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個人事業主

いや〜生い立ち編からここまでお付き合いくれた方ありがとう。長すぎたよね。ごめんね。いつもそうなの、最初は勢いでたくさん書けるんだけど、突然飽きる病気だから許してよ。

池袋で風俗なんて無理!やらなきゃいけないこと多いし客キメェしやってられっか!とすっかりやる気をなくした俺は再びエンコーの日々に明け暮れます。あ、ちなみにまだファミマでもバイトは続けてたよ。

この日はお笑いライブを観に渋谷に行ったからそのついでにって感じだったんだけどおっさんと約束を取り付けた。ハチ公前、終電間際の時間、充電15%くらい、所持金は1000円を切ってるもんだから会えなかったらもう死ぬしかねえのよ。待ち合わせ時間になっても連絡が来なくて、ブチ切れメールを送ろうとしたらそいつ退会してましたね。

はいドタキャン。死亡。

 待ってる間に終電はなくなり、しかしネカフェ行くにも金がない、どうしよう。途方に暮れます。ああそういえばお巡りさんに泣きついたらお金貸してくれるって聞いたことあるなーなんて考えながら気を落ち着かせようとひとまず喫煙所でタバコを吸った。

喫煙所を出ようとするとスーツのおっさんが近寄ってきて「暇なの?遊んでくれる?」なんて言いながら手で”3”のポーズをしてきた。

見境ない馬鹿なので容易く誘いに乗った。というか帰れないし金はないしで乗るしかなかった。

渋谷の道玄坂の方のホテルで一通り事を済ませたあと、おっさんが普通に寝始めたので油断して俺も寝た。これが終わりの始まりなんだよな。本当に馬鹿。

「一度精算をお願いしたいのですが、フロントまで来られますか?こちらから伺いますか?」

枕元で鳴る電話に手探りで出て、フロントのおばちゃんの言葉を聞いてさすがに飛び起きた。宿泊で入ったはずのホテル、それが爆睡してしまったおかげでチェックアウト時間をとっくに超え、更に休憩料金まで飛び越えて2度目の宿泊になろうとしていた。とりあえず適当に返事をして電話は切ったがもちろん部屋におっさんの姿はない。約束してた3万も、なんなら俺の財布もない。終わった、もう人生終わりだと本気で思った。

金がない=ホテルから出られない

めちゃくちゃやばい。1000円も入ってない財布ごと持ってかれたことなんか今どうでもいい、とにかくホテルから出る方法を考えないと。正直最初は部屋からこっそり出ればいいんじゃね?とか思って風呂場の窓とか部屋の窓を開けてみたりした。でもここは5階、落ちたら死ぬ。いや死にはしなくても怪我するしなんか痛そうだからなし。

無理〜まじ無理〜足りない頭で必死に考えた結果、ここに別のおっさんを呼べばいいんだと思い付く。天才すぎるだろこいつ。天才おまんこ先生と呼んでほしい。

「訳ありで渋谷のホテルにいます。今すぐ来れる人いませんか?詳しくはメールでやり取りしましょう(>_<)」

恐らくこんな文章で募集をかけた。引くほどメールがきた。義務教育の失敗、いや敗戦国の末路。渋谷や新宿とかの繁華街エリアはこういうサイトじゃ冷やかしも多いんだけど、その分利用者が多いんだよね。それが逆によかった。

「車だから3、40分くらいかかるかもだけど待てますか?あと結構太ってるけど大丈夫かな?返事待ってます(*^^*)」

こんな感じでノブという男からメールがきた。
なんかこいつはドタキャンしなさそうと直感で思った。

ノブを含め、掲示板を読んでメールしてきた奴らには、家出中で手持ちの現金が足りず渋谷の○○ホテルから出られないからその料金さえ負担してくれればタダマンしますと片っ端から返事を送った。

こんな怪しい内容の女に更に返事をくれる人間は少ない。ある程度サイトをやってる人間なら、ホテルまで行ったら別に男がいて美人局的なやつかもなんて想像するだろう。掲示板を見て食い付いてきた奴はあんなにいたのに、その返信に更に返してくれる奴は数人しかいなかった。何人かとメールをしつつもいまいち手応えはなく、やっぱりここで死ぬしかないのかもとほとんど諦めかけていた。もうどうにでもなってしまえと払う金もないのに部屋備え付けの自販機のオレンジジュース飲むなどした。多分人って本当に焦るとおかしくなるんだと思うね。

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