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ゲーミングPCの選び方

「ゲーミングPCが欲しいけど、よくわからない」
 初めてPCを買う場合や、なんとなく家電量販店で買っていた場合によくあることです。
 「i7で20万円もするPCを買ったのにゲームがカクカクする」ということもありますが、i7ならゲームができるとは限りませんし値段が高ければ高性能とも限りません。
 ゲームに向いているPCについて、購入前にしっかり調べましょう。

 ゲーミングPCが欲しいということは、やりたいゲームがあるはずです。
 フォートナイト(Fortnite)は世界中で人気ですし、無料版のPUBG Liteが出ても本家のPUBGをプレイする人もいます。
 エイペックスレジェンズ(Apex Legends)やレインボーシックスシージ(虹六、R6S)、FF14などのFFシリーズ、黒い砂漠、などなどPC版ゲームはたくさんあります。ゲームにあったPCを選ぶようにしましょう。

専門用語
 i7はインテル社のCPUでcore iシリーズの中でも上位のcore i7のことです。テレビCMでも有名です。i7がいいことはPCに少し興味がある人なら知っています。
 しかし、PCの性能はCPUだけでは決まりません。
 ここからは専門用語がたくさん出てきます。
 パソコンと無縁だった人には難しい話ですが、できるだけ理解し納得した上で購入の決断をしてください。
 PCは買った後もゲームに必要なソフトをインストールしたりアップデートしたり、様々な知識が必要になります。どうしても理解できない場合は、PCはあきらめてゲーム機にしておくことをお勧めします。

システム要件

 PCのゲームには「システム要件」があります。
 これは「このゲームを遊ぶために必要なPCの条件」のことです。
 条件にはPC内部のパーツ毎の性能が指定されています。
 ・OS
 ・CPU(プロセッサ)
 ・GPU(グラフィックボード:通称グラボ、ビデオカード)
 ・RAM(メモリ)
 ・HDD(またはSSD)
 以上が代表的な条件で、これらをスペックとも呼びます。
 システム要件には「必要動作環境」と「推奨動作環境」があります。
必要動作環境
 必要動作環境は最低限必要な条件で、これを満たせばゲームはできます。
 しかし映像の設定を高くできないなどの制約があります。
 登場キャラクターが多いと動きが遅くなるなど、ストレスを感じる場面があるかもしれません。
 家族用PCやビジネス用PCではこの条件を満たしていないことがあります。「CPU」と「RAM」は満たしていても「GPU」を見落としていることが多くあります。
推奨動作環境
 推奨動作環境を満たせば画質設定を上げることができます。
 登場キャラクターが多くても滑らかに動き、快適にプレイできます。
 ストレスなくゲームを楽しむために「推奨動作環境」を目安にします。
 とはいえ、推奨動作環境は必要動作環境より性能が高いので値段も上がります。予算の都合で推奨動作環境を満たせない場合は、必要動作環境までスペックを下げていくことになります。
 必要動作環境でも予算に収まらない場合はあきらめてください。
 中古なら安い物もありますが初心者にはお勧めしません。進化が早いPCのパーツに関して知識があり、個々の状態の異なる中古品の見極めができる人に限られます。
 自作も簡単で安いと言われますが、少なくともこのページの内容の理解は必須です。ここでは規格までしか触れていませんが、同じ規格でも製品の数は大量にあります。自作するなら規格ではなく製品を選定する知識も必要になります。

デッドバイデイライトを例に選ぶ

 デッドバイデイライト(Dead by Daylight:DbD)を例にシステム要件からPCを選ぶ方法を説明します。
 まずはSTEAMでシステム要件を確認します。
 「DbD steam」で検索しSTEAMのサイトを開きます。

システム要件
推奨:
64 ビットプロセッサとオペレーティングシステムが必要です
OS: 64-bit Operating Systems (Windows 7, Windows 8.1 or above)
プロセッサー: Intel Core i3-4170 or AMD FX-8300 or higher
メモリー: 8 GB RAM
グラフィック: DX11 Compatible GeForce 760 or AMD HD 8800 or higher with 4GB of RAM
DirectX: Version 11
ネットワーク: ブロードバンドインターネット接続
ストレージ: 25 GB 利用可能
サウンドカード: DX11 compatible

 項目別に説明します。

64 ビットプロセッサとオペレーティングシステムが必要です

 CPUとOSは64ビット版が必要ということです。
 以前は32ビット版もありましたが、現在は64ビット版しかないので気にしなくて大丈夫です。

OS: 64-bit Operating Systems (Windows 7, Windows 8.1 or above)

 OSはPCの基本的プログラムです。
 パーツではなくソフトウェアです。
 まずOSが動き、その後にゲームなどのプログラムが動きます。
 主流のWindows10Home(64bit)を選べば大丈夫です
 Windows10Proは企業向けです。
 なお、Macではこのゲームはできません。

プロセッサー: Intel Core i3-4170 or AMD FX-8300

 CPUとも呼びます。PCの頭脳にあたります。
 Intel社のCore i3-4170かAMD社のFX-8300ということです。
 シェアの大きいIntel社のCore iシリーズが有名です。
 ただしi3-4170は古いため、新しいCPUから選ぶことになります。
 一覧表を見てi3-4170と性能が近いCPUを探します。
CPU一覧
 i3-4170=2013年の第4世代と呼ばれる古いCPUです。
 i3-9100=2019年の第9世代は性能が上がっています。

メモリー: 8 GB RAM

 PCの作業場所みたいなものです。
 8GB必要ということです。

グラフィック: DX11 Compatible GeForce 760 or AMD HD 8800 or higher with 4GB of RAM

 GPUやグラフィックボード(グラボ)とも呼びます。
 映像を担当するパーツです。
 NVIDIA社のGeForceシリーズとAMD社のRadeonシリーズがあります。
 シェアの大きいNVIDIA社のGeForceシリーズが有名です。
 GeForce 760は正しくはGeForce GTX760です。
 これも古いので一覧表で確認します。
GPU一覧
 GTX 760=2013年の古いグラボです。
 GTX1650=2019年の新モデルは性能が上がっています。

ネットワーク: ブロードバンドインターネット接続

 PC本体とは別の話です。
 インターネット回線が必要ということです。

ストレージ: 25 GB 利用可能

 プログラムなどの保管場所です。
 25GBの空き容量が必要ということです。
 ストレージとはHDDやSSDのことです。
 HDDは古くからあり大容量でも安いのがメリットです。
 SSDは割高ですが読み込み速度がHDDより高速です。
 OSが40GB程度なのでSSDかHDDの容量が70GB以上あればいいということになります。

サウンドカード: DX11 compatible

 CPUとグラボを適切に選んでいれば自動的に対応するので特に確認の必要はありません。

DbD用PCのスペック
 DbDの推奨動作環境を満たす現行PCのスペックがわかりました。
 OS:Windows10Home(64Bit)
 CPU:i3-9100
 RAM:8GB
 GPU:GTX1650
 HDD:70GB

デスクトップPCの原則

 PC選びに入る前に、デスクトップPCの原則を説明をします。

 モニタ(ディスプレイ画面)は付属しません。
 ゲーム機を買ってもTVが付いてこないのと同じです。
 大きさや画質など好みによって吟味します。
 手持ちのTVを使えることもあります。
 21~24インチで1~2万円が相場です。
 3万円以上のゲーミングモニタもありますがPCが高性能でないとモニタの性能を発揮できないのでバランスが大切です。

 キーボードとマウスも付属しないことがあります。
 いずれも千円未満から1万円超えまで多くの商品があります。
 ゲーム用を別途購入する人が増えたので、付属することは減りました。

 DVDドライブ(光学ドライブ)も付属しないことが増えました。
 ネットからダウンロードできるので必要性が減りました。
 DVDなら3千円程度、BDなら1万円程度で追加できます。
 USB接続の外付けタイプもあります。

 マイクロソフトオフィスは2万円前後ですが無料版もあります。
 ワードやエクセルをどの程度使うかで決めることになります。

デスクトップかノートか
 ゲーミングPCはタワー型のデスクトップPCが基本です。
 モニタやキーボードは別売りですが、それらを揃えてもノートPCよりは安く済みます。
 持ち運ぶためにノートPCにする場合は、CPUやGPUの型番がデスクトップ用とは違い性能も低いことが多いので慎重に選んでください。

PC専門店でPC選び

 実際のPC選びは以下のとおりです。
 まずはサイトが見やすいドスパラから見ます。
ドスパラ

 CPUがi3-9100、グラフィックがGTX1650のガレリアDC 69,980円が候補です。

 OS、CPU、RAM、GPU、SSDの条件を満たしています。

G-TUNE

 CPUとGPUを指定して検索しても見つかりませんでした。

mouse
 G-TUNEと同じメーカー(マウスコンピューター)です。

 LUV MACHINES Slim iGS410B3N-S2 84,800円が候補です。

パソコン工房
 レパートリーが多く、ケースも多彩です。

 スタンダード・ゲーム・クリエイター・ビジネスの4つのカテゴリがあります。
 更にケースがコンパクト、ミニ、ミドル、フルなどに分かれています。
 CPUとGPUを指定して検索しても見つかりませんでした。
 推奨動作環境より高性能なPCはたくさんあります。

ツクモ

 ゲームPCにi3がないので通常のデスクトップPCをカスタマイズします。
 AeroStream RM3J-A194/T 54,800円をベースにします。

 〔カスタマイズ・お見積〕からメモリとグラボの2点を変更します。
 ①8GB ( 8GB x1枚) DDR4-2666/PC4-21300 SDRAM メジャーチップ採用【+4,000円】
 ②NVIDIA GeForce GTX 1650 / 4GB(DVI-D 、HDMI 、DisplayPort)【+22,000円】
ツクモ 80,800円(税・送料別)※カスタマイズ後

フロンティア

 フロンティアの選び方は特別で、二つのセールの中から探します。
 ①短期間セール(1週間程度でセールが入れ替わります)

 ②長期間セール(1カ月程度でセールが入れ替わります)

 最近3年くらいは他のショップより安いことが多々あります。
 ただし、商品も台数も限られているので欲しいスペックのPCがない時もあります。好みのスペックがあればお買い得です。

その他のPC専門店
 その他にも世界的に有名なPCメーカーはあります。
 奇抜なケースやLEDライトの輝きが好きな人向きです。
 通常は割高で、セール時に割安になることがあります。

国産メーカー

 古くから国産として認知されているメーカーは信頼されていますが、今では国産と言えない部分(資本)もあります。
 PCのパーツの多くは海外で作られていて、国内で組み立てられているだけなので国産にこだわる意味はありません。
 これらメーカーから選ぶ際はグラフィック性能(GPU)をよく見てください。「インテルUHDグラフィックス」はグラボがないという意味です。CPUがGPUを兼ねているのでゲーム用としては非力です。この点に注目すると国産メーカーはゲーミングPCを作っていないことがわかります。
 なお、ドスパラ、G-TUNE、mouse、パソコン工房、ツクモ、フロンティアも日本の企業です。

実店舗のある家電量販店かネット通販か

 家電量販店
 ノートPCや一体型PCが多く、ゲームをしないライトユーザーやビジネス向けです。
 店頭販売が主ですがネット通販もしています。
 店員の知識は冷蔵庫や洗濯機などの家電に偏っていてPCには詳しくないかもしれません。
 PC専門店
 ネット通販専業と思われがちですが店舗もあります。
 例えばパソコン工房は全国に70店舗以上あります。mouse・G-TUNEの店舗は10店舗もありませんが、パソコン工房の店舗で修理を受け付けてもらうことができます。
 店員の知識はPCはもちろんPCゲームにも詳しく、的確なアドバイスが期待できます。
 どちらもチェック
 最近のeSPORTSブームで家電量販店にもゲーミングPCコーナーが増えましたが、よく見るとそこではツクモやG-TUNEのPCが売られていることがあります。つまり家電量販店でもPC専門店のPCを買うことができるので、どちらか一方に決めつけることなく両方を見比べてみればいいことです。

 PCの選び方(スペックの見方)を理解していればどこで買っても構わないということです。
 「どこで買うかよりもなにを買うか」を念頭に、思い付く限り多くの情報を集めて最もお買い得なPCを見つけ出しましょう。

型遅れやセールはお得?

 ゲーミングPCには春夏モデルや秋冬モデルはありません。
 CPUやGPUは世代交代するので、パーツ単位の型遅れならあります。
 しかし型遅れが安いとも限りません。最新型は他店との競争で値引きされる一方で、型遅れは値引きされていないこともあります。
 したがって型遅れを待てば安くなるとは言えません。
 また、セールはいつでも行われています。
 1月から12月まで、初売り、バレンタイン、決算、新生活応援、半期決算、夏のボーナス、冬のボーナス、クリスマス、年末売尽しと名前を変えてセールは続きます。
 したがってセールを待てば安くなるとは言えません。
 型遅れやセールが安いとは言えないので、PCの買い時を断言することはできません。

まとめ

 1.やりたいゲームのシステム要件を確認する。
 2.推奨動作環境を基準にスペックを決める。
 3.持ち運ばない限りタワー型デスクトップPCを選ぶ。
 4.家電量販店もPC専門店も店頭も通販も思い付く限り調査する。
 5.モデルチェンジが早く価格改定も多いので、買い時は断定できない。

補足

 今回はデッドバイデイライトの推奨動作環境からPC選びをした結果、i3に8GBでGTX1650というゲーミングPCとしては低性能で安価な構成になりましたが、最新のゲームでは高性能を求められることもあるのでプレイする可能性のあるゲームの推奨動作環境に合わせて選んでください。
 また、これまでは60fps(フレームレート:動きのなめらかさ)が基準でモニタも60Hz(リフレッシュレート:画面の書き換え回数=fpsとほぼ同義)が一般的でしたが、144Hz対応のゲーミングモニタが安くなりPCに144fpsを求める人も増えました。このためGPUはGTX1660やRTX2070SUPERを選ぶ人もいます。
 更に最近はゲームだけでなくそれを実況したり、録画して編集し投稿するなど、ゲーム実況やゲーム動画は流行っています。
 ゲーム+配信、ゲーム+配信+録画はPCにかかる負荷が高まりますし、動画編集も高性能なPCの方が早く済むので、それらを考慮しCPUをi7にしたりRAMを16GBにするなど、用途に合わせて調整することになります。
 CPUをAMD社のRyzenシリーズにしたり、GPUを同じくAMD社のRadeonシリーズにする人もいます。
 このようにゲーミングPCの選択肢は広いため、BTO(受注生産)方式を採用するショップが多く、納期も1~2週間かかることがあります。

最新情報

 ここで説明した内容の他に、性能別お買い得PC一覧や各ゲームの推奨動作環境一覧をニコニコロニーというサイトに掲載しています。
 週1回以上更新しているので、最新情報はこちらでご確認ください。




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