苦手なものを貰う //220204四行小説
「手、出して」と含みのある顔で言う君の前に言われるままに手を差し出せば、イチゴ味のチョコパイが乗せられた。「あげる」とあまりに可愛らしい笑顔で言われたから、刹那戸惑った後に「いいの? ありがとう!」と嬉しさを言葉にした。
イチゴ味のチョコパイにはイチゴクリームが挟まっていて全体にはチョコがかかり、中心には真っ赤なイチゴジャムが入っている。イチゴクリームは美味しく食べられる。なのにどうにもジャムだけは自分の舌は受け付けない。だからさっきは「どうしよう」と目が泳いでしまった。
君は自分の好きなものをお裾分けしたくて、喜んでもらおうと期待を込めた眼差しでこちらを向いた。他でもない私にそう思ってくれたのなら、それを無下にしたくは無いし、純粋な気持ちは素直に受けとりたい。
九割は美味しくいただけるしまぁいいか、とチョコパイと一緒に貰った君の笑顔を思い浮かべる。
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