免許合宿6日目「問題児の下島」


免許合宿6日目
日記作成者 半谷
下島さんとの関係 普通(どうでもいい)
帰りたい度 85
朝食 無し
昼食 坦々麺(美味い)


夕食 エビフライ 大学芋 ほぐし鷄の和え物



今朝は「せっかくだから一緒に朝ごはん行こうよ〜」という不気味なほど優しい下島さんの声で目が覚めた。優しい声を出せば朝飯に行くと思われて舐められたら終わりなので僕は心を鬼にして2度寝をし、朝飯を回避した。

今日は朝の技能教習が1コマだけ。免許合宿なのにスカスカのスケジュールなのはどうしてだろう。

今回の技能教習も昨日と同じ、58連勤ボケ魔神教官だった。歩道を歩く女の子2人組を見て「いつも思うんだけどあの2人、足の長さが全然違うな〜。尻1個分違うんじゃないか」とか普通に言ってくる。長い間この教習所から出ていないからそういう発言が許されない社会になってることに気づけないのだろう。哀れな奴。

授業を終え、昼食へ。もう女の子と普通に話すことは無理だと悟ったので、最近のご飯の時間では下島さんと大きな声で嘘の話をして周りにいる女の子を笑わせられるかという中学生みたいなことをやっている。今回は、ウォーターサーバーの青レバーが水で赤レバーがお湯だと定めたのは僕の祖父だという話をし続け、それを聞いた何人かの女の子がすごい笑ってくれた。嬉しい。

今日の授業はもう終わりだと思っていたが、電話がかかってきて午後にもう1コマ入れられた。午後の教官は白髪のヨボヨボお爺ちゃんだった。1度駐車場に出てから「あれどうだったかな」と小さくつぶやいてから曲がった腰でトボトボと建物内に戻り、受付のおばちゃんに何番の車を使えば良いかを聞きに行った。こんな要介護者にハンドル握らせちゃダメだろ。思い返して見れば受付に向かいながら「ああ婆さんや」と言っていたような気もする。結局教えてもらう時はこのお爺ちゃん教官はとても優しかったのでS字クランクの授業だったが楽しくできた。

下島さんが僕の次の時間の教習で、その白髪お爺ちゃんが担当だったようで、授業の後にどうだったか聞いてみると「なんかわからないけど、ずっとはっ倒すぞって言われてた」と。はっ倒すぞ。どんな運転をしたらあんな優しくて腰の曲がった老人からそんな言葉を吐かれるんだ。毎回僕の知らない教官の一面を引き出すのなんなんだよ。

夕食での大声嘘トークは大失敗に終わり、静寂な食堂に僕らの声だけが永遠に響き続けていた。朝から楽しみにしていた海老フライだったが何の味もしなかった。

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