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保育士の私が、子供たちに教えてもらったこと(絵本が子供の心を揺らす瞬間…長 新太さん《にゅ〜するする》)

*名前は仮名です。

レン君は年長の男の子ASDの診断を受けています。コミュニケーションは主に大人の手を引っ張る(クレーン)と、『あー、あー』等の発声です。私たちは具体的な物や絵カードを見せながら伝えています。

ある日、午後の活動の前に絵本を読みました。題名は、《にゅ〜するする》。独特な筆のタッチが目を惹く長 新太さんの作品です。

絵本を目で捉え、集中して内容を受け止められるよう、事前にその子のマークの貼ってある椅子に座るよう呼びかけて読み始めました。

絵本のストーリーはご存知の方も多いと思います。簡単に言うと、地面から出てきた大きな手が、さまざまな物や人を捕まえて引きずり込む、繰り返し要素のある不思議なお話です。

レン君は、呼ばれるがままに自分の椅子に座りました。
はじめのうちは表情を変えずに見ていました。でもだんだんと不可解な様子が伺われて来ました。後半にお父さんやお母さんも引きずり込まれるページが出てきたところでは立ち上がり、涙を流しました。目は絵本から離れません。

絵本を見る子供たちは、ことばよりも絵からストーリーを感じると聞いたことがあります。
レン君はこの絵本から何かを感じたのでしょう。ことばではなく、心を揺らす何かを。

絵本っていいなと思うし、子供たちがそんな経験を積める素晴らしい絵本を見つけるスキルを身につけたいと思いました。

皆さんは、子供の心を揺らす絵本を見つけられていますか?

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