見出し画像

シジュウカラのおしゃべり

「シジュウカラは言葉を使う」
初めてこのことを知ったとき、やっぱり、と思いました。
動物言語学者の鈴木俊貴さんが出演したNHKの番組を観たからです。

うちの庭にかけた巣箱には、毎年シジュウカラが営巣します。
今年もつがいが巣箱に入っては出ていき、忙しそうにしているのをほほえましく思いながらながめています。

シジュウカラの鳴き声がすると、すぐさま窓ごしに駆け寄り、巣箱のある木をカーテン越しに覗くのが日課に。ある日ふと不思議なことに気がつきました。

メスが巣に入ったとき、オスが上の方の枝で「チュピ・チュピ・チュピ」と必ず鳴くのです。「チュピ・チュピ・チュピ」という声がしたら、もう一羽が巣の中に入ってしばらく何かしています。この行動は何日か続きました。

これはオスがメスに「今は危険はないよ。安心して巣作りしていいよ」と伝えているのだ、と解釈しました。

そして今年も無事、若鳥の巣立ちを迎えました。

その日はいつもよりも騒がしいので、もしやと思って眺めていると、立派に育った若鳥が巣箱の入口から小さな顔をのぞかせました。いよいよ巣立ちです。若鳥はためらいがちにきょろきょろと外の様子を伺っています。その後ろには兄弟姉妹たちが「我先に」と入り口で押し合っているのが見えます。

先頭の若鳥はしばらくして外に飛び立ちました。というより飛び降りたといった感じ。まだうまく留りたい枝に留れず、隣の家の軒下にへばりついています。先頭の1羽につづいて、次から次へとひなが飛び出し、藪の枝、フェンス、家屋の壁と、とにかく何かしらにつかまり、「ツイー、ツイー」と大声で鳴いています。それに答えて親鳥も大声を出していて、静かな住宅地で大騒ぎです。ひなは全部で5羽。やっとこさ巣箱のある木に団子のように集まり、しばらくすると一斉に同じ方向に飛び立ちました。

初めて目にした世界はどんな風に映るのかな。

初夏になってときどき、シジュウカラの若鳥の群れが賑やかに鳴きながら、我が家の木にやってきます。ここから巣立った子どもたちかもしれません。どんなおじゃべりをしているのか、鳥の世界を覗いてみたいものです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?