JaSST'24 Kansai 聴講メモ

はじめに

6/21に開催されたJaSST'24 Kansai。
すでに1ヶ月近くも経とうという時にようやく書き始めるという相変わらずの遅さなのですが、思い出しながらつづっていこうと思います。
ぼくは今回、スポンサー枠でもなく、業務としてでもなく、自費で休みをとって参加しました。
内容的に、今の業務に直結するわけではないと思ったのと、テスト会社として持ち帰れるものがそれほどないのではないかという推測からでした。
あと、なんとなく業務として参加すると何らかの有益な情報を持ち帰らないといけないな、と個人的に思ってしまうというもあって、気楽に、自分自身のために参加しました。
とはいえ参加する限りには自分自身で何をテーマに参加するのかは決めていて、今回で言うと「事業会社におけるQAはどういったことを考えられているのか、それはテスト会社の思考とどんなところが違っているのか」が見えればいいなと思い参加しました。

オープニングセッション

(良い意味で)相変わらずの機材トラブルからはじまったJaSST'24 Kansai。
いつもの感じで妙な安心感がありました笑
しかしこのトラブルってなんでしょうね、、、
実行委員の方も絶対に入念にチェック、リハーサルをしているはずなんですよね。
個人的には会場の設備に問題があるのではないかと思っているのですが。
ちなみにJaSSTのオンサイト参加はぼく自身数年ぶりでした。

QAエンジニアの仕事をつくる 伊藤由貴さん

今回のJaSST Kansaiは「QAはどう生きるか」というなんか長編アニメ映画のタイトルにありそうな壮大なテーマだったのですが、このテーマの基調講演としてテスト会社の経験もあり、その後事業会社でQAをされている伊藤さんは適任だと個人的には思っていました。
そして元テスト会社出身ということで伊藤さんの講演を聞けば、自ずと自分自身のテーマも見えてくるのではないかと思っていました。
テスト会社にいても、その後、もし事業会社に行くようなことがあってもいずれにも参考になるのではないかと思っていました。

講演内容の中で「手を動かすQAと手を動かさないQA」というキーワードが出てきました。伊藤さんは後者の方らしく、確かにカジュアル面談をしていても大きくこの2つに分かれそうだなと思って聞いていました。
1人目QAとして参画した場合は手を動かしている余裕はなさそうで、その会社にQAが根付いているかどうかでどちらかに分かれるのだろうなと感じました。
個人的には仕組みがない中からいろんな仕組みを考えるのが好きなのでどちらかというと1人目QA(もしくはそれに近い)の方が合っているのかなと思いました。
意外?だったのは、自分がもし1人目QAとして参画した場合にはまず一定の期間は手を動かして見たいなと思ってました。手を動かすことでプロダクトを理解できるし、プロジェクトの動きも肌で感じることができるからです。
伊藤さんはどうだったかな?1ヶ月前なので忘れちゃいましたが、これは状況やその人の特性、プロダクトの性質などに依存するのかなとは思っています。
自分自身でその方がいいと思えばやればいいだけの話なのかな、と。

また、伊藤さんは関係構築にも力を入れておられたようです。
自分自身もやっぱりそこが一番だろうなと思っていたので納得感がありました。
これは、テスト会社でテストを始めて請け負う時も同じですし。
ぼくはテスト会社で「立ち上げ」をやることを多いのですが、やはり関係構築に力を入れます。
あと伊藤さんは「ゴールや課題を設定した上で」というのも言われてました。
これも完全に同意で、立ち上げ時に意識するのはゴールの認識合わせと関係構築です。そういった意味では1人目QAとテスト会社での立ち上げは共通していることが多そうですし、もし事業会社に行ったとしてもこのテスト会社での立ち上げの経験は大いに役に立ちそうです(確か伊藤さんもそんな感じのことを言ってたような、、、)
ちなみにもし自分が事業会社に行くとして一番気になるのは開発の方々のQAに対する意識のところ。拒絶反応が多いところはもうマイナスからのスタートになるので極力そういったところは避けたいなと思います。
伊藤さんのところはもちろんそういった方もおられたようですが、概ねポジティブな方々なようだったので関係構築もやりやすかったのではないかと思います。
もちろん伊藤さんの関係構築のスキルも高かったからというのもあると思います。

あと、標準の押しつけをしないように意識されていたとかも共感しかなかったです。こういった伊藤さんの標準と現場感のバランスの良さが非常に好感を持てるところでありました。それゆえ、関係構築もうまく行くのだろう、と。
他には、今回、いろいろ分析される中で課題となったことが「自動テスト」という伊藤さんが得意とするところだったことは伊藤さんにとって良かったところだったのかなと感じました。これが自分の得意なところとかけ離れた分野だとすると少しやりにくさも出たのかなと感じたところではありました。
まぁ、でもきっと伊藤さんならそういった場合にもうまく対処される気はするのですが。

余談ですが、基調講演に対して質問される方々がテスト会社の方のようで面白かったです。みんな転職したいのかな?

テクノロジーセッション

ここは簡単に、、、
オンサイトのシンポジウムで録画を見るってなんかシュールだな、と。
全然いいのですが、せっかく足を運んで見に行っているので発表する人の顔を声を生で見て聞きたかったなと思いました。
批判とかではなく単なる個人の感想です。

品質活動を事業に結びつけるためのQA文化の築き方 miiさん

miiさんの発表はキーワードがいくつか印象的でした。
「ハワイだけ」
この言葉には最小でプロダクトを実現するといった意味と海外でよく行かれると思われる「ハワイ」という絶妙な選択がされているのかと勝手に推測しました。
これがイタリアでもなく、パリでもなく、インドでもなくハワイだからいいんですよね、と(そんなことも言われてたかな?)。
「QAエンジニアは謎の人」
ふとMr.シャチホコさんが真似をされる和田アキ子さんを思い浮かべてしまいました(「おたくは何をされているかたでしたっけ?」っていうやつ)、というのは置いといて、これは伊藤さんの話にも通ずる1人目のQAとして入った場合に意識しないといけないことなのだと思います。
なんか品質に関するイベントに参加すると所属しているテスト会社のことを知ってくれているばかりなので勘違いしやすいのですが、プロダクト開発する会社さんでテスト会社の存在や名前を知らない人って結構います。カジュアル面談とかしているとそう感じることがあります。
そう言った意味でもテストを専門にしている人ってそんなに認知されていないことを知っておくというのは1人目QAをやるにしても、テスト会社で委託されたとしても大切なんだろうなと思った次第です。

また、品質の価値を事業にとって良いことだと結びつけるというのはmiiさんの話から出ました。この品質の価値を示すってのはテスト会社でも長年の課題です(テスト会社だとどっちかというとテストの価値って感じなのですが)。
とはいえ、これはあくまでテストを請け負う立場としては価値を示さないと次のお仕事がもらえないからとかそういうのがあるからで、事業会社では会社の中でQAが存在していると特に事業の価値と結びつけずとも業務は問題なく遂行できそうでもあります。それをきちんと事業の価値と結びつけることをされたのはすごいなとただただ感心させられました。
これは自分が事業会社でQAをやるとなった場合にきっと思いついていないだろうという発想でした。

あとは、「足元を見つつ、数年先を見据える」というのも印象に残りました。
これ、非常に大事なことだと思います。
普段の業務でどうしてもどちらかになりがちですので。

むすび

10Xの平田さんのお話も聞きたかったのですが、子供のお迎えがあり残念ながら聞くことができませんでした。
今回は主に1人目QAの方の話を聞きましたが、それぞれに取り組み方の違いはあれど、やれていることの見える化や事業との結びつきの見える化など手段はなんであれQAの価値というのが見えにくい中でいかにして価値を見えるようにするかが共通の課題であり、対応だったのかと思います。
これはテスト会社にも同じことがいえ、結局、テスト会社もテスト会社に委託して何がどう良くなったの?というのにちゃんと答えられていないと思っています。
テスト会社(個人的にはテスト会社ではなく品質を司る会社にしたいと思っているが)も同じ課題を持っており、テスト会社はより課題の意識を持つ必要があるのではないかと感じました。
今回、もしかするとテスト会社の人が聞いてもテスト会社としては参考になるようなことはないかな?(参考になるとすると事業会社に1人目QAとして参画するときぐらいかな?)と思っていたのですがそんなことは全くありませんでした。
当たり前なのですが、同じ品質を司る立場であるのならば共通の課題が合って然るべきだし、それを今回感じられたのでとても有意義な時間を過ごすことができました。

#JaSST '24 Kansai
#1人目QA
#ハワイだけ

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