていない。
令和2年度に限っても、77兆のコロナ対策費が国から支出されている。国民ひとりあたりに換算すると60万円強の金額。
その多くが、コロナで休業したり、業績が悪化したりした企業や個人事業主などに配られた。
未曽有の災害を引き起こした「東日本大震災」の復興予算ですら、32兆。
復興予算と比較しても、あまりにも莫大な金額が、コロナ対策にあてられた。
その費用は誰が負担するのか?
増税するのか、それとも社会保障費を削減するのかはわからないが、間違いなく、今の現役高齢者世代ではなく、今の働き盛り世代や若者、子ども、その先の世代に負担させることになる。
これはコロナに限らない。
高齢化、多様化する社会を包摂的に対応すれば、社会保障費が拡大する。
その社会保障を年金や公費医療という形で一番享受している世代が、次の世代に負担を押し付けている。
じかしながら、票田である高齢者世代を逆なでするので、社会保障費の削減や増税など将来の日本を考えれば当たり前の政策を誰もやろうとしない。
こうして借金は確実に増えていく。
松本人志氏が言うように、じいちゃんばあちゃんが声を上げれば・・・と期待したいが、既得権を自ら手放すマネはしないだろう。
それでも、既得権を放棄することが、将来の負担を減らすということをわかってもらうだけでも、議論する価値がある。
高齢者の不安を解消するためだけに、将来の借金が膨らんでいくことが本当にいいのか?
僕らは真剣に議論しなければならない。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?