免許合宿17日目「最後の脱走」

免許合宿17日目
日記作成者 半谷
下島さんとの関係 まあまあ
帰りたい度 20
朝食 無し
昼食 ハヤシライス サラダ


夕食 チキン南蛮 ジャーマンポテト オクラの和え物


1度目はHDMI端子を買うため、2度目はキャッチボールのために。そして今回は疲れた心身を癒すため温泉に行くことにした。駅から30分のところにある湯野上温泉に決めた。

昼飯を食べ終えた僕らは、いつものように例の山に駆け込み、山を登り看板の向きを変えてから駅まで歩いた。

なんとか駅に到着。電車が1時間半に1本しか走っておらず、しかも30分で着く駅まで行くのに740円もかかった。田舎だなぁ。駅で1時間待機することに下島さんが文句を垂れてるのに耐えながら何とか時間を潰し、そして電車に乗り湯野上温泉に着いた。

昔ながらの雰囲気があってとても良い街だった。しなし温泉を探しながら少し歩いていると下島さんが妙なことを言い出した。「門限の6時は諦めて、ここでずっとブラブラして朝の4時に帰ろうよ」最初は冗談で言ってると思ったが、目がバキバキだし、何回もそれを言ってくるのを相手にしなかったらだんだん怒りモードに。彼は本気だった。門限破りなんて多分めちゃくちゃ怒られるし、僕はあと3日もしないうちに卒業できるのになんでここで退校させられかねない馬鹿げたことをしなきゃいけないんだ。下島さんは延泊決定して自暴自棄になってるのかわからんけど巻き込まれるのはごめんだ。そして僕と下島さんの口論はヒートアップ。というかこれに関しては絶対に僕が正しい。朝4時まで歩き続けると言い張る彼が手に負えなくなった僕は何人か共通の友達に連絡して、なんとか下島さんをなだめてもらい事態は収集した。あれ僕って馬かなんかと一緒に免許合宿に来てるんだっけ…?え、人間って普通こんなことできる?たまに本当に怖くなる。

少し大人しくなった馬を連れて良い感じの露天風呂のある古い旅館へ。そこに入ると受付でおばあちゃんが座りながら寝ていた。3回大きな声で呼んでみても全然起きなかったので救急車を呼ぼうとしたところで、突然おばあちゃんが目を開け「ごめんね、目薬さしてたもんだから…」と説明した。目薬って恵方巻きじゃないんで刺したあとでも喋れますよと教えてあげた。

どうやら、このおばあちゃんからしたら久しぶりに来た若者の僕らが可愛くて仕方がなかったようで色々と良くしてくれた。タオルとか、いっぱいのアメをくれたり、他にお客さんがいないから男風呂でも女風呂でも好きな方に入っていいという許可もくれた。田舎のこういう人の温かさは癒される。

もちろん女風呂へ。景色もよく、広い露天風呂が僕らの貸し切りで最高だった。まあチンコとかもあった。


30分くらい経ったところで、風呂のドアの前で何人かのババアが話してるのが聞こえた。やべっ!僕たちはすぐに「すいません!入ってます!」と言ったらババアが「なんでいるの!?」と悲鳴をあげた。それを聞きつけた何人かのジジイが「何事だ」と駆けつけてなんか割と大変なことになったので、大変だった。旅館のおばあちゃんが良いって言ってくれたんだけどな。僕たちは平謝りしてソソクサと男風呂の方へ避難した。男風呂も良かった。

風呂を出て、ガリガリ君を食べて帰路へ。門限ギリギリになってしまったので学校までは全力でダッシュした。今日も僕らがナンバーワンだった。

帰って余裕の夕食。しかしここで下島さんがオクラを残していることに気がつく。聞いてみると高校の時に食べて嫌いだったらしい。僕は大人になったら味覚が変わるから食べてみればと提案してみるとそこで口喧嘩になり、最終的に下島さんがすごいデカい声で「オクラは無理なんだよ!」と言って周りの生徒たちがジロジロ僕たちを見ていたので、そこからは2人とも無言でご飯を食べた。どうして良い日の最後に変な感じに…?帽子も取りなさい。

僕がいなくなったあと、あなたが1人でやっていけるか心配です。

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