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【美術ブックリスト】谷川俊太郎詩、山中現画 後藤眞理子編『アトリエに来たコトバ 詩画集minimal』

2002年の谷川俊太郎の詩集『minimal』の30篇の詩のそれぞれを山中現がイメージして絵画を制作。誰かから依頼されたわけではなく、画家の自主的な行動で「この詩集を読んでいると夢中になりどんどんイメージが湧き上がってきた」とのこと。「谷川俊太郎の世界を描く」展を開催し、関連して詩画集を出版した経緯のあるギャラリーオーナーの後藤氏が制作に携わった。
詩はシンプルな三行詩で、木版画家として知られる山中現だがこれは水彩で描いている。ここまでが概要。

ここからが感想。
詩画集といっても、言葉も絵もミニマル(極小)なので、あまり深刻に読むのではなく、ぱらぱらとめくって眺めるのにいい本。

谷川さんの詩は絵画的で、山中さんの絵画が詩的なので、自然に同調しているのだろう。どちらか一人が詩を書き、絵を描いたといっても気づかれないと思う。それだけに二人のコラボとは思えないというか、ピッタリしすぎというか。コラボレーションに期待する「化学反応」や「異質なものどうしのせめぎ合い」はなく、読後感もゆったりしている。

1800円 19.5×17.6cm 79ページ 玲風書房


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