見出し画像

さすらいラビー×青色1号「オギーandコックローチ」第2回感想

2022年5月25日
さすらいラビー×青色1号 ツーマンライブ「オギーandコックローチ」

大好きなツーマンライブの第二回です。
なんと嬉しいことにこの日の夕方、最終面接を受けた企業から内定の連絡をいただきました。肩の荷が下りた気持ちでライブに臨めました。最高すぎる。

20時開演という比較的遅めの時間、すっかり日も落ちた中でナルゲキに向かうのはいつもよりワクワクしました。なぜなら私はこのツーマンライブが好きすぎるから。
第一回の時には6000字に及ぶ感想を夜なべで書きました。開演前、「今回はさすがにあの熱量では書けないかもなあ」と少しよぎったのですが、もちろん杞憂。寝なきゃいけない時間なのに書き始めてしまいました。午前3時半、オギー感想RTAスタートです。

ちなみに前回↓

なおネタバレも多くなるので、この先を読む前にぜひ配信を購入してほしいです。アーカイブは1週間だそうです。よろしくお願いします。

では今回も各組5ネタずつの感想を書いていきます。
タイトルはこちらで仮付けしたものです。


さすらいラビー

さすらいラビー


さすらいラビー①上司ガチャ

今回唯一の漫才。前回のオギーから今回までの間に彼らは衣装をリニューアルしたので、まだ見慣れない感じがした。前の赤と緑のコントラストは少し恋しいけれども、新衣装もやっぱり格好いい。

新入社員にどんな上司がつくかわからないよね、上司はガチャみたいなもんだよね、という切り口のネタ。中田さんがトチ狂った上司、宇野さんが新入社員の役でコントに入る。
中田さんの「キモ」の部分が初速から凄い勢いで溢れ出てきた。そもそもキモ人格を"降ろした"中田さんは開口一番に異常性を感じさせるのだ。私としてはそれは神業だと思っている。早口で己がなんたるかを捲し立てる「キモ上司・中田さん」と、真上から降ってくるキモ自己紹介に圧倒される「新入社員・宇野くん」で第二回のオギーの幕は開いた。

キモ上司の中田さんは、「わからないことはなんでも聞いてね、バンバン聞いちゃってね、なんというか、同性でゴメンね(汗)みたいなね(汗)」と優しさのようなキモを見せつける。同性でゴメンねのフレーズに、このキャラクターの根底にある思想がギュゥゥと煮詰まっている気がした。よく《最悪》を9文字で表現できるなと感嘆した。

キモ上司の中田さんは、冗談を言ってセルフでツッコむ自家発電で楽しそうにヘラヘラしている。新入社員の宇野くんは愛想笑いして若干食い気味の「はい」「はい」を繰り返す。「ボクの座右の銘、聞く?『為せば成る』」と激浅の座右の銘を滔々と語られた時にようやく「キチィ〜〜〜!」と心の声を発散させていて安心(?)した。

そしてやれ不倫をしているだのやれダブル不倫だの、次から次へと爆弾を投下しては新入社員の宇野くんを困らせるキモ上司中田さん。可哀想な宇野くん。
しかしこのネタはそこがピークではなかった。このクソキモ上司の中田さんは、己が人間として終わっていることを自覚していたのである!まともな人間は前線で働いてしまうから教育係にこんな厄介な自分みたいな奴が送られるんだと嘆いている。一見クソキモ上司だった中田さんは、新人教育にこそ優秀な社員をあてるべきだと、自分はそれに相応しくないと自覚していたのだ。体制を憂うタイプのキモだった。

まだまだ途切れることなく笑いどころが押し寄せてきて、こんな贅沢な漫才が新ネタなのかよと震えてしまった。 

さすらいラビー②職員室

まず初めにさすらいラビーのお二人が大揉めしたというセットについて。「職員室の設定の際に二人が並んで座るとしたら、長机ひとつにすべきか独立したふたつの机を使うべきか」問題。どっちでもいいっちゃいいことだが、お二人は青色1号を巻き込んで大揉めしたそうな。
素人考えですが私は「独立したふたつの机」派です。職員室の机は各人の個人スペースで区切られているから、机がふたつあった方がそれっぽいかなと思いました。長机にするとしたらブックエンドみたいな区切る小道具があると職員室っぽく見える気がします。

さて今度は若い教師の宇野先生と先輩(おじさん?)教師の中田先生(口振りからしておじさんだと思うのだが違ったら申し訳ないのでカッコ書きで)。
宇野先生が採点するテストを覗き込んで、まあ無神経なことや下衆の勘ぐりをべらべらと喋る中田先生。私を含む多くの客が「デリカシー0の中田先生がやらかしていくのを楽しむネタだ」と思ったのではないだろうか。

そこで言い放たれた宇野先生の台詞。

「チェスの駒を悪く言わないでください!!」

やられた!!!!!
宇野さんの良い声(今回の場合は"無駄に"良い声)で、明らかにおかしい反駁が放たれた。生徒をチェスの駒呼ばわりする教師がサイコすぎる、というのはあの一瞬で誰もが感じとったことだろう。
宇野先生はおもむろにチェス盤を取り出して、生徒たちを駒になぞらえていく。この生徒はクイーン、この生徒はナイト、までは良かったが、可哀想に「ポーン(歩)」に喩えられてしまった生徒もいた。中田先生もキレていた。

「君はおかしなことを言ってるよ!鬼だ!鬼だよやっぱり!」

「鬼なんかじゃありませんよ!______チェスプレイヤーです!!(良い声)」

「教師だろ!!」

宇野さんの口跡が良ければ良いほど面白いキャラクターだ。途中から抱き始めた(倫理観が終わっているぜ……)という感想がオチ台詞で見事に回収されたのも気持ちよかった。

余談だが「チェスは取った駒を使えない、将棋は取った駒を手駒に出来る」という知識をネタ中うっすら思い出していた。倫理観に欠ける宇野先生がもし将棋にハマっていたとしたら、"生徒を手懐けていずれは自分の出世の駒に……"くらいは考えそうなものだなと思ってしまった。

さすらいラビー③ピエロ

失恋した女の子の元にやってくるピエロ。

ピエロはあの手この手で彼女を笑わせようとする。

絵本みたいな導入で温まった心は、宇野さん♀のピクリとも動かない口角で徐々に冷えていった。ピエロ、切なすぎるよ。こんなに笑わせたいと思っているのに。

笑わせたいあまり、出来もしないジャグリングにトライする。
笑わせたいあまり、落としたメガネを探しておどける。
笑わせたいあまり、フリップを持ち出して正統派の大喜利で勝負する。

こんなにも健気なピエロを、ずっと冷ややかに見つめ続ける女性。その場を立ち去らないのが彼女なりの優しさなのかもしれないが、あれだけ真顔で見つめられ続けるなら帰られた方がピエロ的にはマシなのかもしれない。

ネタ中に走り書きしたメモに「ゲレロンで見たい」と書いてあった。
ゲレロンとは、若手芸人さんやアマチュアの芸人さんが多い時で60組くらい出るエントリーライブのことだが、このピエロを見た私が最初に抱いた感想が「ゲレロンで見たい」だった。
ゲレロンでは平気で客の反応ゼロのことがあり、そんなときは無理にでも声を出して笑おうとする私の声だけが客席に響くのだ。このピエロくんはゲレロンに出てもきっと場を冷え切らせてしまうのだろうが、健気に持ち時間を全うするだろう。そんな時は私一人でも笑ってあげたいと思う。

さすらいラビー④野球部

最後の試合に負けた野球部のロッカールーム。泣いている部員たち。そして監督からのありがたいお言葉。

その監督が相手チームの監督だ、と発覚して客席は死ぬほどウケた。

野球部の宇野くん(18)が「アイツなんなんだ!!!!!!!!」と激昂するのが面白すぎる。敵チームの監督に講釈垂れられたら誰でもそうなるよな。
しかもよく聞いたら敵チームの中田監督の持ち時間は10分あるらしい。長ぇ。自チームの監督からのお言葉さえも中田監督から伝えられてしまった宇野くんたちの心中は察するに余りある。

敵チームの中田監督に「背番号6番の宇野慎太郎くん」と呼ばれる宇野くんもめちゃくちゃ面白かった。
「うるっせぇマジで……!なんで知ってんだよ俺のこと、名前覚えんじゃねえよ……!」
文面で書くとただの悪態に見えてしまうが、実際は宇野さんがブチギレを内包したまま絞り出すように台詞を吐き出していた。中田監督の冷静な腹立つお言葉との対照的なお芝居が良すぎて笑いまくってしまった。
そういえば、1本目のキモ上司中田さんも突然「慎太郎くん」と呼び困惑させていた。役が降りている中田さんは相手の名前を呼ぶだけで面白い。

中田先生が「宇野のせいで負けた」と暴露するところは、野球に疎いので正直どれほどのやらかしなのかピンとこなかった。ただ弱小チームの宇野くんたちもピンときていなかったのでそれも込みで可笑しかった。
中田監督も、伝えてみたものの本人達に自覚がなかったと気づいて(知らせなきゃ良かった)とちょっと罪悪感を覚えていた。好きすぎる。悪い人じゃないんだよな。

宇野くんがラストに「俺のせいで負けたって気づいてた……?」と問いかけてNOの答えをもらうオチは、一瞬宇野くん目線のハッピーエンドなのかな?と思った。
しかしよく考えたら「言わなきゃバレなかった宇野くんの責任が全員に共有されてしまった」ともとれるので、宇野くんが暗転前に見せる安堵の表情も純粋なハッピーエンドじゃないのでは?と想像してしまった。

さすらいラビー⑤セクハラ

営業の鈴木さんが、可愛いと評判の受付の有村さんをご飯に誘うところから始まるこのネタ。明転板つきでスカーフを巻いた女性役の宇野さんが座っていて、「今から綺麗どころの女の役をやります」という謎の貫禄のようなものが滲んでいた。

純な気持ちでご飯に誘った鈴木さんを、セクハラ認定する有村さん。「セクハラ!」と書かれたブザーを机の下に常備しているほどの過敏さ。それを発動されたが最後、オフィスにはセクシャルハラスメントの発生を知らせるサイレンが鳴り響き、鈴木さんにはセクハラ野郎の烙印が押されてしまう。可哀想に。

暗転し後日。
「減給、食らっちゃったな〜……」と呟く鈴木さんから察するにセクハラの烙印を消すのはとても難しかったようだ。しかし誤解が解ければ良いわけで、受付の有村さんは短絡的なブザー発動を鈴木さんに謝っていた。疑惑が晴れて、改めて食事に行きましょうとなる二人。見ているこちらもホッとする。

「じゃあさ、麻布にめちゃめちゃ雰囲気の良いBarがあるんだけど!」
「……麻布の、Barに誘ってるんですか?」

有村さんのおうむ返しで不穏な空気が漂う。ただ焦っているのは鈴木さんだけで、客はもうすでに爆笑だった。あとはセクハラブザーを待つだけ。
ブザーが押される瞬間の鈴木さんの断末魔がさらに爆笑をヒートアップさせる。「無し!無し!無し!板橋の中華!」果たして板橋の中華だったら有村さんは許してくれたのだろうか。

暗転明け、鈴木さんに下されている処分が徐々に重くなっていく。可哀想すぎる。中田さん演じる鈴木さんが本当に好青年で、ピュアで、誠実なのが滲んでいるからこその哀しさみたいなものがある。この処分たちのラインナップも程よく残酷で、流石だなと思う。

「鈴木さん、お昼行くんですか?」
「ああ、天気がいいから公園でパンでも食べようかなと」
「……公園で、パン?」
「………………?!」

先述の通り、有村さんのおうむ返しは鈴木さんからしたら不穏の始まりだ。客席も「ん?(笑)」という空気が漂っていた。
異変を感じた鈴木さん含め、このくだりがあまりにも好きすぎる。ネタバレするぞと息巻いて書き始めたがここはどう書いても無粋さが拭いきれない。書きたくないので書かないでおこうと思う。気になる人は上に戻って配信を買ってください。

この「会話→セクハラブザー→暗転繋ぎ」が繰り返されて、鈴木さんの最後もとい最期のくだり。鈴木さんの"全てを悟った顔"が完全暗転まで上手端の席からすごくよく見えた。哀しい顔をしていた。

さすらいラビーは学生ネタが多いイメージだったが、今回なんと制服が出てこなかった。かといって、大人の社会の機微みたいなものがより描かれているとかネタの笑いどころも大人びたとか、そういう訳ではない(気がする)。大人な気まずさは学生ネタの中にもあったし、逆に幼気なくらいのピュアさとか馬鹿らしさは舞台が学校じゃなくても溢れていた。
ネタを書く中田さんの、そして演じる二人の中に、一貫して「面白い」のビジョンがあるからこそ、設定がなんであれストーリーを生み出せるんだろうなあ。

青色1号

青色1号


青色1号①1万円

冒頭、仮屋さん・上村さんの他愛ない話で場面を見せるのが上手い。アルバイト、飲み会好き、金欠。全部が揃ったところで店長の榎本さんが出てくる。

(以下、役名のみ敬称略)
仮屋が榎本店長から貰った服のポケットに入っていた1万円で、二人が揉めに揉めるネタだ。もちろん仮屋は1万円を自分のものにしたい。はじめは「正直に言ったほうがいい派」だった上村を説き伏せるために、1万円を少しずつ崩して分配しようとする。

二人とも自分の取り分が少しでも多くなるのを目論んで競りを繰り広げるのだけども、いざ分が悪くなると切り札かのように「店長に言うわ」と言い出す。そのやりとりが醜いのなんの。一番面白いのは、二人自身にも醜い自覚があるということだ。

正直に言おうと店長を呼んだのに、金欠がよぎって結局言えない二人。
最終的に結託して黙ろうと決断する二人。
全てを店長のせいにして、あまつさえ店長をdisる二人。
自分たちを客観視して度々「(俺たち)最悪だ!」と自虐する。というかもはや開き直っているようにも見える。「さいっあく」「さいあくだわ」「うわー」とかいう言い合いで「悪いとは思ってます」という免罪符をお互いで認め合わせているみたいだった。

仮屋・上村は愛すべきアホ二人なのだが、実は店長も愛すべきアホなんだと思うので、このコントは愛すべきアホ三人のネタである。

仮屋さんの駄々こね芝居は面白いに決まっているので、理不尽な分配額を示されたときの「ええ〜〜〜↓↓」はぜひ映像でみてほしい。

青色1号②親戚の子ども

榎本おじさんがひたすら4歳をあやす時間をこれでもかと堪能した。良いおじさんだった。キャッキャという子供の声が聞こえる気がした。その見えない4歳児は、榎本おじさんの職場から電話がかかってきても容赦なく絡み続けていた。
その子供の父親である上村さんが登場するまで約3分、虚空に存在する「たっくん」をあやし続けた榎本さんに拍手を送りたい。

もうヘロヘロの榎本おじさんとまだ元気な上村パパが再びたっくんをあやし始める。ここのなすりつけ合いも青色1号らしかった。基本的に榎本さんが不利益を被る立ち回りなのだがその榎本さんも上村さんにどうにか一矢報いようとしている感じ。毎回上村さんの役が一枚上手をいくので、榎本さんの役が程よく不憫で可笑しい。

しょうもないなすりつけ合いが佳境に入ったところで登場する、仮屋さん演じるじいじ。仮屋さんがじいじを演じるとビジュアルがとても"じいじ"になるので良い。何を身につけてもその役がしっくりときてしまうのはなんなんだろうか。
散々遊び疲れた榎本おじさんと上村パパは、参戦してきたじいじにたっくんを仕向ける。じいじもたっくんと遊びたい。大人全員の願いがじいじに向く。しかし子どもというのは残酷だった。じいじは見向きもされない。

じいじ。遊んでもらえないじいじ。可哀想。誰も悪くない空間ってなんであんなに居心地悪くて、面白いんだろう。舞台上には3人しかいないのにもはや4人コントだった。
健気に変身ベルトなんか着けてみたりして、どうにかたっくんの気を引きたいじいじだが、明け透けすぎたのかたっくんはやはり振り向かない。上村パパと榎本おじさんがどれだけじいじを持ち上げてもだめらしい。
空回った仮屋じいじの必死さ、そして誰も何もしてやれない無力感がどうしようもなくてめちゃくちゃ面白かった。 

青色1号③kinki kids

明転板付きで女子高生の仮屋さんが出てきた。それだけでワクワクする。隣には榎本さんがいる。同級生らしかった。
クラスメイトだがすごく仲良いわけではない、ただお互い良い印象は抱いているような二人だった。

「……デートみたいで嬉しいし」
「なんか言った?」
「いや、なんでもない」

テンプレートすぎる台詞なのに一気に関係性が明らかになる。微妙な距離感が特に榎本さんの台詞から窺えて、この関係がコントの数分でどうなるのかと期待が膨らんだ。

二人がせっせと作っていたのがkinki kidsのライブうちわだと明らかになって、一気に客席が沸く。大ぶりのモールに囲まれたうちわの中、キラキラの文字に「光一 LOVE」の文字。
kinkiファンの仮屋さんと仲良くなるべく「僕もkinki kids聞いてみようかな」とソワソワしながら言う榎本くんがピュアで可愛らしい。それを聞いて「本当に!オススメの曲教えてあげるよ」と喜ぶ仮屋さんも。
そしてついには仮屋さんが榎本くんに「今からカラオケ行こうよ」と誘い出す。高校生の男女二人でカラオケなんて!榎本くんに負けず劣らず、客席からニヤつきながら観てしまった。

しかしその親密さも束の間、乱入してくる見るからに治安の悪い上村さんもとい「ノリくん」。あーあ榎本さんの役はどうしていつもこうなんだ。幸せになってくれよ。
ノリくんは仮屋さんの彼氏らしい。
「何してんだよ」と毒づくノリくんに「うちわ手伝ってもらってたんだよ」と話す仮屋さん。見てみてと言うようにうちわを高く上げて、楽しげだ。そして挟まれて見るからに気まずそうな榎本くん。

さてここまでで、小4から高3まで8年間ジャニオタをやってきていた私には気になる点がいくつかあった。とはいえすごく些細なポイントばかりなので(もしかして知らずにネタ合わせしてしまったのかも)なんて考えていた。

結果として、「青色1号ナメててごめんなさい」この一言に尽きた。

・うちわのサイズ規定
・反射シール不可
・うちわを上げるのは胸の高さまで

こんな、ジャニオタに蔓延っている、いやジャニオタにしか蔓延っていないような細かい部分をピンポイントでついてきたのだ。お見それしました。しかも3人のうちジャニオタ枠はなんとノリくん。強面のドでか丸がジャニオタルールをキレながら述べている。それだけでもう面白すぎた。

「枠からモールはみ出してんじゃん!(キレ)」

「ペンライトもほら、ドンキで買ったし……」
「だからァ!公式のじゃなきゃ持ってけねえんだよ!(キレ)」

「なんだよ光一ってよォ!オレ自担剛なんだよ!(ブチギレ)」

ノリくんの影響でkinkiを好きになったばかりの新規・仮屋さんにはかなりの洗礼だ。可哀想に。せっかくノリくんと初めてkinkiのライブに行けると思ったのに、準備が散々空回ってしまった仮屋さん。ノリくんももうすこし寛大になればいいのにずっとキレ散らかしている。最悪だ。仮屋さん16歳でノリくん35歳らしい。ダブルスコアの歳の差で付き合っているにしてはモラ彼すぎて、仮屋さんが気の毒すぎる。

「分かるから、頑張るから、お願い」と仮屋さんが縋るのもむなしく、ついにノリくんは激昂して帰ってしまった。「オレ愛されるより、愛したいんだよ」と捨て台詞を吐いて。せっかくの彼女の好意を無碍にして、酷いやつだ。客席がそう思ったのと同じように、榎本くんもモヤモヤしていたらしい。

「僕は、あんなことしないけど。______僕は仮屋さんに愛されたいし、仮屋さんを愛したい」

ワ〜〜〜〜!!!
純粋で朴訥だった榎本くんの背伸びした台詞に、こちらが「榎本くん」「よくやった」とうちわを振りたい気分だった。
晴れて結ばれた二人は『ジェットコースター・ロマンス』をBGMにキラキラの笑顔で舞台上を駆けた。カラオケに消えていく若い二人が微笑ましく、30歳のおじさんたちなのはこの時完全に忘れ去られていた。

青色1号④自販機

大人の自販機。エンディングでは「青春」と呼ばれていた。
男の子が行為の時に装着するモノをどうやら自販機で買えるらしい。知識不足でそんな自販機があることを知らなかった、というかそもそも私の近くではあまり見かけないのだがこれはあるあるなのだろうか。私が気づいていないだけなのか。

榎本少年と仮屋少年が自販機に立ち向かう姿は何だか強大な権威に立ち向かうかのようだった。彼らにとっては「性」がまだフィクションなのだとハッキリ分かる。先のコントでも思ったが中身は30歳なのだ、演技力がすごいと言うに尽きる。
「いくらなんだろ」「100円くらいじゃね」と言い合った末に値段を確認して「500円!」「たけぇ〜!」と叫ぶ二人は、何度見ても素朴な学生にしか見えなかった。じゃらじゃらと缶に入れた小銭を抱えてくる榎本くんなんて、別に使う相手もいないだろうに何をそんなにワクワクしているんだと笑ってしまう。女には分からないこの高揚感は誰もが通ってきた道なのかもしれない、もはや知り得ないが。
ちなみに個人的には「捕まったりしない?」「多分……」の会話が一番好きだった。可愛い。

自販機の前に留まるのが恥ずかしい二人は、「前を通り過ぎるごとに100円投じる」という謎システムを編み出した。しかしそれが裏目に出ることになる。
二人のラスト1投を前に、見るからに陽キャな同級生のお兄ちゃんがやってきた。そして積み上げた400円に100円を足して、いとも簡単に掻っ攫っていったのだ。

あんなに苦心惨憺して悶えながら入れた400円が。ここで呆然となればなるほど、この後の展開のフィーバー感が映えるように思う。最終的に道端に座り込んだ二人とも晴れやかな顔をしていたので、良かったね、という目で見てしまった。30歳だってば。 

青色1号⑤面接

この日、ちょうど就職面接のあとにスーツでナルゲキに向かっていた私にはタイムリーすぎるネタだった。
明転して長机に榎本さんと上村さん、そして向かいに誰もいない椅子一つ。その時点で「面接か」とピンときてしまった。厳密に言えばアナウンサーの新卒採用試験だったのだが、まぁ大枠は就活の面接と同じだ。

前の人の面接の記録や履歴書をめくりながら面接官二人が話している。このとき私は、部屋の外で待っているであろう就活生の仮屋さんに感情移入してひりついていたかもしれない。

呼ばれて、仮屋さんが入室する。「2回のノックはトイレノックだからな、ノックは3回だぞ」とよぎったがドアは無かったので、そのまま緊張した面持ちの仮屋さんが入ってきた。椅子の横に立つ。「言われるまで座るなよ、座るなよ」とガン見したのも虚しくそのまま着席してしまって「アアッ……」と声が出そうになった。
ここから、私も昼に受けてきたような面接が始まる。何が一番絶妙だったかって言えば、榎本さんだ。仮屋さんが促される前に着席してしまい慌てたときなどの受け答えが「面接官」すぎる。優しいんだか冷静なんだか微妙なラインの微笑み。脅威の面接官っぷりをどうか目の当たりにしてほしい。

このネタでは面接でやらかしを積み上げまくった仮屋さんが土壇場で本領発揮するわけだが、そこまで仏頂面だった面接官の上村さんが露骨に顔を上げるのも「まさに」すぎてめちゃくちゃ面白かった。いるんだよな、ああいう人。それまでの話聞いてた?みたいな。そういうあるあるをリアルタイムで享受できただけでも、まじめに就活していて良かったと思う。

ちなみに榎本さんタイプの面接官ほどにこやかに話を聞いてくれて、手応えを与えておきながら平気で落としてくる。要注意である。

私は青色1号のコントに一目惚れした身なので、毎回ライブで観るたびにどんなネタを見られるのかワクワクしてしまう。新ネタなら尚更だ。そしていつも期待を遥かに超えてくる展開を持ってこられて、恐れ入りましたと降参してしまうのだ。
全てのキャラクターがちゃんとその世界を生きているから、ネタの外の部分を想像しようとしたらいくらでもできてしまうのが彼らの凄さだと思う。
キングオブコントというタイトルを獲るに相応しいトリオだと心から思っているので、今年こそ勝ち上がってほしいところだ。太田プロに並ぶトロフィーがどんどん増えるといいな。

まとめ

RTAと言っておきながら一旦睡眠と面接と通院を挟んでしまったので、午前3時半に書き始めたことの意味は特になくなってしまいました。

さあ字数は。
10000字を超えました。

?????

このツーマンライブが本当に素晴らしかったと伝えたくて書き始めたので、アホほど長いnoteをここまで読んでくれた方がいるならそれが伝われば幸いです。

配信のリンクもっかい貼っときます。

絶対に何かしらの賞レースはいつか獲る2組だと思っています。これからも頑張ってください!大好き!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?