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私の住処

この海は、世界につながってるのに
私はずっとここに居る。
海のそばに住んでいながら、
めったに行かない海岸への散歩に
水平線を眺めながら、想う。

私はずっと生家に住んでいる。
もう61年になる。

恥になるのか?
自慢になるのか??
私はずっと生家に住んでいる。

家を空けたのは、最長でも1週間。
それは子供達の出産、自然分娩時の入院だった。
旅行だって、大抵は3泊4日だ。

私が大きな事故にもあわず、身体にメスを入れることもなく
今まで過ごせたことは幸せだと思う。
けれど、私はいたって健康ってわけではなく、
それなりにちょこちょこ通院はしてて、
あっちこっち具合の悪いとこもある。
お陰様で、いまのところ長期入院はしてないだけの話である。

私は母親が大嫌いだったから、
自分の稼いだお金が早く欲しくて、進学もせず地元に就職した。
母親は大嫌いだったけど、長女としての責務を強く思い込んでいた。
私は、お婿様を取った跡取り娘である。

ダンナは出かけない人で、
私たち夫婦は一緒に出掛けることがなかった。
だから私の旅行はツアーで、
私は連れてってもらわないと何処にもいけない人だった。
もちろん海外など行ったこともなく、たぶんこれからも行くこともない。
国内だって行ったことがあるとこは、簡単に言える。

そんな私が、ツアーでなく、旅が出来るようになった。
どこでも行けるってほどではないが、楽しめるようになった。
それはずっと前のメル友さん達との出会いにある。
田舎者の私の視野を広げてくれ、勇気をくれたのである。

生まれた家から離れることなく、
ずっと生まれた家に住んでいる。
それでも、ちょこちょこ旅行が出来るようになった。

わたしのお気に入りは、京都の手作り市だった。
物つくりが大好きな私は、
ゲストハウスに泊まって京都に行けるようになった。

最近は大阪に長男が就職したので、
暇な次男と彼のとこを宿にして出かけるようになった。
長男は仕事で忙しく、付き合ってもらえないから、
次男とイベントを探して、調べて行く。
母と息子が旅行なんて怪しいので、少し離れて他人のふりして移動。
目的地では集合時間を決めて、別行動(笑)

京都は目的がなくても廻れるが、
大阪はそういうわけにはいかない気がする。
そのうち大阪環状線の駅、
ブラっと降りてブラっと回れるようになれたらいいな、なんて思う。

いろいろ廻って、いろいろを知る。
同じとこにずっと住んでいるけど、不満はない。
病院とか施設とか以外は
もう何処かに移り住むことはないと思う。

だから、私が生きてるうちは
私の家がそのままであってほしいと思う。
火災とか災害とかで壊れてしまわぬようにと。
私の一番大事な物に、家はなってるかもしれない。






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