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気象一般過去問から問6 風とコリオリ力とは(地衡風、傾度風)

第56回気象予報士一般試験問6

北緯 30° と北緯 45° の2つの地点で,いずれも東向きで風速 100m/s の地衡風が吹いているとする。

この2つの地点で,水平気圧差が 4hPa となる南北方向の距離をΔY 30 ,ΔY45 としたとき,ΔY 30 とΔY45 の比(ΔY 30 /ΔY45 )の値として最も適切なものを,下記の①~⑤の中から1つ選べ。ただし,2つの地点で大気の密度は等しく,地表の摩擦の影響は無視できるとし,sin30°=1/2, cos30°=1.7/2, sin45°=1/1.4, cos45°=1/1.4とする

① 0.6
② 0.7
③ 1
④ 1.4
⑤ 1.7



こういう問題が出ると最初からあきらめそうになります。
が、同じ気圧差であれば緯度の高い方が風は強いのです。
ですが、この問題は風速が一緒の100m/sですから緯度の低い方が距離が短くて気圧差がなければならない。
ここで、もう④か⑤だと分かるのです。
計算が嫌なら5割の確率に賭けなければなりません。

というのは嫌なので調べます。




目に見える地衡風

筋状雲
衛星画像で、Cu(積雲)やCg(雄大積雲)で構成された多数の雲列が平行に並ぶパターンを「筋状雲」と呼ぶ。概ね下層風に平行な走向を持ち、雲頂高度はほぼ一定である。雲層内での風向の鉛直シアは小さいが、オープンセルやクローズドセルに比べ風速の鉛直シアは大きく、図1のように下層風の鉛直シアに平行なロール状の雲(雲列や雲バンド)が形成される。この図では、ロール状の対流における空気塊の螺旋運動が示され、対流雲は上昇気流域の上部に形成されることを表す。
図2は、2016年2月11日00UTCの可視バンドによるTrueColor画像で、雲パターンSが筋状雲であり、オープンセルに比べ地衡風が強い領域である。

気象衛星センター
図1 ロール状対流の模式図
図2 2016年2月11日00UTCのTrueColor画像



地衡風についてわかりやすい図を見つけました。

色と形で気象予報士さんより

風とは
暖まった空気は軽くなって上にのぼり、その下に周囲から冷たくて重い空気が入り込みます。そのときに風がふきます。

高気圧になるとは押す力が強いので低気圧側に風が吹きますが、風が吹く時には地球にコリオリ力が働いているため向きが変わります。

コリオリ力とは簡単にいえば、、
地球儀を見てください、地球は丸いです。
そこで、日本の真南の赤道と日本はどちらが早く回っているか?
を考えると地球規模でいえば赤道だとわかります。
では、早く動くところから物を投げるとどうなるか?
メリーゴーランドに乗ってボールを投げると相手の左(自分から見れば右)に曲がる。

地球をメリーゴーランドに例えると、、

受験のみかたより



このように慣性の力の一種です。

ということで高気圧から低気圧側に吹く風は右に曲がるので、
高気圧は右回りの風、
低気圧(台風も含む)は左回りの風です。

ここでまた地衡風の話になります。

地衡風は等圧線と平行に吹く。
この地衡風、コリオリ力、気圧傾度力の関係は下の図のようになる。
地衡風=コリオリ力=気圧傾度力

色と形で気象予報士さんより

これらを含め遠心力がかかる風についても簡単に図にして表されていました。

色と形で気象予報士さんより

このようになります。
傾度力=コリオリ力+遠心力
傾度風地衡風遠心力が加わったものです。


風は温度上昇下降で吹き、気圧が変わり吹きます。
そして風速を計算していくには、地衡風とコリオリ力から始まると思います。

この関係を式に表すと、


まず、コリオリ力の働く向き
北半球:右
  
南半球:左

 コリオリ力は

● 質量が大きいほど大きく
● 速度が速いほど大きく
● 緯度が高い(極に向かう)ほど大きく(赤道は0に)なります

 コリオリ力Fの式
F = 2ΩVsinΦ 
Ωは角速度
または
F = fV
(コリオリパラメータ f = 2ΩsinΦ

fV=2Ωsinφ



傾度風は地衡風に遠心力が加わったもの。
傾度風=遠心力

簡単に説明すると、
気圧傾度力とは=気圧差/距離差=ΔP/Δn
つまり、天気図でいうと、同じ距離の中に気圧差が大きいほど気圧傾度力が大きい。
等圧線がたくさんあるときに風が強いのはこのためです。

遠心力とは遠くなるほど強くなります(同じ角速度)。

ここで、もう一度問題。
北緯 30° と北緯 45° の2つの地点で,いずれも東向きで風速 100m/s の地衡風が吹いているとする。

この2つの地点で,水平気圧差が 4hPa となる南北方向の距離をΔY 30 ,ΔY45 としたとき,ΔY 30 とΔY45 の比(ΔY 30 /ΔY45 )の値として最も適切なものを,下記の①~⑤の中から1つ選べ。ただし,2つの地点で大気の密度は等しく,地表の摩擦の影響は無視できるとし,sin30°=1/2, cos30°=1.7/2, sin45°=1/1.4, cos45°=1/1.4とする

地衡風の関係式は
F=fV
V=F/f=100m/s
コリオリパラメーターf=2Ωsinφ
気圧傾度=気圧差/距離差=ΔP/Δy
気圧傾度力=ー1/ρ×ΔP/Δy

V=ー1/2Ωsinφ×ΔP/Δy
Δy=ー1/2Ωsinφ×ΔP/V
sinφ=1/2なので、
Δy30=ー1/2Ωsinφ×ΔP/Vしn

Δy30=ー1/2Ω1/2×4hPa/100m/s
==ー4hPa/2Ω1/2×100m/s
同じように
sinφ=1/1.4なので
sin45=1/1.4
Δy45=ー4hPa/2Ω1/1.4×100m/s

Δ30/Δ45=1/2/1/1.4
=1.42
≒1.4

答は④


計算問題になると式を覚えておくしかないようです。
コリオリ力=コリオリパラメーター×風速
F=fV
fV=気圧傾度力
地衡風=コリオリ力=気圧傾度力


気圧傾度力Pとは式にしてあるとわかりにくくみえますが、ある距離の気圧差のの大きさことです。
気圧傾度力Pー1/ρ(密度)×ΔP(圧力差)/Δn(距離)

コリオリパラメーターとは
コリオリ力は地球が自転することによって発生する慣性力の一種で見かけ上の力であり、地球緯度と角速度によって変化するので
Ωは角速度、sinφで緯度を表し、
f=2Ωsinφと表されます。





こんにちは、計算問題になると途端にダウンです。
後、50日もないので、最後の2週間は法令問題に時間をさきますから

実質、残り1か月、、、やばいなぁ。


朝ドラの舞ちゃんは、こんなのを見て飛行ルートを決めているんだと思います。
気象庁|航空気象情報 (jma.go.jp)


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