スマートスピーカー、普及のカギは「シニア層」

Amazonが、7月26日に画面付きのスマートスピーカー「Amazon Echo Spot」を発売する。

音声での呼びかけに対し、情報などを画面上に表示してくれるというものだ。将来的にはビデオ通話にも対応する。

ただ、同じくAIエージェントを手がけるNTTドコモなどは「画面付きのスピーカーは不要であり、スマホで十分ではないか」というスタンスだ。このあたりの指摘は連載「モバイルの達人」を参照してもらいたい。

確かに、NTTドコモの主張は理解できる。スマホは生活に欠かせないツールであり、24時間、持ち歩いている。寝ているときも枕元においておき、充電するほどだ。スマホでビデオ通話ができるということを考えると、わざわざ画面付きのスマートスピーカーでビデオ通話をするメリットが見いだせないような気もする。

おそらく、普段、スマホを使いこなしている人からすると、画面付きスマートスピーカーの良さを引き出すのは難しいかもしれない。しかし、これが「普段、スマホを使っていない人」だと、画面付きスマートスピーカーは、とても魅力的なデバイスになる可能性を秘めている。

例えば、シニア層であれば、反応しにくいタッチパネルを操作しなくても、話しかけるだけで、情報を引き出せるスマートスピーカーはかなり便利な存在になるはずだ。しかも、Amazon Echo Spotであれば、画面を見ながら買い物ができてしまう。

交通手段が乏しく、なかなか買い物にも行けないようなシニア層の自宅にAmazon Echo Spotがあれば、欲しいものは話しかけ、画面を確認しながら買い物ができ、すぐに宅配便で届くようになる。

普段、スマホを持ち歩かないシニア層に向けて、固定電話代わりにAmazon Echo Spotでビデオ通話すれば、遠隔地に住む子どもや孫とのコミュニケーションも捗るだろう。

Echoには、新たな機能を追加する「スキル」というアプリのような存在があるが、健康相談などシニア向けスキルが出てくるようになると、存在価値はさらに増すことだろう。

スマホを敬遠してきたシニア層の気持ちを捉えられるかが、画面付きスマートスピーカーが普及するカギとなりそうだ。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO32009590Q8A620C1000000/

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