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さすらいラビー×青色1号「オギーandコックローチ」感想

2022年2月11日
さすらいラビー×青色1号 ツーマンライブ「オギーandコックローチ」

月に何回もお笑いのライブに行っていると、毎回の感想なんてものを逐一じっくり味わうことはなかなかありません。終演後に噛みしめて翌日楽しく過ごす糧となって、徐々に薄れていく。
しかしこのツーマンライブの感想はなんとなく薄れていくのが寂しい。良すぎてもったいない。なんなら観ている最中から終演が近づくのが嫌だった。美味しいものを食べている途中で、美味しすぎてそれがなくなるのが悲しくなるような気分でした。
褒め散らかしたいけれども、アーカイブが残る以上ネタバレをTwitterに流すのはあまりに無粋です。そこでnoteに放流するという手段を頂戴したので、深夜も2時ですが購入したアーカイブを観ながら感想を書き連ねてみます。
なおネタタイトルは仮題としてこちらで勝手につけたものです。


(5/2更新)
以前はここに配信のリンクを埋め込んでいましたが、もうアーカイブは観られません。残念です。
しかし吉報です。
5月25日に第二回が催されます。
このnoteを読んで少しでも興味が湧いたらぜひご覧になってください!tigetのリンクを貼っておきます。
https://t.co/B5Qg5Movlb


さすらいラビー

『自転車』


キモさ全振りの中田さん×女の子役の宇野さんという磨かれまくったフォーマットの漫才。新ネタライブだって言うのに、漫才コントが始まった瞬間の安心感たるや。
余談ですが漫才コントに入る瞬間の中田さんの指示が私は大好きです。
今回であれば「自転車のチェーンが外れちゃって、すっかり困り果てててて」だし、傘のネタだったら「大雨の中、途方に暮れてて」とか。こんな時じゃないと”指示”の文法に組み込まれない語彙だから面白いのかな。

最近のさすらいラビーのネタを見ていると、この類のネタの「中田くん」がキモさだけのモンスターにならずに済んでいるのは、それに拮抗するだけの純粋さがあるからなんだと思う。「宇野さん」のことが好きすぎるだけなんだよね……(だからといって彼のキモさに抗弁の余地はない)。
いつものキモフォーマットだとジャブみたいなキモさがどんどん効いてくる印象があるけど、今回は「キモい意味はないんだけど、サドル触っちゃった」が序盤でガツンとボディに入ってきた。最高だった。さすらいラビーのネタは「宇野さん」が「中田くん」のキモさに気づいてからの展開で楽しさが何倍にも膨れ上がっていく。宇野さんのドン引きが始まるときの〈色々言いたいけど堪えてる顔〉はいつ見ても趣があって、良い。

オチに向かっていくにつれて「中田くん」も己の挙動に矛盾を感じ始めるのか、大きな体でジタバタしだしてラブかった。あと漫才コントが終わるときに宇野さんが体当たりして止めにいっているけれど、対象がデカすぎてダメージがほぼ無さそうだといつも思っています。これもラブい。


『マッチングアプリ』

キモフォーマットとマッチングアプリという要素は相性が良すぎて、キモレベルでいったら地獄でした。
一言目の名乗りからもう終わりだな(褒)と思いながら見てました。そのままキモ過ぎる乾杯と名乗りと新三郷を経由して、宇野さん演じる美里さんが「地獄かも~~~~!!」と絶叫してくれたところで楽しさがピークになって、大拍手。

宇野さんがドン引きの頂点に達したときにずっと震え声で心の声を叫んでいるのもとても良くて、その間ずっとベラベラ喋っている中田さんのキモさを増幅させていた気がします。生で聞いたときはよく聞き取れなかった中田さんの台詞はアーカイブで聞いたらしっかり絶妙に嫌なこと言ってた。マッチングアプリで会った女の子に絶対トプ画盛ってるかどうかの話しちゃダメだろうに。
それから女の子役の宇野さんは怯え切った演技が上手すぎて、たまに145cmくらいに見えるときがあります。

「僕がコーヒーもし飲みきれなかったら、飲んでもいいですよ」も最悪(褒)。キモすぎるのでこのくだりは今後も残してほしいなあ。


『エアコン』

明転して、女装した宇野さんが制服じゃないことが分かった瞬間のソワソワ感。『御社の名は。』しかり、中田さんの作る学生じゃない男女設定コントはドラマの気配を感じる。一度にいくつもネタを観られるライブじゃないとお目にかかれない設定だ(と思う)から明転した直後からちょっとテンションが上がりました。

案の定、出てきた中田さんはキモくなかった!
私は最前列で見ていたので表情もよく見ることができたのですが、中田さん演じる清水さんが帽子をとった瞬間の宇野さんの息の呑み方があまりにも綺麗で。もうこの時点で「あ~~~~~!ドラマだ!ありがとうございます!」という気分でした。
そしてミキちゃんにいくら「タカヒロくん」と呼びかけられても頑なに人違いだと押し通していた清水さんが少しずつ認めていく台詞の匙加減がたまらない。井端の応援歌の歌詞を指摘したところなんてもう、もう!自分の「ッカァ~~~~~~!」という心の声がアーカイブに乗っていなくて安心しました。

改めて観るとボケらしいボケの台詞が無いのに笑えるのはお二人の演技力と構成の妙なんだなと本当に感動します。緩急というか、緩ませ方が上手すぎるというか。だからこそ、ミキちゃんがさめざめと泣いた後に絞りだした「新人が一人で来ないでよォ~~~!」が(そりゃそうだ)過ぎて大爆笑だったのですが。

オチはもう、筆舌に尽くしがたいエモさ。
カーテンをばっと翻してその中でキスするみたいな、あれ。
ここまで見ている観客は宇野さんのことを完全にミキちゃんとして認識しているので、もはやこのラストシーンの「おもしろ」要素は限りなく少ない。少なくとも私は、ここまでの喜劇的な流れをガチガチの抱擁で回収されたことに対しての感嘆みたいな感情で拍手をした記憶があります。


『バレンタイン』

制服の中田さんが板付きで立っているのが見えた瞬間「堀田くんだ!!」とウキウキして、自分のさすらいラビーに対する練度が上がったのを感じ嬉しかったです。中田さんの台詞を待たずして吉永さんの登場を待っていたので、上手袖から吉永さんが顔を出したときは手を振りたくなりました。

吉永さんはあくまで「チョコを入れる場所を間違えたこと」に対して怒られていると思っているから、怒られていることを理不尽に思っていそうな受け答えをしていて、上手いなあと感じました。
堀田くんは堀田くんで、失恋して傷ついているはずなのに「好きな人の下駄箱は間違えないよ!」で自分の恋心が吉永さんに伝わるように仕向けるあたりが切ない。ちゃんと面白いのに。それを聞いて「本当にごめん……!!」と言える吉永さんも最高だし、気持ちを伝えた後はもう吹っ切れてまた説教モードに戻る堀田くんもダルくて最高。

バレンタインで下駄箱にチョコを入れるのって何がルーツなのか分からないけれど、確かにうっすら「下駄箱じゃん」という感情はあったので、そこを擽られたときは大声で笑ってしまったな。中田さんはそういうところを正論でつつくのが本当にお上手。
かと思えば「好きな人の足は汚くない」のくだりで一気に堀田くんのキモい部分が濁流のごとく溢れてきた。レモネードを注ぐ擬音がコポコポなのも絶妙にキモくて、顔を覆いながら笑ってしまいました。どうしてくれるんだ。

オチの搾り出したみたいな「苦いよ」で暗転するテンポ感も含めて、全部良かった!


『教育実習』

まずもって吉永さんと西野さんがちゃんと違う人格の女の子だと伝わってくる宇野さんの演技力に啞然としてしまった。女優じゃん。もはや。ちなみにフランスには宇野さんにちょっと似ている女優さんがいます。

ルー・ドゥ・ラージュさん。眉と目と口が似ている

中田さんが登場して、一見挙動もおかしくなくて、あれ普通じゃんと思った矢先の「皆で裸を見せ合うっていうのはどうだろう」。アチャー。
そこからパンティだの裸でバスケをするAVだのをぶっこんでくる春センに、西野さんもちゃんと引いている。
と思いきや、暗転を挟んでも挟んでも西野さんがそんなに嫌悪感を抱いていないのが伝わってきて今度はそれが面白くなっちゃいました。しまいには「全然最悪だったなあ」って言ってるくせに、オチで春センの自嘲にめそめそ泣いちゃってる。なんか結局最終日にライン交換してそうで心配だな。

つらつらつらつらと大層な考察を述べていて気付いた、お二人のコントを表現するのに私が一番相応しいと思った言葉は「没入感」。
さすらいラビーのコントは、ワンシチュエーションのものも暗転多用して時間経過を見せるものも両方しっかり面白い。演劇をかじっていると暗転多用にはどこかズルさを感じてしまうのですが、お二人の作る世界だと暗転で翌日、数日後、数週間後も見せてくれるのがむしろ嬉しく思える。それは登場人物のキャラが固まっていて続きを自分で想像してしまうからなんじゃないでしょうか。


青色1号

『ラーメン対決』

「柚子胡椒のビンが開かない」をどれだけ引っ張るのかと思っていたら仮屋店長がさらに締め上げるところで気持ちいいくらいに笑ってしまった。顔。仮屋さんはこういう時に本当にいい顔をされるなあ。好きだ……。
そこからさらに今度は仮屋店長のラップのくだりで榎本店長の不憫さが際立っていて、後半は(ああこんな純粋な人になんてことを)の感情で見てしまいました。
2人はほとんど喋らずに上村さんの実況で進めていくのもテンポが心地よかったのですが、最終的に上村さんの実況にも棘が出てきたのがツボにはまってしまいました。「柚子胡椒使えずー。これは負け確定と言っていいでしょう~」はまあまあ可哀想。

私はショックを受けたり不憫な目に遭う榎本さんの演技が大好きです。ここだけの話、私は榎本さんのことを太田プロのちいかわだと思っている節があるので。


『古武術』

この感想を書くためにアーカイブを観て、今日イチ笑っちゃった。

音割れすぎだ。

もういろいろ書こうとしてたことが全部持っていかれた。
今まで見た配信ライブで一番激しい音割れ。
生で観たときそんな感じしなかったのに。
あーびっくりした。

さてもともと書こうとしていたことですが、私は仮屋さんの女性役が最高に好きです。声の細さがフリになって絶叫した時の面白さが何倍にもなってくる。だからこそ「古武術」からの「型」と聞いて(お、これは……絶叫フラグか……?)と察してしまい、少し早めにワクワクしてしまいました。もちろん期待をはるかに越えてくる絶叫で、大喝采でした。

そして途中で榎本さんと上村さんの立ち位置が入れ替わるところは自然すぎて気持ちよかったです。榎本さんの「型どんなんでしたっけ」で状況を理解した観客の爆笑には一体感すらあったし。しかも袖から声が聞こえるネタはライブで観るのが一番楽しいけど、戻ってきたら今度は仮屋さんが殴られているという展開もあったので輪をかけて楽しむことができました。

何よりこのネタはオチがよかったです。私は最前列上手寄りに座っていたのですが、あまりにも特等席だったんです。仮屋さんが目の前に吹っ飛ばされてきてそのままぐったりして暗転するものだから、瀕死の仮屋さんの残像が暗転後も残ってしまってしばらく笑いが止まりませんでした。アーカイブにも次の出囃子がかかるまで大笑いしている私の声が乗ってました。


『SFサークル』

キャラ設定がこんなにも完璧なことがあるでしょうか。愛おしすぎる。この類のオタクは割と見慣れているのですが、お二人の演技があまりにも完璧。榎本さんの眼鏡とかもう、他の何をかけても不正解になるくらい「正解」の眼鏡。
二人が内輪で盛り上がっている感じも早口な感じもたまらないです。絶対普段は椅子から動かない二人だろうにノリノリでバルスして跳ねているのも最高。あと地味に仮屋さんが「デュフ」を1回小さく挟んだだけというのが絶妙で良い……。何回も入れたくなってしまうワードだけど何回も入れたら嘘っぽくなってしまうから、1回にとどめていたのはすごいなとアーカイブで気づかされました。

ここまで二人がSFサークルの空間を完全に二人だけのものとして観客に見せていてくれたので、上村さんが入ってきた瞬間のヒリヒリ感が客席にまで共有された感じがしました。圧倒的な陽キャを前にしたらオタクは立ち尽くすしかない。仮屋さんが胸ぐらをつかまれたときは完全に榎本さんと同じ顔で観てました。オワタ~

そしてずっと気になっていたのですが、上村さんがヘルメットを被った瞬間は笑ってよかったのでしょうか。頭部全体が30%縮んだみたいな不思議な状態になっていてめちゃくちゃ面白かったのだけれど、そこを「おもしろ」と捉えていいのか分かりかねて我慢してしまったんですよね。髪のボリュームのせいなのだろうけど、なんかキャラ設定画面のバグみたいでした。

陽キャと陰キャがヒートアップするときに陰キャが優勢に立つことは絶対にないので、最後の言い合いのときは完全に上村さんに持っていかれるだろうなと思ってワクワクして見てました。機械ぶん殴られて一周回って立ち尽くす仮屋氏……。
榎本さんの「仮屋氏ィィィ!」がオチ台詞かと思ったらそれよりもっと気持ちいい「終わりィ!!!!!!!!!(絶叫)」からの暗転だったので満足感がすごかったです!


『たつと大きい』

サラリーマンコントだ!どんなネタだろう!と思って普通に観てました。
別に、特段早く気づいてしまったとかもなくて安心しました。

身長の話で盛り上がる自然な会話だったり、榎本さんが身長の話のつもりで何の気なしに聞いてくるところだったり、そこら辺が自然であればあるほど仮屋さんの勘違いと狼狽え方がおもしろくなってくるので、さすがの演技力だなあと思うなど。

会話が途切れて榎本さんが退室してからの間も絶妙で、(うわあ今お互い何考えててどんな感情なんだろう)と気まずすぎる空気を最大限楽しめました。
これまでのに比べて短かったと思うので、その尺の体感の短さも丸ごと面白かったです!


『ゲームカフェ』

仮屋さんが鬼ビビっていることに気づいて「このビビりをフリに進むのかな?」と想像していたら、導入だと思っていた「黒ひげが壊れていること」がガッチリしたフリになってた。そっちか~~~!

しかもそこにギャンブル性を持たせて三人とも謎のハイになっているのもさらに展開が生まれていて、全然飽きることなく最後まで一緒にハイテンションのまま見られた!楽しかった~

EDで中田さんもおっしゃっていましたが、ゲームカフェで黒ひげに興じる二人は言われてみたら謎ですね。愛おしかったな。児童館みたいだ。


その他

Twitterに書けない感想をぶちまけてやるぜ!と息巻いて書いていたら6時半になってた。眠くはない。しかし長すぎる、先月末にゼミに提出した小レポートより全然長くなってしまった。スクロールバーの長さと二組への愛は反比例するということにしておきます。

今回はOPでもおっしゃっていたように、企画や中MCのないネタのみのごりごりストイックライブだったわけですが、その分非常に濃密な1時間でした。絶対に賞レース決勝に行きまくって優勝してほしい二組なので、全然ネタ以外の企画はなくていいからこういうツーマンまたやってほしい!
ただトークがしっかり面白かったので、お喋りの時間はもっとあると嬉しかったかもなと思ってしまった。でもちょっと物足りないくらいがいいのかもな。

しかしツーマンはやっぱり良いなあ。
私が初めて行ったお笑いのライブは東京03の単独だったので、もともとは一組のネタをたくさん浴びられるライブが好きなんです。それから若手が何組も出て1つずつネタをやるタイプのライブに行き慣れてきて、いろんな人のネタを観る楽しさも知って。ツーマンライブでは二組がそれぞれの世界観を煮詰めたネタを観られるので、いいとこどりな気がします。

今年は就活が終わるまでは一か月のうちに行くライブを減らすと決めているので、一回一回のライブを大事にしたいと思っています。その中で二月に行くライブのひとつにこれを選んで本当に良かった!
中田さん、宇野さん、上村さん、榎本さん、仮屋さん、最高に楽しい1時間をありがとうございました!


終わり!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!


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