こち亀にひかれて

今日は、大好きな漫画「こちら葛飾区亀有公園前派出所」の魅力を独自の視点で述べたいと思います。

 私が「ジャンプのなかでは、こち亀だけ読む」というと人はいいます。ストーリー性が少ないではないかと、少年誌の醍醐味のような山場ができにくいではないかと。ほかに読むものもあるだろうと。断固としてこれは間違った解釈です。いくつかの魅力を順に述べたいと思います。

①二つの時間軸

 こち亀のストーリーは二つの時間軸で構成されてます。ひとつは「1話」という短いものです。これは読者がどこから読んでもついていけるというメリットを与えます。もうひとつは「連載期間」というとてつもなく長いものです。これは固定読者は楽しめる仕掛けです。代表的キャラクターである日暮熟睡男は本当に4年に一度しか登場しないオリンピックキャラクターですが、このマンガでは40年という長い期間を活かしていく度々なく登場してます。普通のマンガではこのキャラを活かすことなど困難なのです。

②保たれたクオリティ

 こち亀は常に同じクオリティを保ちながら、進化していった作品なのです。なぜ保たれているかというと、この作品の作者秋本治先生は、連載を開けないように、ずっと作品をストックしているからです。ストックがあればゆとりが生まれ、新しい話を書くのときは、十分な取材ができ作品に還元できます。これほど知識を授けてくれる漫画はあるのでしょうか。

③同じキャラクター

 また初期の作品を見るとわかりますが、中川グループの御曹司で警官の「中川圭一」は初期は両津勘吉と同じく暴れん坊でしたが、時間がたつにつれ丸くなり、今のように「ツッコミ」・「雑学」役という立ち位置なっています。マイナーチェンジはしていますが、キャラクターはそのままであります。

 ジャンプはご存知の通り週間連載雑誌です。しかし一度離れてしまうと、ストーリーはおろか漫画そのものが変化していてなかなか馴染めないものです。ただここに「こち亀」があるとどうでしょう。いつもと同じこち亀がここにあるのです。「これ誰?」とか「この話は何の伏線を回収してるのかな?」という風に考えることなく読めるのです。もちろん「こち亀」に伏線がないわけではありません。ただ大事なことは気にしなくても読めるということです。

④ふり幅

 こち亀のエピソードはなんでもありです。近未来の科学技術の話もあれば、両津の幼少期の話、金儲けで成功したのに歯止めがきかず大損する話。かつての親友の再開する話もあれば、ボーナスを追いかけられる話だってあります。

 先週あれだけふざけていたのに、今週は「感動する。」とおもって涙を浮かべるものの、来週は「またばかやってる。」と笑い転げる。このふり幅はこち亀という特性だけしか出せません。両津勘吉の前ではこれらすべてありです。


 ざっとこんな感じでありますね。このバランスが出せる漫画は私が生きている間は出てこないと思っております。みなさんもこの視点で「こち亀」読んでみてください。


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