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しばらく間が空いてしまった。飽きたわけではない、と信じたい。

数字については何度か日記で言及してきたが、年に一度、嫌でも必ず意識することになる数字がある。

先日、また誕生日を迎えた。28歳になった。

28という数字は重くのしかかる。年代を表すときは、5年刻みが最小単位とされる傾向にある。これに従うと、27歳までは「ほとんど25歳」と思うことができた。だが今となっては、「ほとんど30歳」だ。この違いはかなり大きい。

iPhoneの「写真」を10年前に遡り、18歳の誕生日に保存した画像を見てみると、ミルキィホームズのエリーとネロがうまうま棒を食べるイラストが二枚だけあった。
声優ユニットとしてのミルキィホームズは2019年、10年間の活動を終了した。10年あればなんでもできる。ミルキィホームズもPSPのゲームに始まり、ブシロードの顔として活躍してきた。

18歳から10年、この10年は何ができて、何をし損ねた10年だったのだろうか。少し、静かに考えたい。


空気が重くなってきたので、ほのぼの動物動画でごまかしておく。
川のせせらぎ+十分な日の差す森+眠たげな大きい犬の映像という、一般にリラクゼーション効果があるとされがちな要素が三つも詰め込まれた、お得セット。

この方(ゴールデンブヒさん)の飼い犬らしく、フォローしておくと毎日このゴールデンレトリバーのほのぼの動画を見ることができる。日々に癒やしがほしい方、ぜひ。

読んだもの:新城カズマ「月を買った御婦人」(編・伴名練)

いくつかの媒体に発表されてきた著者の短編を、SF作家の伴名練が編んだ短編集。

著者の新城カズマは「サマー/タイム/トラベラー」の書名だけは聞いたことがあったが読んだことはなく、本書が初読。

伴名練氏が絶賛するだけあって、かなり粒ぞろいに面白い。なかでも印象に残ったものをいくつかメモしておく。

アンジー・クレーマーにさよならを

遺伝情報の売買が若者の間で一般化した近未来の少女たちと、スパルタの歴史が交差する。いま出ていれば間違いなく「百合SF」とラベルされていたのだろう。ラストの光景は映像的な迫力がある。近未来社会の流行にどきっとするほど直截的な比喩が使われるのも、一つの重要なテーマを浮き彫りにしている。

マトリカレント

海の中で生き続ける力を覚醒させた一族と、その一員となった東ローマ帝国の女官。歴史の裏側で生き続ける彼らと現代文明が接触して、やがて……。歴史的、政治的スケールの大きさをもつ一方で、ロマンチックな一貫性が綺麗。

ジェラルド・L・エアーズ、最後の犯行

SF要素がない、死刑囚と聡明な女学生の文通の記録。
書簡形式と伴名練といえば「ホーリーアイアンメイデン」や「彼岸花」が思い起こされるが、この形式は伴名氏のお好みなのだろうか。
それらにも共通する味だが、意図を持って書かれた手紙であるがゆえに書かれていることと書かれていないことがそれぞれ重要になってくる、ある種の叙述トリック的な面白さがある。

月を買った御婦人

メキシコ帝国を舞台にした竹取物語的求婚譚とそれをきっかけに始まる宇宙開発競争の歴史改変SF。「マトリカレント」と同じく、派手なスケールと対照的にロマンチックな締め方。この改変歴史においては、自由主義ではなく帝国主義によって科学が加速的に推進したという立て付け。エレクトロニクスを発明せずにどうやってコンピューター文明を実現するかという思考実験は個人的な好みだが、その点においてはこの作品に取り立てて新しさはないと思う。そこが若干残念。


なお、最後の二つの短編はまだ読み終わってない。明日読みます。

この本は友人のhighland氏にいただいた。この場を借りて感謝したい。

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