国民医療費

厚生労働省の集計によると、国民医療費*は1990年度20.6兆円から2000年度30.1兆円となり、10年間で約10兆円増加しています。さらに2000年度から2010年度までの10年間でも約7兆円の増加となりました(2010年度37.4兆円)。高齢化による医療費の増加傾向は続きます。2014年度には40兆円を超えました。
世界的なCOVID-19感染症流行の前年、2019年度の国民医療費は43.6兆円でしたが、2020年度はやや減少し42.9兆円となりました。新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため2020年3月13日に成立した新型コロナウイルス対策の特別措置法に基づく緊急事態宣言が発令されたこともあり、外出控えがあり、患者の受診もその影響を受けたことによると考えられています。翌2021年10月1日には緊急事態宣言が解除されます。その2021年度の国民医療費はコロナ禍前を上回り45.4兆円を記録しました。

国民医療費は健康保険法等の公的医療保険制度に関する国が公表している統計データです。医療保険制度等による給付、後期高齢者医療制度や公費負担医療制度による給付、これに伴う患者の一部負担等によって支払われた医療費を合算したものです。
厚生労働省は、毎年度11月頃に2年度前の「国民医療費」を公表しています。
また、迅速な情報公開に努めるため、毎年度8〜9月頃に前年度分の概算医療費(労災保険や全額自費医療費などを除いたもの)を公表しています。この概算医療費は国民医療費のほぼ98%に対応していると言われています。例えば、2023年夏に公表された2022年度の概算医療費は46兆円でした。

審査支払機関(社会保険診療報酬支払基金および国民健康保険団体連合会)で処理される診療報酬(医科・歯科・調剤)の点数を集計します。1点=10円と決まっているので、点数を10倍して医療費(円)として提示されます。

国民医療費(厚生労働省より)

国民医療費とは、当該年度内の医療機関等**における保険診療の対象となり得る傷病の治療に要した費用を推計したものである。この費用には、医科診療や歯科診療にかかる診療費、薬局調剤医療費、入院時食事・生活医療費、訪問看護医療費等が含まれる。
 なお、保険診療の対象とならない評価療養(先進医療(高度医療を含む)等)、選定療養(入院時室料差額分、歯科差額分等)及び不妊治療における生殖補助医療などに要した費用は含まない。
 また、傷病の治療費に限っているため、(1)正常な妊娠・分娩に要する費用、(2)健康の維持・増進を目的とした健康診断・予防接種等に要する費用、(3)固定した身体障害のために必要とする義眼や義肢等の費用も含まない。

厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/37-21a.html#link03

**保険医療機関(病院・診療所・助産所・歯科診療所)および保険薬局、その他公的医療保険による保険請求を行う整骨院、訪問看護ステーション、など。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?