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暖簾をくぐる

生まれた頃から着物に囲まれ過ごしてきた夫と比べると、わたしは真逆で、30歳を越えるまで日本の文化に意識して触れてみることなく過ごしてきた。
20代は海外への憧れもあり、面白いと感じたのは違いがわかりやすい異文化だった。その頃に少しだけ海外での生活も送ったけれど、海を渡ってからはじめて自分の生まれ育った国に興味を持ったのだと思う。

そんなよくありがちなエピソードの先に、日本の文化のしかも着物のことを考える今の日常がある。
ドメスティックなことが実はインターナショナルだったりするのだと思う。

着付けを習ってまもなくに小笠原流礼法と、その中のご縁でいけばなの教室に通い始めた。
日本の習い事に触れてみてはじめて、表面に現れる形は違えど、どちらも相手を思いながら形を作るということが共通していると感じた。日本のものづくりにも当てはまるところがあると思う。

奥ゆかしさはわかりにくさでもある。深く触れてみないと分からないことが多い。
わかりにくいものや、時間がかかるものは好まれない時代にあって、触れることすら敬遠されてしまいがちだけれども、
あくまで自分の好みとしては、どことなく雰囲気のいいもので、使い勝手がよく、使い込むと朽ちていくのではなく、育って深みを増していくものだったりする。
大概そう言ったものは、背景を識ると更に面白いと感じるようです。

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