iPhone Xはアップルにとって「大成功」だったのではないか

アップルは7月31日、4〜6月期決算を発表した。詳細は日経電子版の記事に譲るとして、注目したいのは、iPhoneの販売だ。

販売台数は4130万台と前年を僅かに上回る程度だったが、平均販売単価は前年同期(605ドル)よりも19.6%高い724ドルになったという。 

昨年と今年の同時期を比べて、何が違うのか。iPhoneのラインナップを比較すると、ハイエンドモデルである「iPhone X」の存在が大きいようだ。調査会社などが発表している端末の販売ランキングを見ると、売れ筋はやはりiPhone 8だ。日本でも、かなりの端末割引が適用され、お得に買える点が人気を支えているのだろう。一方で、iPhone Xはランキングでトップを獲ることは少ないが、安定的に売れている。iPhone Xは10万円を超える値付けとなっているだけに、売れれば売れるほど平均販売単価は上がっていくのは当然だ。

昨年の同じ頃は、iPhone7、iPhone 7 Plus、iPhone SEというラインナップがメインだった。

しかし、今年はiPhone X、iPhone 8、iPhone 8 Plusがメインであり、iPhone SEも一部サブブランドやMVNOで扱われているが、あくまでオマケ的な存在でしかない。アップルはiPhone Xを出すことで、うまいこと、ラインナップの価格帯を底上げし、結果として、平均販売単価の上昇に成功したというわけだ。世界的にスマホの普及が一段落し、本来であれば、価格競争に陥るなか、アップルだけが、価格競争を避けられた感がある。発売当初、「iPhone Xは失敗だったのではないか」という声もあったが、結果として、アップルとしては大成功だったのではないか。

ただ、10万円以上する端末が売れるというのは、背後には、キャリアの販売施策に支えられているという面も否定できない。日本では公正取引委員会がキャリアとアップルの関係に目を光らせる中、新製品発表が噂される今年9月以降も成長を持続できるかが、注目と言えそうだ。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO33653700R00C18A8000000/

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