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画像は職員をイメージしています

月曜から夜ふかしとかでよく出てくる足立区にある児童相談所。

小部屋に入って児童福祉司のおばちゃん、そこの職員のが3人くらいいた気がする。なんか話ってか説明されて、児童相談所でのルールとかも聞かされた。

自分がなぜここへ来たのかは言ってはいけない、別の子に聞いてもいけない。お互いのプライベートな話(住んでるところとか)もダメ。男子もいるが必要以上の関わりを持ってはいけない。そんな感じだったかなあ。

このときまで俺は児童相談所がどんなところか全く知らなかったのだけど、最大で3ヶ月間いれるところらしい。ここにいる間は学校には行けない。正直それを先に言ってほしかったよ!今日だって友達とドンキ行く予定ぶっちしてるんだから!でもなんかここまで来たらやっぱり嫌だとも言えなくてそのまま入所となった。

学校から直接来たもんだからセーラー服で学校の鞄しか持ってきてない。一通り話が終わったあと別の部屋に連れて行かれてジャージと服と下着を渡された。私物の持ち込みは全てダメだった。あ、メガネとかは大丈夫。衣類は全て施設から支給された物を着る。この部屋着にあたるジャージがクソダサくてさあ。ほんとあれよ、ごくせんのヤンクミのやつ。あれ着なきゃいけないの。嫌だったなあ。

着替えを終えて児童福祉のおばちゃんとは別れ、職員に施設内を案内される流れになった。

だだっ広いフローリングのホールみたいな場所、基本的にはここで勉強したりご飯食べたり自由時間を過ごす。あとは調理室、トイレ、風呂場、それと寝る部屋。男女合わせて40人くらいだったかなあ。人数的に男子の方が多かったと思う。年齢は小学生〜高校生まで。女子は6人部屋がAとB、みたいな感じで2つあった。俺が入所したときは俺が入ってマックスだったから、12人いたんだと思う。

自分が入るBの部屋に連れて行かれて、職員に促されて挨拶した。めちゃくちゃ緊張した。なんか異様なんだよね、空気が。みんな下から上を舐めるようにガン見してくるんだもん、怖いわ。

腕にめちゃくちゃ根性焼きがある子とか、顔に大火傷負ってる子とか、明らかにヤンキーだろみたいな金髪頭に謎のワンポイントタトゥー指に入れてる子とか。あとは見るからに年下の小学生2人。

一番最初に話かけてくれたのは腕に何個も根性焼きのある子で、トイレ行こ!って女子特有の連れションに誘われたからついてった。

その子は中3で、黒髪ロングの背の高い子だった。

👧「私みき。なんでここに来たの?あ、職員に話しちゃダメって言われてるだろうけどみんな裏では話してるからバレないようにすれば大丈夫だからね!あとなんて呼べばいい?」

ついさっきここにきた経緯は話しちゃダメよと釘を刺されたばっかりだったから結構びっくりした。みきの馴れ馴れしい感じにもやや引き気味だったと思う。

自分の話を周囲に聞こえないよう小声で済ませると、みきは両親に虐待を受けてここに来たと話してきた。しかも父親には性的虐待を受けていた。腕の根性焼きは母親にやられたものらしい。いきなりのレベチなカミングアウトにかなりびっくりしたし、もしかして自分がされてきたのは虐待じゃないのかもしれないとすら思うくらいの経験を彼女はしていた。話の内容はめちゃくちゃヘビーなのに、超ウケるよね!でも施設暮らし楽しいよ!くらいのテンションで話してきたのも印象に残ってる。

施設は22時消灯、6時起床。午前中は日によって変わるけど勉強や運動の時間。勉強の日はホールでひたすらドリルを解いたり英語の教材を聞きながら勉強したりする。ちなみに当時クソバカだった俺は中学生なのに小学校中学年用の算数ドリルをやっていた。運動の日は施設の中庭に出て持久走したりドッヂボールしたりする。

昼食を食べ、午後は自由時間。テレビもあったし、多少の娯楽(漫画とかCDとか)はあった。俺は施設に1ヶ月半いたけど、その間に花より男子を全巻読んだ。テレビは施設で要望が多いドラマなんかは録画してもらえるからそれを見たり出来る。おやつ食べて、風呂の時間。風呂の湯船は3人くらいが入れる大きさで、2人ずつ入る。確か20分くらいで出ないと怒られた。そして夕食を食べてまた自由時間を過ごし就寝準備。大体一日の流れはこんな感じ。

顔に謎の火傷を負ってるサチ。前髪がめちゃくちゃ長くて見るからに大人しいというか地味というか今っぽく言えば陰キャ。実際会話をした記憶がないくらいなんだけど多分俺はこの子に嫌われていた。まあそれはあとで書く。

指タトゥーのヤンキーちい。見た目が怖かった(なんせ都会育ちなもんでヤンキーを知らない)けど同い年で、それなのに同い年とは思えぬ様々な武勇伝を聞かせてくれたりしてかなり大人びてる子だった。この子は俺が入所して1週間くらいで里親の元へ行くことが決まってすぐいなくなったけど。

年下の小学生たちも良い子たちだった。

同じ部屋の中でもみきとは親友みたいになって、常に一緒に行動した。みきはよく自由時間にトランスのオムニバスアルバムみたいなのを聴きながらパラパラを踊ってたんだけど、俺もパラパラを教えてもらったりした。パラパラとか時代感じすぎて泣けるね。ちなみにこれ90年じゃなくて2000年代なんだけど、この頃パラパラやってる人いたんかな。

詳しくお互いの話をするようになってから、ばーちゃんちからみきの家がめちゃくちゃ近いことを知った。話の中で、え!あの角の一軒家?なんて分かったくらい。世間って狭いよねえ。なんとなく、知ってる土地から来てる人というだけで心強かった。

俺よりも児相歴の長いみきは同じ施設内の男子とも親しくて職員に隠れて手紙交換をしていた。職員が見てるので会話はNGだけど、勉強や運動の時間、食事のとき、自由時間は同じ空間にいるわけだから接触出来ないことはなかったのよね。

みきに言われて、俺も男子と手紙交換をしたりした。どんな子だったかまでは覚えてないけど。大人に隠れてするあのスリルはたまらなかったですよ。 

ある日自室でみきと男子宛に手紙を書いていたらそれを見ていたサチによって職員にチクられた。

施設内のルールを破ると小部屋行きといって一時的に(何をしたかにもよるが3日〜1週間)別室で生活させられる。ちなみに小部屋って書いてるけどこれ、ドアがついてるちゃんとした部屋じゃなくて壁はパーテーションで囲んで簡易的なベッドと机とライトだけあるような犬小屋。

ヤンキーのちいはよくルールを破って小部屋行きになってたから話は聞いてたんだけど、このことで俺とミキは初めて小部屋行きになった。

小部屋行きになると食事の時間も勉強の時間もずっとそこにいなければならない。テレビも見れないし週3回ある唯一外の空気に触れられる運動の時間は参加出来なくてとにかく退屈だった。

次回 小部屋脱出ゲーム!

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