日陰者の安息地 //220130四行小説

 早朝の薄明かりに満ちた部屋の中で一番暗いところに座っている。立てた両膝に腕を回し、その上に頭を置いて横を向く。灯台もと暗しというように、この部屋で一番暗いところは光の入る東の窓に面した壁際だった。ここは誰の視界にも入らない場所のような気がする。盲点のような場所。ここならば落ち着ける。ここだから落ち着けた。いずれこの場所にも光はやってくるが、それまではここが居場所だ。

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