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台湾中文(台湾華語)の独習、TOCFL受験/その結果

台湾に旅行しても指差して、頷いて、の繰り返しだった僕が、その状態からなんとか脱出したいと、現地の皆さんと少しでも会話できるようになることを目標に独習で台湾中文の勉強を始めました。

あくまでも会話が目標だったのですが、ダラダラと続けないために何か道標になるものがないかと途中から思い立って、TOCFLを受験することにしました。

僕個人の台湾中文の学習過程とTOCFLの受験結果についてまとめました。留学なさっている方はもちろん、日本でも語学学校やオンラインなど、僕なんぞよりもはるかに優秀で効率的に学習なさっている方が多くおられることは十分承知していますが、おじさんの独習の備忘録としてお読みいただければ幸甚です。

そもそもTOCFLって何?から書き始めています。「そんなことわかってるよ」という方は、お手数ですが目次から学習内容へジャンプをお願いいたします。

TOCFLとは何の試験なのか

TOCFLは、「Test Of China as a Foreign Language(華語文能力測験)」の略で、日常生活における台湾華語の運用能力を測るための試験です。

国家華語測験推動工作委員会が開発し、台湾政府が認定する、唯一の台湾華語の資格です。

「本検定試験の目的は台湾華語学習者の日常生活における言語使用能力を測ることにあり、特定の教材に基づいての出題は行っていません。試験内容は様々な日常生活の場面を想定して出題されて、題材は実生活に近く、そして多元的です。」(TOCFL日本事務局)

TOCFLのレベルと難易度

TOCFLのレベルは「Band A」「Band B」「Band C」の3つに分かれます。
それぞれの「Band」はさらに2つのレベルに分かれます。

TOCFLのレベル(TOCFL日本事務局HPから引用)

Band A:入門級(A1)基礎級(A2)
Band B:進階級(B1)高階級(B2)
Band C:流利級(C1)精通級(C2)

日本での受験者は3つのBandの中から1つを選んで受験し、実際の試験のスコアによって、最終的なレベルが決まります。

いずれも聴解問題(リスニング)と読解問題(リーディング)から構成され、各々レベル認定に必要なスコアが決まっています。

Band Aでは以下の通りとされています。

BandAのレベル(TOCFL日本事務局HPから引用)

Band Aを受験し、聴解問題が50点、読解問題が65点だった場合、聴解問題は41~59点の間なので入門級(Level1)、読解問題は60点以上なので基礎級(Level2)になります。

合計では115点なので総合で入門級(Level1)となります。

TOCFL、HSK、中国語検定のレベル・難易度比較

HSKなどほかの中国語検定試験との難易度比較目安(TOCFL日本事務局HPから引用)

TOCFL受験に向けた学習

僕の台湾中文の学習目的は、先に述べた通り、台湾に旅行した際に少しでも現地でコミュニケーションが取れるようになることで、今も昔もそれ以上の目標はありません。

過去に中国語を学習したことがない僕が、語学学校に通わず、自力でネットで情報を調べ、しかも完全な独学でしたので、かなり回り道をしているような気がしますが、以下筆者の学習の記録です。

なお、当初はTOCFLを受験することはまったく念頭にありませんでした。

入門はNHKラジオ「まいにち中国語」

いきなり台湾華語に挑むよりは、いわゆる中国語で基礎を学ぶことにして、NHKラジオの「まいにち中国語」で学習を始めることにしました。

中でも評判の良かった2018年上期李軼倫先生の講座を、2019年下期(2018年4〜9月分の再放送)にその通り毎日学習しました。

NHKラジオまいにち中国語テキスト

ゆったりと しっかり学ぶ中国語というキャッチフレーズの通り、発音から会話、文法までバランスよく組み込まれていて、この頃の会話フレーズは今でも頭に残っています。

このときの反省は、発音のパートでは声に出して反復練習したものの、会話編以降、単語帳は作ってはみたものの、もっぱら「聞く」と「書く」中心で学習方法としてはまったくの罰点❌だったことです。

中国語の耳を作るトレーニング990と1000

「まいにち中国語」学習の反省と直接台湾華語に触れたいと思い、YouTubeで見つけたのが「台湾ペンギンTV-日本語、台湾中国語」チャンネルでした。

この動画を見ながら、990は1日100フレーズ、1000は50フレーズ程度を目安として、発音を繰り返し練習しました。

GoodNoteを恥ずかしながら公開します

拼音も注音も表記がないので、GoodNote5(現Goodnotes6)にフレーズと拼音、日本語訳を書いて、自宅では動画を見ながらひたすら声に出すこと、外出時にはiPhoneかiPadを見ながら単語などを覚えるというやり方でした。

台湾華語単語つぎへの1400

YouTubeの教材を3周したところで、成果はともかく教材にやや飽きてきたこともあって、次の教材を探しました。

その頃出会ったのがアスク出版の「台湾華語単語つぎへの1400」でした。

TOCFL進階級合格を目指す人向けとのことでしたが、筆者にはTOCFLは念頭になく、例文もあり、ダウンロードで音声もついていること、そして「はじめの1000」はちょっと易しいなと感じたことから、この教材を購入しました。

ただ、実際に聴いてみると「とても速く」て、「とてもついていけない」ことがわかったので「放一旁吧」ってことで、置いておくことに。

そこで、原点回帰して台湾華語学習の王道「當代中文課程」をやってみることにしました。

當代中文課程と漢語大師

言わずと知れた分厚い教本。

どちらもある程度まとまった会話による例文、生詞(新出単語)、そして文法が各課ごとにまとめられています。

特に「當代中文課程」は台湾師範大学語学センターの教材で、TOCFL受験申込でも「どの教材で台湾華語を勉強しましたか?」の最初に記載されています。

最初は當代中文課程から始めてみました。

Amazonで購入できるものはKindleで、ブックされていないものは「博客來」や「楽天」で探しました。

本来はアウトなのでしょうが、YouTubeの動画に音声教材がアップされているので、それを利用しました。

英語で説明されていることもあって、特に文法はわかりやすくて頭の整理ができたのですが、困ったことに練習問題に「答え」がないのです。

その「答え」は一つではなく、また語学学習センターで使うことを想定されているので、「答え」はその場で展開させていく、ということなのでしょうが、個人で学習するときには何かしらの指針が欲しいという切実さもあります。

何かしら中途半端な感じで消化不良感もあり、2巻まで済ませたところで「漢語大師」に変えました。

漢語大師

こちらは日本語説明版ですが、直訳っぽい日本語なのと、段階が進むに連れて拼音もなくなり「雑」になり、一人でやっていくことは難しく感じるようになりました。

電子書籍がなかったので分厚い本にせざるを得なかったのもマイナスポイント。
そしてここにも「答え」がない。

高い買いものだったこともあって、なんとか第4巻までやってみましたが、筆者には合わないなとスッパリ止めました。

台湾華語単語つぎへの1400再び

ここでものは試しと「台湾華語単語つぎへの1400」に再度挑戦。

そのままのスピードでは「ちょっと無理」でしたが、x0.8に調整してやると、なんとかいけそうだったので、やってみることにしました。

1周したところで、通常スピードで聴いてみると、慣れたこともあって聞き取りは「無理」ということはなかったので、通常スピードで学習、もう1周したところでオーバーラッピングを始めました。

そんなとき、台湾に行くことができない状況が続き、喋る機会がない状態だったことから、何か目標が欲しいなと思い立ったのがTOCFLでした。

留学するわけでも就職するわけでもありませんが、結果的には合格を目指すことだけでもモチベーションは上がりました。

中国語の文法書と東京外大言語モジュール

TOCFLを受験するにあたり、文法を整理するため、SNSでバイブルとも言われている「中国語の文法書」と、東京外国語大学言語モジュールの中国語の「文法モジュール」を使いました。

東京外大の講座は「まいにち中国語」と同じ整理だったのと、「書く」ことを要求されないので取り組みやすく、徹底実力養成コースを終了しました。

模擬試験問題は「模擬問題3」を購入したほか、以下のチャンネルで1と2も合わせてトライしました。

台湾留学支援室PAPAGO遊学村

台湾の中国語(台湾華語)を学ぶための様々な教材、勉強方法等を公開しています。

2022年11月27日 TOCFL受験

実は受験の2週間前に3年ぶりに訪台しました。

受験直前なのにとも思いましたが、みなさんこぞって台湾に行っている様子を拝見すると、どうしても行きたくなり、実力試しもできるしと言い訳して決行しました。

果たして、いきなりのマシンガン台湾華語トークにドギマギして、実力試しどころが話すことすら萎縮してしまうありさま。それが実力と思い知り帰国しました。

さて、試験会場は亀戸の読売自動車大学校、Band A(入門基礎級)を受験しました。

ざっと見渡したところ受験者は60名ほどで、女性の方が多かったように思います。
最初にガイダンスがあり、封された試験問題が配布されますが、開始までは開封禁止。

リスニング60分とリーディング60分が2時間ぶっ通しで実施され、途中で退出することはできません(トイレに行くことは可能ですが、リスニングで途中抜けしたところは回答放棄となります)。

リーディングが早く終わっても、先に退出することはできません。全員分の問題用紙とマークシートの解答用紙が回収されてやって開放(問題は持ち帰れません)。

今回のリスニングの問題構成は

Part1 15問
Part2 13問(か12問)
Part3 12問(か13問)
Part4 10問

だったように記憶しています。

模擬試験問題集でも毎回各Partの問題数の配分は異なっていましたが、今回の配分は初めて見ました。

リスニングでは、Part2くらいまでは「模擬試験よりも易しい?」と思ったのですが、Part3の途中で追えない問題が1問出現し、その問題にこだわったためにその次の問題の1回目が聞き取れず2回目でようやく…と、どんどんずれ込んでしまいました。

1回目で回答して、2回目で確認するという流れだったのが、途中からはぶっつけ回答になり、Part4はそもそも得点を稼ぐ自信はありませんでしたから、リスニング終了時点ですでに疲労困憊。

リスニング自己採点(確実に自信のあるものを数えました)は6割5分ほどで、正直もう結果は見たくないという気分。

教訓としては、追えなくなった問題は「捨てる」こと!

リーディングは手応えをまあまあ感じましたが、もう二度と亀戸には来たくないな、両方の科目で基礎級が取れなければもう受験するのは止めよう、と思いつつ帰宅しました。

結果発表

2023年1月4日にオンラインで結果発表、その一週間後11日に結果通知と証明書が郵送されてきました。

成績証明書(郵送、結果はオンラインで先立って確認済)

リスニング  66点/80点
リーディング 78点/80点
合計点 144点/160点

能力別のレベル

リスニング、リーディング、合計ともにLevel2、基礎級認定されました。
正直、リスニングはよく取れたなというのが本心です。
それぞれの項目のレヴェルも☆印で示されていました。

分厚い卒業証書のような測験證書

そして、教育部長(文科大臣?)名の測験證書も入っていました。

ずいぶん立派なものが発行されるのだなと感心してしまいましたし、励みにもなりますね。

なお、日本で受験した場合の得点とレベル認定の相関は以下のようになっているようです。

(TOCFL日本事務局HPから引用)

次のステップとしてBandBの受験も考えていますが、受験日は未定です。2023年3月に出版された「台湾華語さらなる2700」(アスク出版)と悪戦苦闘中です。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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