衝動 //211116四行小説

 力任せに引くと、裂くような痛みが走り拍動の速度で熱くなっていく。熱を持った血が、這うように腕を濡らしていった。手にはナイフが握られていて、強く握っているのに冷たいままで余計に熱さが際立つ。
 腕以上に頭は熱されていて、もはや痛いくらいだ。手先が痺れているのは脳が回転しすぎて血が回ってないせいだろう。それでいい。今は手足はどうでもいい。頭を存分に働かせ、脳に刻め。
 これは誓いだ。この気持ちを絶対に忘れないという誓い。腕の傷と共に、今の感情を脳に身体に焼き付けて、いつか必ず報復を果たすのだ。

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