ねじまき鳥クリニクル

村上春樹さんの「ねじまき鳥クリニクル」を読んでて思ったんですけど、
結構きつい戦前の日本陸軍による中国人の虐殺シーンや、逆に旧ソ連軍によって抑留された日本兵の過酷な日常が小説の中に出てきます。読みながらつい今のロシアによるウクライナの戦争を思い出してしまいます。テレビでは連日双方の戦争犠牲者数を伝えていますが、そこからは何も見えてきません。アメリカによる湾岸戦争の時などはまるでゲームの画面を見るような報道しかありませんでした。でもそのミサイル攻撃の下には名も無き人々のささやかな生活があったはずなのに、私は何も感じません。想像すらできません。どうやら、歴史は小説の中で語られるように真っ直ぐ進むものではなさそうです。現実には正義も悪魔も真実も虚構も同時に存在し世界は毎日混沌としています。そして、人々は何が本当のことなのか知るべき想像力すら失いかけているような気がします。テレビのドキュメンタリーだとちょっと目を背けたくなる映像もあります。忘れてはいけない平和の大切さや自由の尊さ。
失ってから気が付いても遅い何気ない日常の幸福。小説はフィクションの世界だから直視出きるんでしようか?読みながらそんな事を思いました。


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