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松山英樹選手のマスターズ優勝でなぜ解説の中島常幸氏が号泣したのか?

先日USで行われたゴルフのマスターズにて松山英樹選手がアジア人として初めて優勝し記念のグリーンジャケットに袖を通した。TVを通してごらんになった日本のゴルフファンも多かったに違いない。そのTV中継で解説の中島常幸さんが号泣していた場面が流れていた。また、別の番組でも青木功さんや丸山茂樹さんなども泣いたと語っていた。

わたし自身も優勝の瞬間をTVを通して生で見ていた。マスターズが世界的な大きな大会であるのは知っていたし、日本人が一桁の順位になってもニュースになるほどなのも知っていた。しかし、日本の歴代のトッププレーヤーが皆そろって涙を流している様子に、嬉しいのはわかるがそこまで号泣するのはなぜなのかな、と少し感じていた。

そこで気になってゴルフに関連する記事を少し調べてた。だんだんわかってきたのは、ゴルフという競技のもつ奥深さであり、海外のそれも世界一の大会に出場して、優勝することの困難さである。

ゴルフについて詳しいわけではないが、

0.ゴルフは、心技体すべての面で高いレベルのポテンシャルが必要。14本のクラブを自由自在にあやつり、また最後のパターは非常に緊張を強いられる場面で打つことが多い。したがって強いメンタルは必須である。また、それぞれのショットを磨くためには正確なスイングはもちろんだが、それを支える強い肉体も必要。心技体のどれ一つ欠けてもトップにはなれない。そのためトッププロになるためには長い年月をかけての地道な鍛錬が必要だ。

1.マスターズはその名の通りトッププロが競う世界一のゴルフの大会。 山で言えばエベレストである。

2.マスターズはアメリカで行われる大会で招待された選手だけが出場でき選ばれるためには全米他の大会で上位の結果を残しておく必要がある。実績が必要なのである。

3.全米の各大会で結果を出すためには広い全米各地を転戦していく必要がある。広いアメリカ毎週移動しても平気なタフさも必要。

4.全米を転戦するためには、選手一人では無理で、ゴルフの練習はもとより、英語という言葉や、身体を支える食事、ホテルや飛行機の手配をしたり身の回りのことを支えるスタッフも必要になってくる。選手をサポートするチームを作ることになる。移動の飛行機も普通の便だと搭乗手続きなどで時間もかかり選手のロスになるため、プライベートジェットで移動するプロも多い。

以上挙げただけでも、マスターズに出場するだけでも難易度は非常に高いのがわかる。ましてや優勝を成し遂げるということは、いくら松山選手が素晴らしい選手だとしても、先輩方が挑んできた経験、歴史、言葉を変えると、いままで挑んできたいろんなな選手たちの汗と涙なしでは達成はできなかったのではないか。

最初は大会に招待してもらうことも難しい時代から、何十年もかけて多くのプロゴルファーたちが、それぞれの挑戦を通してエベレストの頂上への道を一歩一歩進めていったのだ。その先達の経験をへて、松山選手がいまマスターズ制覇という頂上に上り詰めたということだろう。

何人もの人々によって、何年もの年月をかけて築き上げられてきた日本人としてのマスターズ制覇に挑んできた道だからこそ、その道をふみかためてきた歴代のトップ選手たちは自分の作ったもののさきに松山選手が届けてくれたことに感謝し感動し喜びの涙になったのだろう。

松山選手も先輩が作ってきてくれたこの道のことは理解している。それは優勝インタビューの以下の言葉に表現されている。

これまで日本人はメジャーで勝てなかったが、僕が勝ったことで、日本も変わっていくのではないか。また、”5年後、10年後、僕の姿をみた子供たちもゴルフを続けていってほしい、と。

松山選手の快挙は自身の努力や頑張りまわりのサポートと、いままで何年もかけて海外で挑戦を続けてきた日本のゴルフ界全体の歴史とが融合したひとつの集大成といっていいかも知れない。

そしてこの道は松山選手からまたその先の次の世代へと引き継がれていくだろう。

最後に、コロナ禍のもやもやしたいやな気持を吹っ飛ばし、日本の多くの人たちのこころを晴れやかにした大きなプレゼントをくれた松山英樹選手へ

おめでとうございます。そして、ありがとうございます。


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