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インクルーシブな図書館

昨日のまちたいわミーティングで「インクルーシブな図書館について考えてみよう」という提案がありました。ここ数年はどうも図書館に足が向かないのですが、社会人になってから某所で図書館情報学を学んだ過去もあり、せっかくの機会なので自分なりに考えてみたいと思います。

まず、インクルーシブという言葉ですが、日本語に訳すときは「包摂的」などの言葉が宛てられることが多いようですね。要するにマイノリティを排除しないというような意味と考えるといいかと思います。図書館においてマイノリティを排除しない、とは、たとえば車椅子の利用者が不便なく使えるように設備を整えたりするようなことでしょう。

体の不自由な人にとっては本を書棚から取ったり戻したりページをめくるのにも苦労すしたりするので電子書籍の方が扱いやすいのではないか、という意見もあるでしょう。スマホの読み上げ機能などを使うと健常者でも読書のスピードが上がると言われています。ただ、図書館で電子書籍を扱うという話は微妙ですね。電子書籍の貸し借りはネットでもできてしまいますから、「図書館」という建物が要らなくなってしまいます。

一方で、図書館はただ単に本を借りたり調べ物をする場所ではなく、本を通じたコミュニティの場として意味があるのだという考え方もあります。ただね、図書館の本棚やテーブルの回りで本の話ってできないんですよね。たいていの場合は談話スペースというのがあって、話はそこでするようにと貼り紙がしてあったりするようです。

僕にとって図書館は「雰囲気を楽しむ場所」ですかね。特に、豪華本のコーナーはあまりひと気もなく巨大な本がオーラを放っている好きな場所です。あとは郷土資料のコーナーは面白いですね。東洋文庫の背の高い本棚も趣があって良いですね。今まで見た中で一番すごいと思ったのは筑波大学図書館の地下ですね。天井の低いフロアに革装の古い洋書がぎっしり並んだ棚が延々と続いていて独特の匂いが怪しげな雰囲気に輪をかけていました。

さてさて、そんな僕の図書館観をインクルーシブにデザインすると何ができるでしょう。車椅子の人とペアを組んで「その日に一番読みたい本を一緒に探す」っていうのはどうですかね。車椅子の人は書棚の間に入っていけないかもしれないので、どんな本を読みたいか僕が聞いて図書館中から10 冊ぐらい集めてきます。その中から何冊か候補を選んでもらって、それをヒントに更に10冊探してきます。これを何回か繰り返すとめちゃめちゃ読みたい本の束ができるのではないでしょうか。

ただ、これを無言でやるのは今ひとつですよね。あと、候補から外れた本を棚に戻すときに間違えた場所に入れてしまうということが起こりやすいので、図書館の職員の方は嫌がるでしょうね。図書館の事情として、本を違う棚に入れられてしまうと探すのがめちゃめちゃ大変なのです。最近はITの技術を使って改善されている図書館もあるかも知れませんが、意外と古い仕組みでやってる所が多いのではないでしょうか(最近行っていないので想像ですが)。

図書館に何か企画を提案するなら、職員のモチベーションにつながるかという点もポイントになると思います。要するに図書館の評価ですよね。僕が図書館について勉強していた頃は、貸し出し実績や来館者数といった指標で図書館が評価されていて、それだけでは良くないね、なんて話がありました。海外では、「その地域の進学率」などが図書館を評価する指標になっていて、なるほどねー、と思った記憶があります。今はどうでしょう。

文京区で行ったことがあるのは水道の図書館と汐見の本郷図書館だけで、近所の真砂図書館はまだ行けてないのです。この機会に時間を作って行ってみようと思います。

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