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Patti Smith “Twelve”

SNS、特にtwitterを毎日みていると義憤のタネに事欠かず、ついついその感情に振り回されがちだ。防御のため自分なりに「現世から少し高みにいる人」を何人か設定して、たまに思い出す必要がある。自分にとってパティ・スミスはその一人だけど、ここ何年か存在を忘れていた。

先日、ふと入った店で突如歌声が聞こえて来た。この震える重いハスキーボイス、パティスミスだ...!と、呆然と立ち尽くしてしまった。服屋だったので「セーターに手を置いたまま止まっている男」という迷惑な客になってしまった。Shazamすると“Pastime Paradice”と出た。2007年に出たパティによるカバーアルバムで、スティービー・ワンダーの“Songs in the Key of Life”からの曲。Pastimeは娯楽、趣味、気晴らしと訳されるが、語源からして、「時間つぶし」というニュアンスがありそう。歌詞に直接性はないがPastime Paradiceは現代について歌っているようにも思えてきた。

They've been spending most their lives
Living in a pastime paradice
彼らは人生のほとんどを費やして来た
娯楽の楽園での生活に

Apple Music、Spotifyで全て聞けるが、ジャケットが気になり、またパティ本人の解説を読みたくて、メルカリで買った。Twelveは収録12曲の意味なので、デザインは12星座を表した図形だろう、と思っていたがよく見ると八角形だ。

これはロバート・メイプルソープがパティの21才の誕生日に贈ったタンバリンとのこと。やぎ座の記号はメイプルソープがタトゥを入れたと解説にあるから、おそらく黒い線の部分もそうだ。不思議な赤い八角形のフラクタル図案は元からあったと思われる。八卦などに関係あるんだろうか。

「12」は1オクターブ内の音の数でもあり、音楽とも相性のいい数字だと感じる。12角形にしてほしかったと勝手なことを思う。

おわり

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