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雑誌「255255255」創刊の辞

“The future is here, itʼs just not evenly distributed yet.” William Gibson

(未来はここにある。ただ、均等に配分されていないだけだ。ウィリアム・ギブソン)

今、私たちは変化の時代を生きている。
世界的な「デジタル化」「分散化」など巨大な変化の潮流を、
コロナ禍が加速させる形で、世の中のありようが急速に変わりつつある。
世の中のありようが変化するに伴って、以前から私たちの身の回りにあったモノやコトもその姿を変える。いつもの居場所、当たり前だと思っていた役割、信じてきた意味。それらは、技術革新や災害などの環境変化によって、一瞬にして無くなったり、書き換えられたりすることもある。

変化には、こうした外的要因によって引き起こされるパッシヴなものだけでなく、モノやコトの当事者が意思の力をもって内から起こしていくものもある。モノやコトの今までのありようを否定するのではなく、光の当て方を変えることで新しい意味を見出し、次世代へそのモノやコトを引き継いでいくための変化だ。「光の当て方を変える」とは、古いラベル=旧来の意味の内側にある普遍の本質を掘り下げることで、意味を問い直すことである。そのような自律的な変化とは、もともとそれが持っている本質的な価値を見出し、多様な価値観を未来につないでいくためのクリエイティビティであると言ってもいいだろう。

雑誌「255255255」は、そのような意志を伴った自律的な変化やその変化の兆しに注目し、それらを集めて伝えることで、未来への手がかりを届けていきたい、と考えている。未来は “ここ”にある。


 “ここ”=雑誌「255255255」は、その名前を白を表すカラーコードに由来する。白は、赤(Red)緑(Green)青(Blue)という光の三原色のそれぞれの最大値R255G255B255で構成される色だ。何もない色であるように見えて実は多様な可能性が詰まった色だったりもする白。多様な可能性を混ぜ合わせてそこから新しいものが生まれる、はじまりの色。

「255255255」が目指すのは、多様な価値観を求めてクリエイティブに変化をつくろうとする人たちのための共同体、はじまりの場所になることなのだ。

255255255編集長 神谷憲司