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夏はひまわり、そしてセッカ

「セッカ」という名の鳥をご存じですか? わたしがセッカをはじめて知ったのは10年ほど前、近所の公園で毎週土曜日に行われていた野鳥観察会に参加したことがきっかけでした。大きな河のそばにある公園で、たくさんの鳥が河川敷に広がるススキの草原のあちこちで、飛び上がるたびに「ジャッ、ジャッ」と鳴いているのを見つけ、先生が「あれはセッカです」と教えてくれました。

見た目は少し小さめのスズメ。全体が薄茶色で黄褐色がまざり、頭や翼にかけて濃茶色の縦斑があります。群れで行動し、鳴き声に特徴があるので、再会したときはすぐにセッカだと気づきました。

その思いがけない再会は、なんとうちの家の前の畑でした。毎年夏になると、落ちた種が芽を出して成長する「おのればえ」のひまわりが、畑のあちこちで咲いています。そのひまわりの種を目当てに、花から花へはしごして飛び回る小鳥の集団。あっちで「ジャッ、ジャッ」、こっちで「ジャッ、ジャッ、ジャッ」と鳴いています。

不思議なことに、1度しか聞いたことのない鳥の鳴き声なのに憶えていたんです。「あれ? どこかで聞いたことがある!?」すぐにググって調べると「セッカ」でした。

移動しながらさえずるセッカは、飛ぶ方向で鳴き声を変えるという不思議な技をもっています。上に昇るときは「ヒッヒッ」、下に降りるときは「ジャッ、ジャッ」とさえずるのです。

セッカの巣づくりは春から夏。ススキやチガヤが茂る草原にやってきて、くちばしで器用に草を編んでクモの巣で縫い合わせて巣を作り上げます。この技も相当に見事なもの。食べ物はひまわりの種などの植物のほかに、昆虫や幼虫です。

一度聞いたら忘れられない特徴のある声。おのればえのひまわりのおかげで、晴れた夏の日にセッカの大家族をながめるのが一日の楽しみになりました。





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