見出し画像

2024/8/5(月)の宿題:最初の記憶

 『今日の宿題』(Rethink Books編、NUMABOOKS)に毎日取り組んでみる16日目。これを始めて2週間以上経過したので、出題に答える形を一旦やめて、問題文からテーマを拾って何か書くという形をとりたい。ただし、実際の問題文にも答えているような文章とするのが目標。本日は黒川創さんからの出題で、「最初の記憶」について書く。

最初の記憶について

 覚えている限り最初の記憶は、妹が生まれた産院に行くために伯母さんの車に乗っているというものだ。私はとても幼くて、後ろの席に座っていると前の景色が見えず、ずっとカーステレオを見つめていた記憶がある。
 肝心の、生まれたての妹との対面のシーンは覚えていない。写真では確かに母のベッドに座った私は膝に妹をだっこしているのだが。その写真では母がすごくハラハラした顔で私と妹を支えていた。
 妹が生まれる、それは幼い私にとって大変な事態だったらしい。それまで父母の愛を一身に受け、それどころか初孫であったため祖父母の愛も一身に受け、それはもうかわいがられていたはずだ(全く覚えていないが)。しかし妹が生まれるとわかって、当然まわりは私に「おねえちゃんになるんだよ」と言ったと思う。それがどういうことなのか理解できていたのかはわからないが、何らかの危機感はあったのだろう。妹が生まれる前、私は情緒が不安定になり、「お絵描きする」と言って黒いペンで画用紙を塗りつぶしていたらしい。そのような不安定さの種である妹に会いに行くシーンだから、最初の記憶として鮮明に残っているのだろうか。

 いやまてよ。
 思い出したんだけど、情緒不安定で画用紙を塗りつぶしたのではないかもしれない。通っていた保育園で、みんなでのお絵かきタイムのとき、黒スクラッチという絵の描き方を習ったのではなかったか。
 黒スクラッチとはまず、画用紙をカラフルな色で塗り、その上から黒いクレヨンで塗りつぶす。その黒いところを爪楊枝でひっかくようにして絵を描くと、下に塗ったカラフルな色が浮かび上がるという描き方だ。
 幼すぎてその作業工程をうまく再現することができず、ただ黒いペンで画用紙を塗りつぶしてしまったのではないか? 不安定だと思っていたのは大人が心配しすぎていただけで、当の本人は何も考えていないただの絵の失敗だったのではないだろうか?
 だとしたら私の最初の記憶は、生まれた妹に初めて会いに行く、わくわくに満ちた記憶だったのかもしれない。真実はそっちのほうがいい。私は大事に妹に会うのを楽しみにしていたんじゃないか。

 最初の記憶を掘り返してみると、案外違うことも思い出したり発見があったりするものだ。何かを思い出すのはあまり好きではないけれど、たまにやってみたい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?