自分

子育て中学生編
2回目のてんかん大発作を起こした息子だが、その後は落ち着いた状態で、また陸上部にも復活していつもと変わらない生活を送っていた。
しかし、周りの空気や相手の気持ちを考えないような言動とかは相変わらずで、たまに会話も噛み合わない時がある。
そういう理由からか、本人から聞いたわけではないが、おそらくイジメを受けていたんじゃないかと思う。

妻が、息子の同級生のママ友から聞いた話だが、イジメを受けたりしてるみたいだが、その都度先生に直接助けを求めて、イジメてる生徒達が先生に怒られるという事が何度かあったらしい。
そういう事を繰り返してるうち、イジメてる生徒達も、息子にちょっかい出さなくなったとの事。
おそらく、イジメたりしても結局すぐ先生に呼びだしくらうので、バカらしくなったのだろう。

息子は息子なりに、自分の身を守る術を身につけていた。
これは、小さい時からの環境だったような気がする。
私が仕事でいない時、妻が息子を叱ったりすると、爺婆が「こんな小さい子に言っても分かる訳ないだろ!」て逆に妻が怒られていたらしい。
それを見ている息子が、何かあればその人より立場が上の人に助けて貰えばいいんだ、と学んだんだと思う。

それはそれで、そういうプラスに転じた部分があるのであれば、結果オーライでもあるが、親の言う事を聞かない、何かあれば爺婆に逃げていくというマイナス部分もある表裏一体の事でもあった。

そういう息子も、あっという間に中学3年になりいよいよ高校受験。
勉強はほとんど理解出来ない状態。
選択問題とかで、たまたま勘が当たって点数になってるような内容。
しかし本人は、高校に行って陸上を続けたい。
とにかく走りたいとの事。

勉強も理解出来ず、人にバカにされ、唯一自分が人と同じか優れている事、それが走る事。
大会で入賞し賞賛され、自分の存在価値を実感出来る。
小さい頃は、爺婆や親戚の人達に毎日のように可愛がられ、何でも欲しい物を買ってもらい、ばあちゃんが仕事してる保育園では、何をやっても許される、怒られた事もない。
でも、小学校、中学校になると、それが通用しない。
誰も可愛いがってくれないし、誰も褒めてくれない。むしろ同級生からウザがられいじめられたりする。
その現実は無くならないけど、それで受けた傷の埋め合わせしてくれるのが、走って結果を出す事だったのだろう。

だから、高校行けるような学力無いのは本人も分かっていた筈なのだが、自宅近くの農業高校を受験する事になった。
私達もある意味賭けでもあった。
もし間違って合格すれば超ラッキー、農業高校とはいえ、ある程度の専門知識とか資格等は学べる筈で、もしかしたら先々の就職に繋がるんじゃないかと。
もしダメだった場合は、違う道を歩んでいくしかない。その時はまた考えようと。

そして運命の受験当日、妻から聞いた話、息子が泣きながら帰ってきたとの事。
「全然分からなかった、どうしよう」と。

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