空に沈んだ地上にて //210930四行小説

 深海の魚は、水面を見上げて泡沫に歌を寄せた。

 空はあんなにも遠くなってしまった。空が高くなったのか、雲の位置が上がったのか、それとも自分が沈んでしまったのか分からなくなる。空が遠くなったことで自分の上の空気が増えて、深く深く呼吸が出来そうだ。
 息を吐き、紡ぐ言葉は音に乗せ、風を波にして届け歌声。

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