【われに五月を!】
二十才 僕は五月に誕生した
僕は木の葉をふみ若い樹木たちをよんでみる
いまこそ時 僕は僕の季節の入口で
はにかみながら鳥たちへ
手をあげてみる
二十才 僕は五月に誕生した
(寺山修司著『われに五月を』「五月の詩・序詞」一部抜粋)
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「職業は寺山修司」
衒いでも何でもなく、そうとしか答えようがなかっただろう多才の人が、瀕死の重病から生還した22歳のときに刊行された処女作である。
彼は私と同じ5月に生まれ、そして47歳で5月に逝った。
あの彼なら、自分の死期をも演出しかねない。
そう苦笑したくなるような彼の伏し目がちな表情に隠されたいたずらっぽさが、私は好きだ。
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そうだ、5月だ。
私が一番好きな誕生月、青嵐の季節が始まる。
かといって、このチェンマイでは今月半ばから本格的な雨季が始まり、日本のような豪快な青嵐に包まれることはない。
だが、降るのはたいてい午後における短時間のスコールだから、雨雲との付き合い方を覚えさえすれば、だ。
雨に洗われた爽快な青空と白い雲と山際にしつこく居残る灰色雲とが彩なす、天然自然のグラデーション模様を楽しむことができる。
やや湿気を含むひんやりした風を突っ切ってのバイク・ツーリングが「今日も晴れる」と分かり切っている乾暑季とは異なり。
いつ降るかもしれない気まぐれな豪雨との駆け引きを含むだけに、より満ち足りたものになることは言うまでもないだろう。
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われに五月を!
多少の気がかりといえば・・・。
4月10日発令の「酒類販売全面禁止令」が昨日、買い足し猶予期間も無く突如1ヶ月延長されたがために、いささかの節酒を心がけねばならぬという点だけである。
いやはや、何たる能天気な日常。
「職業はクンター吉田」
非才ゆえに、まさかそう広言するわけには参らぬけれど。
ともかくも、この階段を登り切るほどの元気はありまする。
いざ。