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『赤と黒の景色』

体験談・・・ここ最近特に騒がれ話題にもなるワード。
自分は、と言いうとあまりにそれが日常だった子供時代。
『それ』が、『普通』ではないと知ったのは小学生か中学生の頃だったか。
おかしな事だと思い口を塞ぎ、周りの目を気にする様になってしまった。

こんな歳になって、こんなに時間がかかって、ようやく出逢えた気がした。
YouTubeのオカルト系の配信で、いろんな人の体験談を気軽に聞ける時代になり
自分を否定しなくても良いとようやく思えたのだ。
『不思議の館』の主(配信者)  星野しづくさんに、
そのチャンネルを聞きに来ているリスナーの人達に、
同じような体験をされている人がいるかもしれない・・・と言う思いで
過去を振り返り文章と言う形で表現をしてみよう、と思えたのだ。
それらをこれから綴っていこうと思う。

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私が通っていた小学校には、新校舎と木造の旧校舎があり、
全学年が新校舎で学び旧校舎はほとんど物置のように使われ、
一階の教室だけは班ごとに交代で掃除をしていました。
小学三年の頃だったと思います。
旧校舎の掃除当番の時でした。
廊下で バンッ!と大きな音の後に、
シュー・・・と何かが漏れるような、抜けるような音がして、

「なんしよっとやー!」「うわぁ、すっげー!!」

と、男子の騒ぐ声が響き、気になった私も廊下へと足が向きました。
すると奥から白い煙が生き物のように一気に広がり、
その煙の中で消化器を持ったまま慌てふためく男子が見えます。
他の人達は煙から逃れるべく一目散に出入り口へと走って行き、
教室の掃除をしていた女子も同じように出ようとしていました。
私は残された男子がこの息苦しい煙を吸ってはいけないと思い、
その子のところへ向かうと白い煙は容赦なく辺りに広がり、
あっという間に白い世界となり方向すらわからなくなりました。
ふと背後に人気を感じ、あの男子が居るものと思い振り返ると・・・
そこは、見覚えのない場所でした。

目前には、なだらかな丘があり私はただ呆然と見上げていました。
なにが起こったのか?学校に居たはず、いつ外に出たのか?ここは何処なのか?
しかし、深く考える事ができなくなり、ただただその景色を眺めるだけで・・・
何度か瞬きをした後、その景色の中に変化がありました。
丘の中腹に動きのない小学・・・低学年くらいの人影が現れ、
辺りにある数本の木々と草の葉先、そしてその人影の髪が、
さわさわと揺れているのがわかりました。
しばらくその情景を眺めていて少しづつおかしいと思えるようになったのです。

それは、その景色が『赤』と『黒』だからです。

掃除をしていたのは午後三時頃、まだ明るい時間帯のはず。
しかしそこは夕刻なのか、数本の木々と丘全面の草むら、
そして人影があまりにも黒く、空はあまりにも、赤い・・・
雲一つなく、ただ・・・赤い。
木々と草と人影の髪は揺れているのに風を感じられず、
なにより『音』自体無いように思えました。

・・・・・気持ち悪い

その異様さに気持ち悪さと恐れを感じ、早く学校に戻らなければ、
これ以上この景色を見ていてはいけないと焦るものの
なぜか身体は動かず、視線も外せず、何かに呑まれそうな感覚に陥った時、
グイッと腕を掴まれ半回転し、引っぱられるまま白い煙の中を進むと
旧校舎の明るい出入り口付近でわいわい騒いでいるクラスの人達と合流しました。
そばに居た男子に、

「助かったー!ありがとー!」と声をかけると
「なん言いよっとや?オイはなんもしとらんけん」と。

周りの人達の距離を考えると、そばに居る男子しかおりません。
が、何言ってんだ?俺は何もしていない・・・と。
すぐに離れる行動をとった人もおりません。では一体、誰が・・・?

あれから何十年と経ちますが、今でもあの時の光景がはっきりと思い出されます。
一度、絵におこしてみようと試みましたが、背景を描いたところで先に進めず、
あの人影を入れてしまったらまた現実のものとなりそうで描けませんでした。

もしかしたら、数秒の間に見た脳の誤作動によるものかもしれません。
子供特有の怖い夢が実体化して見えてしまう・・・ようなものかもしれません。
が、あの異質な空間は夢や幻なのでしょうか・・・。
あの人影は、
あまりの黒さに背を向けているのか、こちらを見ていたのかはわかりません。
が、もし私が何も感じず自由に動き回っていたのなら、
何かを手にしてしまっていたなら、あの人影に近づいてしまっていた・・・なら・・・

これが九州、長崎市内の小学校で体験した一つです。


2022年3月20日
『不思議の館』星野しづく様
怪異体験談受付け窓口 女性凸者様限定にて投稿

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