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【美術ブックリスト】『平塚市美術館の現代日本画』 平塚市美術館編

平塚市美術館は、1991年以来、地元湘南ゆかりの作家や日本の近現代美術の作品を収集。2004年に草薙奈津子氏が館長に就任すると、現代日本画をテーマに展覧会を次々と開催し話題となった。2023年館長を退任する草彅氏が出品作品を厳選した展覧会「現代日本画 コレクションのあゆみ」(10月29日〜2月19日)の図録兼書籍が本書。
日本画表現を革新した作家12名(麻田鷹司、伊藤彬、内田あぐり、工藤甲人、斉藤典彦、中島千波、濱田樹里、松尾敏男、三瀬夏之介、山本直彰、山口蓬春、山本丘人)の作品を紹介し、それぞれとの対談を収める。
さらに展覧会に収録した論考のほか、美術関係者による寄稿からはバイタリティ溢れる館長の姿が浮かび上がる。
ここまでが概要。

ここからが感想。
展覧会図録だと思って読み始めた。図版が少なくて、文字が多いなあと思ったら、退任する草薙館長をめぐる記録と対話集、そして感謝の手紙を集めたような、図録としては稀有な一冊になっていた。
とても読み応えがあり、これを読んでから展示に出かけた方がいい。特に元同館学芸員の土方明司氏による一文と末尾の三人の学芸員による文章は、館長以下学芸員の仕事ぶりとそこで奮闘してきた彼らの思いがよく伝わってきた。
おそらく過去にも退任にあたってこれほど言葉を寄せられた館長はいないのではないかと思う。

B5判 168ページ 2750円 求龍堂



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