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【美術ブックリスト】 『世界奇想美術館 異端・怪作・贋作でめぐる裏の美術史』エドワード・ブルック=ヒッチング著 

【概要】
疑問だらけの傑作・怪作・珍作・贋作を語りつくす。賢者の石のつくり方が暗号で記されているという「リプリー・スクロール」、妖精画《お伽の樵の入神の一撃》、死者の戴冠を描いた《1361年のイネス・デ・カストロの戴冠》など、無名の画家たちの作品の数々。図版270点以上。

【感想】
『地獄遊覧』の著者による歴史に埋もれた「裏の美術史」。水中画家プリチャードの作品、アメリカ人画家サラ・グッドリッジによる胸だけの自画像、死体が朽ちていく様を描いた日本の九相図のほか、贋作、捏造、いたずらなどの切り口で過去から作品を拾い集めていて面白い。
山田五郎をさらにマニアックにした美術オタクによる珍画奇画コレクションといった感じです。


田中久美子◉監修 3500円 日経ナショナル ジオグラフィック◉刊 25.2×19.6cm 256ページ

賢者の石のつくり方が暗号で記されているという『リプリー・スクロール』、
キリスト教の宗教画に登場する犬頭の聖クリストフォロス、
南米で誕生した火縄銃で武装する天使、
無数の釘が撃ち込まれた像「ミンキシ」、
キリスト教では宙に浮く聖人のいくつもの伝説、一方で冒涜を意図した『宗教の雛形』、
果物や野菜の寄せ集めで人物を表現したアルチンボルド、
死者の戴冠を描いた『1361年のイネス・デ・カストロの戴冠』、
妖精画『お伽の樵の入神の一撃』、
水中で描く初の画家として一世を風靡したザール・プリチャード、
細密肖像画ブームで生まれた、言いようのない味わいがある『火焔に包まれる男』、
心霊美術が生み出した、無名の画家たちの多数の作品、
彗星のごとく画壇に登場したピエール・ブラッソーの正体……。

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