やまなみ //211023

 空気が冷えたせいなのか、澄んだ空と山の端のコントラストがくっきりとしている。夕暮れのグラデーションはまだ昼を覚えているのに、波のように連なる山は既に夜の様相で真っ黒だ。
 似た空を知っている。南の方に旅行に行ったとき、海を見ながら先輩と長く話していた。あの山と同じように闇に隠れた先輩の表情は、いまだに分からないままだった。

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