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第56回気象専門勉強 過去問 問1~5 1/4

第56回気象予報士専門試験 
問1 降水

気象庁が行っている地上気象観測における降水の観測や雨量計について述べた次の文(a)〜(d)の正誤について下記の①から⑤の中から正しいものを1つ選べ。

(a)「降水量」とはある時間内に地表の水平面に降った雨・雪などの量であり、降水が地中にしみ込んだり他の場所に流れ去ったりせずに地表面上を覆ったとしたときの水の深さ(雪などの固形降水の場合は融かして水にしたときの深さ)で表す。
(b)アメダスでは雨水が転倒マスに一定量(0.5mm相当)入ると転倒する構造の雨量計を用いて転倒した回数から雨量を観測している。
(c)雨量計に隣接して建物や高い樹木などがあるような環境では、雨滴や切片の捕捉率が下がるなどして、観測精度が低下する。
(d)雪などの固形降水が積もって地面を覆っている状態を「積雪」といい、稀に夏季にひょうが積もって「積雪」となることがある。

① (a)のみ誤り
② (b)のみ誤り
③ (c)のみ誤り
④ (d)のみ誤り
⑤  すべて正しい


(a)正

解答資料

降水量とは何ですか? 降水量を「ミリ」で表すのはなぜですか?
 降水量は、降った雨がどこにも流れ去らずにそのまま溜まった場合の水の深さで、mm(ミリメートル)で表しています。例えば、「1時間で100ミリの降水量」は降った雨がそのままたまった場合、1時間で雨が水深10cmとなるということです。1平方メートルに100ミリの雨が降った場合、水の量は100リットル(重さにして約100kg)になります。

気象庁 
よくある質問集より

(b)正
解答資料

気温
空気の温度0.1℃(摂氏)単位で表します。
降水量
降った雨や雪の量0.5mm単位で表します。
雪やあられなどは、溶かして水にしてから観測します。
風向
風の吹いてくる方向北、北北東、北東、東北東、東、東南東、南東、南南東、南、南南西、南西、西南西、西、西北西、北西、北北西の16方向で表します。観測前10分間の平均値です。
北東の風とは、北東から吹いてくる風を言います。
風速
風の速さ0.1m/s単位で表します(アメダス地図形式は1m/s単位)。
観測前10分間の平均値です。
日照時間
※太陽が照らした時間0.1時間(6分)単位で表します。
例えば、11時から12時の1時間にすべて太陽が照っていたら1時間と表します。
積雪の深さ
積っている雪の地面からの高さ1cm単位で表します。
また、x時間前の積雪の深さとの差を「前x時間降雪量」と表します。
湿度
空気の相対湿度1%単位で表します。

気象庁HPデータ表示方法より


(c)正
解答資料

 観測場所
風は地物の影響を受けやすいので,風向・風速計は,普通,平らで開けた場所に設置する。測器 感部と建物や木々などの障害物との距離は,障害物の高さの少なくとも10倍以上あることが望まし い。 平らでない崖の上や,建物の縁などは風の吹き上げなどの影響が大きい。建物屋上に鉄塔などを 用いて風向・風速計を設置する場合も比較的多いと思われるが,風の吹き上げの影響や冷却塔など 屋上構造物の影響が少ない場所を選び,建物の大きさ・高さによる風の乱れの影響を避けるように するのが望ましい。 -20- 広い範囲をできるだけ代表する風の観測を行う場合の測器設置条件は上記のとおりであるが,車 や列車の安全運行を確保するため,橋上やトンネル出口での風速を観測するといったように目的が はっきりしている場合には,その目的に合致した設置場所,高さを選定する。

気象観測の手引きより


(d)誤
天気用語では、雪あられは雪、氷あられは雨
あられより大きなひょうは雨。
  
正解は④



第56回気象予報士専門試験
問2ドップラーレーダー

気象庁が行っている気象ドップラーレーダーを用いた観測について述べた次の文章の下線部(a)〜(d)の正誤について、下記の①〜⑤の中から正しいものを1つ選べ。

気象ドップラーレーダーは、アンテナを回転させながら電波(マイクロ波)を発射し、半径数百kmの範囲内に存在する雨や雪を観測している。
(a)発射した電波が反射して戻ってくるまでの時間から雨や雪までの距離を測り、戻ってきた電波の強さから雨や雪の強さを観測する。
また、
(b)戻ってきた電波の周波数のずれを利用して、雨や雪の動き(動径方向の降水粒子の動き)を観測し、降水域の大気の流れを捉えることができる。
また、最近導入された二重偏波気象ドップラーレーダーは、
(c)水平方向と垂直方向に振動面を持つ電波(それぞれ水平偏波、垂直偏波という)を用いることで、
(d)雲の中の降水粒子の種別の判別や降水の強さをより正確に推定することができる。

① (a)のみ誤り
② (b)のみ誤り
③ (c)のみ誤り
④ (d)のみ誤り
⑤  すべて正しい


解答資料
気象庁 | 気象レーダー (jma.go.jp)

(a)正
(b)正
(c)正
(d)正

すべてその通りで
正解は


第56回気象予報士一般試験
問3低気圧

下図は2月のある日の12時の地上天気図であり、図ア〜エは、その日の6時~12時に(a)〜(c)を含む4地点のウィンドプロファイラによって観測された高層風の時系列である。
天気図中に示した地点(a)〜(c)に対応する高層風の時系列の組み合わせとして適切なものを、下記の①~⑤の中から1つ選べ。

私的考えによると、
低気圧では反時計回りの風であることと、低気圧の進む速度85km/hを頭に入れておき、わかりやすい地点から見つけていく。
それと下層から上層への風向の変化を考える、

下層から上層へ向かって風の向きが反時計回りに動くのは寒気移流である。
暖かいところから冷たいところへ向かう寒気移流なのである。つまり温暖前線と寒冷前線の間である。
逆に時計回りに風向が変化していれば暖気移流。温暖前線の前(東)である。
温度風の考えのことである。

で、表を見る。およそ9:00から12:00を見る。

アは北東から北北東に変化し、上層へ向かって反時計回りの寒気移流。
イは南南東から南東に変化し、上層へ向かって時計回りの暖気移流。
ウは南南東から南南西に変化し、上層へ向かってゆっくり時計回りの暖気移流。
エは北北東から北東に変化し、上層へ向かって反時計回りの寒気移流。


(a)は東から北よりの風へ変わるので

(b)は南から西寄りの風に変わり、温暖前線を抜けるので時計回りから反時計回りに変わっているはず。

(c)は南寄りの風から東寄りの風に変わっていく

よって正解は、アウイで


第56回気象予報士専門
問4 数値予報

数値予報の誤差について述べた次の文(a)~(c)の下線部の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の①~⑤の中から1つ選べ。

(a)数値予報モデルの初期値として利用される解析値の精度は、モデルの格子点の位置によらず、空間的に一様であると見なしてよい。
(b)数値予報モデルの予測の誤差は、一般に予測時間が長くなるにつれ増大する。この予測誤差の成長の程度は、同じモデルであれば気象場によらず常に同程度となる。
(c)数値予報モデルの変更によって予測の平均誤差(ME)がゼロに近づいた場合、二乗平均平方根誤差(RMSE)も必ず減少する。

(a)は
空間的に一様ではない

(b)予測の対象によって変わる

(c)平均誤差はプラスマイナスでゼロになるが、二乗平均平方根誤差はマイナスがないのでゼロにならない。

解答⑤


資料
天候予測の不確定さの要因は短期予報にも含まれていますが、予報期間が長くなるにつれて予測の不確定さも大きくなっていきます。また、観測データの不足や、数値予報モデルの限界は、技術が向上すればある程度は改善されますが、カオス性による誤差はいくら技術が向上してもゼロになることはありません。
アンサンブル予報
予測に伴う不確定さを考慮することで将来の予測を可能にする手法の一つにアンサンブル予報という手法があります。
アンサンブル予報とは、わずかに異なる複数の数値予報を行ってその結果を統計的に処理することで、不確定さを考慮した確率的な予測を可能にするものです。季節予報では、初期値にわずかなバラツキを与えた複数の数値予報(1か月予報では50例、3か月、暖・寒候期予報では51例の数値予報)を行い、その結果を統計的に処理することで将来の予測を行っています。複数の数値予報の結果を平均(アンサンブル平均)することにより、一つ一つの数値予報結果に含まれる誤差(予測の不確実性が高い部分)同士が打ち消しあって平均的な大気の状態の予測精度を上げることができます。 また、複数の予報を行うことで、それぞれが同じような状態を予測していれば、その状態が発生する可能性が高いと判断でき、逆にぞれぞれがバラバラの状態を予測していれば、予測精度が低いと言えます。このように、アンサンブル予報を用いることで予測の不確定さの大きさを見積もることも可能になります。明日・明後日のような短期間の予測では誤差がそれほど大きくならないため、アンサンブル予報を用いない予測が可能ですが、季節予報のような長期間の予測では、予測ができなくなってしまうほど誤差が大きくなるため、アンサンブル予報を用いる必要があります。
下の図に1か月予報におけるアンサンブル予報の例を示します。ここでは850hPa(地上約1,500m)の気温の平年差の予測を示しています。50本の細い実線は個々の予測結果です。初期値にわずかなバラツキを与えただけで、50個全ての予報が異なる予測結果を示していることが分かります。黒の太い実線は50本の細い線を平均したもので、これがアンサンブル平均の予測結果です。この例では、向こう1か月間のはじめは高温となり、その後は平年より低く経過すると予測されています。また、50個の予測のばらつき方は前半に比べ後半では大きくなっており、予報時間が延びるとともに予測が難しくなることを示しています。なお、図の気温は7日間の移動平均であり、たとえば初期日(0日目)から6日目までを平均した予測結果は3日目のところに示してあります。

気象庁
予測手法と伴う誤差予測に伴う誤差



第56回気象予報士専門
問5数値予報

気象庁の数値予報モデルについて述べた次の文(a)~(c)の下線部の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の①~⑤の中から1つ選べ。

(a)メソモデルは非静力学モデルであるが、用いられている格子間隔では、個々の積雲の振る舞いを十分表現することができないため、積雲対流パラメタリゼーションを用いている。
(b)メソモデルは全球モデルに比べ分解能が高いが、大気境界層中の様々な渦の振る舞いを充分表現することができないため、大気境界層過程のパラメタリゼーションを用いている。
(c)局地モデルは非静力学モデルであり、メソモデルに比べ格子間隔が小さいため、水平スケールが数kmの個々の積乱雲の予測が可能であり、集中豪雨などの局地的な激しい現象を主な予測対象としている。

(a)
その通り


(b)
その通り


(c)
局地モデルは非静力学モデルであるが、10kmぐらいまでしか予測できないので、水平スケール数kmの積乱雲の予測はできない。

解答➁

資料
 数値予報モデルで予測できる気象現象の規模は格子間隔の大きさに依存しています。格子間隔が約20kmの全球モデルでは、高・低気圧や台風、梅雨前線などの水平規模が100km以上の現象を予測することができます。格子間隔が5kmのメソモデルになると、局地的な低気圧や集中豪雨をもたらす組織化された積乱雲群など水平規模が数10km以上の現象を予測できるようになります。格子間隔が2kmの局地モデルでは、水平規模が10数km程度の現象までが予測可能となりますが、まだ個々の積乱雲が表現できる程ではありません。

気象庁数値予報モデルより


これらの問題な出てきた非静力学モデルとはどういうことか?
まず、大気は横(水平)に地球を一周する3-40000kmの距離があるのに、縦(高さ)は熱圏まででも100km、まして積乱雲の発生する対流圏は高くても20kmである。大規模な大気の運動について計算するとき高さのことを考えても計算上ほとんど変わらないので、大気は高さはあっても穏やかーに静かーにしてるというのが静力学モデル。
いやいや、細かい計算するので高さを考え計算します、というのが非静力学モデルです。

こんにちは、
またパソコンの調子が悪い。
今日もいい日にしましょう。
good time!

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