恐山

恐山とか吸血とか

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恐山とか吸血とか

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桜牙さんの牧場生活

《肉を食べて育つとね、内臓に臭みがでるし、よく焼かずに食べたときに腹痛起こしやすくなるんですよ》 そう語るのは食肉牧場オーナーの桜牙さん 《餌は基本、米や麦、玉蜀黍とか、穀物が主食。食いつきもいいしよく肥るんだよ》 《それでにタンパク質として大豆と…うちの場合、青魚を与えてるね。獣の肉みたいに臭みがでないんだよこれが》 桜牙さんの目からは飼料へのこだわりと、牧畜たちへの愛情がみてとれる 《こいつらはとにかく餌にうるさい。飼育環境はもちろんだけど、不味い餌を与えたらそ

    • 選定の剣教師

      《この剣を抜いた者、偉大なる王になるであろう》 そんなお決まりの文言が刻まれた、岩に刺さった剣。 古くからあるものの、特に信じられているでもなく、時々おとずれる観光客がぶらっと訪れたり、近所の子供たちがごっこ遊びに興じるくらいのものだ。 だが、そのごっこ遊びのなかついに抜かれ、抜き放たれた剣は先公となって少年を導くーーー 【遊びたい?おう、遊べ遊べ!友達と遊んで将来助けあえ!】 【高い安いだけで見んで、手間と質との差額に目をむけるんよ。いい仕事する商人は贔屓にして、

      • 狩猟犬に俺はなる

        「父さんのわからずや!犬種がなによ!闘犬や猟犬だってアイドルやってる時代よ!?」 「うちは熊狩りも行うアイヌ犬だぞ!チワワとの子供に熊が追えるか!」 「……お義父さん、どうしても認めてもらえませんか」 つぶらな瞳を輝かせながら、『チワワコボルト』の青年は『北海道犬コボルト』の男の頭を見上げる 「……私だってね、犬種差別をしたいわけじゃない。だが『適性』というものはあるんだよ」 「チワワはこれでも勇敢な犬種と自負しています」 「だが肉体が適っていない。それは蛮勇とか

        • 見えざる者

          館の敷地に人の気配を感じ取り、群霊<レギオン>を構成する霊たちが色めき立つ 久方ぶりの人間だ…狂気・恐怖・絶望 どれもごちそうだ。憑き殺せば我々の一部となる。肉の体で久しぶりに外を楽しむのも悪くない。 ああ、実に素晴らしい。静寂を乱され怒る?馬鹿な。ここ最近は肝試しのVIP客もこなくて退屈していたのだ。感謝。感謝して憑こう。 どうやら男の二人組みらしい。なにかの業者なのか、正規の鍵で玄関の封鎖を解いている。 ようこそ、これからよろしく 群霊―強い怨で我を失い個を失い

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