保育士の私が、子どもたちから教えてもらったこと(その6… 砂場でシャベル)

※名前は仮名です。

ミコさんは自閉スペクトラム症の女の子。笑顔がとっても可愛らしいです。目の前で物の位置が変わることが不安で、嫌がって大きなブロックなども顔を真っ赤にして元の位置に戻そうとしたり、以前の配置を覚えていて、その設定にしようとしています。その度に『ミコさん、こっちで遊ぼう〜』など声をかけ、他のものに興味を持ってもらいたいなぁと思っています。
ある日、ミコさんは珍しく砂場にやってきました。…というのも砂に触るのが苦手で普段は近寄らないからです。砂だけでなく粘土やスライムも苦手でした。私は他の子とすでに山作りに取り組んでいました。そこですかさず持っていたシャベルで砂をすくい、ミコさんが見えるようにサラサラと落としてみました。するとミコさん、よくみていたのでもう一度私が『さらさら〜』と言いながら落とし、もう一度すくってそのままミコさんに持たせてみました。私が『さらさら〜』と言うと、ミコさんは砂を落としました。『わぁ、《さらさら》できたね。もう一回やってみよう、シャベルちょうだい』そして《シャベルで砂をすくう→ミコさんに渡す→さらさら落とす》を繰り返して遊びました。直接触らなくても砂遊びができたミコさん、一つ遊びが広がりました。
ミコさんは、今では大きめのシャベルを使い、自分で遊んでいます。

ミコさんから教えてもらったこと…砂は触らないけど、楽しめているよ。

感覚過敏を持つ子はたくさんいます。でも、子どもたちはいろいろなことに興味を持っているし、何らかの方法で遊びたいと思っています。今回のように道具を使うことで対象物から距離を取り、間接的に遊べる方法を伝えることで、子どもたちが安心して遊びを広げていけます。子どもたちの『遊びたい』という気持ちを大切にしていきたいです。        
               ※もくれん※

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