脊髄

脊髄の海綿状血管腫の説明で正しいものを選べ
A. 大脳の海綿状血管腫に比べ、腫瘍内出血をきたし易い
B. 腰髄に多い
C. 男性に多い
D. 血管撮影で血管集簇を認める
E. 疼痛での発症は稀

解説)B31-2013(公開問題・改題)
頻度:脊髄髄内腫瘍の 4-5%、中枢神経海綿状血管腫の 3-5%。
特徴:大脳の海綿状血管腫に比べ、腫瘍内出血をきたし易い。Ans.a
男女比:1:2.3 で女性が多い。
好発年齢:31-40 歳が多く、次いで 41-50 歳。
好発部位:胸髄が 54%で最多、次いで頸髄 32%(C3-C7 に多い)。
発症形式:
1、断続的に症状の悪化と回復を繰り返す(最も多い)。
2、症状が緩徐に進行する。
3、急性発症
症状:疼痛(頭痛、頸部痛、背部痛など)、上下肢の感覚以上、運動麻痺
画像所見:
・MRI 様々な時期の出血・血栓・石灰化を含むため、T1 や T2 で高信号域と低信号域が
混在し popcorn-like な構造を示す、T2 にて辺縁に低信号領域(hemosiderin rim)を認める。
・造影 MRI 増強されないか、増強されてもごく軽度。
・DSA 無血管野のことが多い。
治療:腫瘍境界は鮮明であり出血を繰り返す症例では全摘出を目指す。残存した場合は再出血をきたしやすい。

画像1

36歳男性 突然の左上肢の疼痛が出現
以下の画像・病理所見を認める疾患に関して正しいものを2つ選べ

画像28

a. 免疫染色inhibin-αが陽性になる
b. 段階的に症状が悪化する
c. 腎悪性腫瘍や網膜血管腫の合併を検索する必要がある
d. 血管撮影では描出されない
e. 毛細血管とfoamy stromal cellからなる


解説)藤田2020 ビデオセミナー 尾原より
診断:spinal cavernous malformation                 病理では正常組織を介在しない血管腫パターン
a,c,eはhemangioblastomaの話 Ans.bd

以下の画像・術中所見を認める疾患に関して誤っているものを選べ

画像28

a. 頸髄・胸髄に多い
b. 術中所見では病変が軟膜下に存在する
c. 迅速病理は出さずに一塊で摘出することが望ましい
d. 前根侵入部に発生することが多い
e. 全身麻酔の際には慎重に全身の画像検索を術前の評価として行う

                                    
解説)藤田2020 ビデオセミナー 尾原より
診断:hemangioblastoma
術中所見が特徴的である。怒張した血管と軟膜下に存在する腫瘍
VHLでは1/3が遺伝形式、その他孤発性であるが、褐色細胞腫の合併がないかどうかは全身麻酔の上で検討が必要である(降圧にα遮断を必要とする)
脊髄後根侵入部の発生が多い 空洞やcystを合併するが、それが無く充実性のことも。Ans.d


45歳女性、数年前より四肢しびれ感あり、頸椎MRI(T2WI, T1Gd)を示す。本疾患に関して誤っているものを選べ

画像29

a. 単発発生は稀である
b. 広範な空洞症や嚢胞を伴う事が多い
c. 約半数は胸髄に生じるが、くも膜下出血をきたした例のほとんどは頚髄に生じている
d. 脊髄背側の後外側軟膜下に発生し、腹側発生は少ない
e. まず流入動脈を処理し、流出静脈を処理する

                                     
解説)
診断:Hemangioblastoma Cに関してはhttps://trc-rad.jp/case/250/s3/s3_3.html
多くは単発発生、孤発例も2/3 多発例ではVHL遺伝子異常を疑う
Dの選択肢は重要。特に軟膜下発生の髄内腫瘍なのでSAHの原因に稀ながらなる Ans.a

足根管症候群に関して正しい選択肢を選べ (正しく直せ)
A. 腓骨神経の障害による
B. 足背の感覚障害を認める
C. 外科的治療では外顆の神経管開放を行う
D. Phalen徴候が陽性である
E. ガングリオンによる発症が多い

解説)
内顆を走行する後脛骨神経の障害による
足背は感覚障害がなく、母趾を含む内側足底領域のしびれ感覚障害を認める
phalen徴候は手根管症候群であり、両手背部を合わせたときのしびれ
Tinel徴候陽性でこちらは神経圧迫による症状の増悪で、手根管症候群も足根管症候群でも使われる用語である SANS2016 Q.77によるとガングリオンが最多らしい Ans.e

以下の画像を呈する患者で所見と一致するものを2つ選べ

画像25

A. 肩外転力の低下
B. 手関節伸展力の低下
C. 前腕尺側の感覚低下
D. 腕橈骨筋反射の低下
E. 上腕三頭筋反射の低下


解説)問題集 K3-2と同一問題
診断:C5/C6の頸椎椎間板ヘルニア
頸椎と腰椎で考え方が多少異なる(次の問題参照)
頸椎ではCa/Cbヘルニアでは、Cb神経根症、Cb+1脊髄症となる
よってC6神経根症、C7脊髄症 本問はC6神経根症を問うている
正解から;C6神経根症では撓側前腕+1,2指の感覚、腕橈骨筋反射 →d
MuscleではC6は肘関節屈曲+手関節伸展(背屈)になる →b Ans.bd

捕捉;(問題集p56)
① C5で三角筋、上腕二頭筋反射、前腕部撓側感覚
② C6で手根伸筋、肘関節屈曲(上腕二頭筋)、腕橈骨筋反射+上腕二頭筋反射、前腕部撓側感覚+指1,2の感覚
③ C7で手根屈筋、肘関節伸展(上腕三頭筋)、上腕三頭筋反射、3指の感覚
④ C8で手指屈筋、反射なし、指4,5の感覚


L5神経根症状を示すヘルニアを2つ選べ。
A. L3/4, Paracentral type
B. L4/5, Paracentral type
C. L4/5, Far lateral type
D. L5/S1, Paracentral type
E. L5/S1, Far lateral type

解説)B46-2018   Ans.be                        後正中・後外側型と、椎間孔外型で異なるのは以下のシェーマの通り 椎間孔外(外側型)ではLa/Lbヘルニアをきたしたとき、Laの神経根症状になる。

画像24

45歳男性 左下肢痛の主訴で来院。膝蓋腱反射は正常であった。以下にMRIを示す。本症例に関する説明で正しいものを2つ選べ
A. Femoral Nerve Stretching. Testは陽性になる
B. Trendelenburg徴候を認める
C. 造影でリング状に造影されるものは自然消退が期待できる
D. アキレス腱反射の低下を認める
E. 大腿外側の感覚低下を認める

画像2

解説)cf. B56-2011
診断:L4/5 椎間板ヘルニア(後外側型)  Ans.bc              →L5神経根症状:中殿筋筋力低下(Trendelenburg徴候)、前脛骨筋、長母趾伸筋、長母趾屈筋 これらの筋力低下
SRL, Lasegueラセグ徴候はL4/L5 or L5/S1の神経根症状を意味する
膝蓋腱反射はL4、アキレス腱反射はS1がメインである(脊髄問題集K13-2)

画像3

画像4

62歳男性 腰背部痛、下肢疼痛あり MRIは以下の通りである
神経所見および感覚障害の組み合わせで正しいものを選べ

A Lasegue test陽性,膝関節外側から足背外側
B Lasegue test陽性,膝関節外側から第一趾
C Lasegue test陽性,大腿外側から下腿内側
D Femoral Nerve Stretching. Test,膝関節外側から足背外側
E Femoral Nerve Stretching. Test,大腿外側から下腿内側

画像12

解説)
まず神経根症状はL4であるので、感覚障害は大腿外側~下腿内側
次にラセグ徴候はL4/L5 or L5/S1の神経根症状を意味する(SLRも同じ)←cf B56-2011
Femoral Nerve Stretching. Testは(L2、L3、L4)に異常がある場合、陽性反応 Ans.e
URL: http://minds4.jcqhc.or.jp/minds/LDH/03_ch3_LDH_GB.pdf

73歳男性 歩行困難を主訴に来院、頭蓋内は明らかな異常なく、腰椎MRIで以下の所見。下肢の血管精査は異常所見なし。以下の選択肢で正しいものを2つ選べ                               A. ABI(Ankle Brachial Pressure Index)が0.9以下である
B. SRL(Straight Leg Raising Test)が陽性になることが多い
C. 前屈制限を認める
D. 軽症例ではプロスタグランジンE製剤で改善する
E. 手術加療では隣接椎間障害による再手術頻度が5~20年間で5~15%

画像5

解説)
診断:腰部脊柱管狭窄症
ABI 0.9以下でASOの可能性あり SRLはL4-S1の椎間板ヘルニアで(+)なることが多いが、腰部脊柱管狭窄症では陰性となる(SANS 2016 Q.74)
プロスタグランジンE製剤の投与は専門医試験に過去出題歴あり
Eは脊髄外科専門医問題集 K14-4より Ans.de

髄節と反射の正しいものを2つ選べ
a. 上腕二頭筋反射 C5   b. 腕橈骨筋反射 C7   c. 上腕三頭筋反射 C8
d. 膝蓋腱反射 L5     e. アキレス腱反射 S1

 
解説)A80-2011
Ans.ae

画像6

筋肉と支配神経で誤っているものを2つ選べ
A. 手関節掌屈筋、手指伸展筋群-C7,C8
B. 腓腹筋/ヒラメ筋-L4
C. 長/短母趾伸筋-L5
D. 腸腰筋-L2,L3
E. 大腿三頭筋 (Hamstrings)-L4,L5

解説)A75-2016類 
主な筋肉の支配神経根
・広頚筋-facial N. 頸枝
・三角筋―C5
・棘上/下筋―C5,6
・腕橈骨筋―C6  brachioradialis
・手関節背屈筋群―C6,7
・上腕三頭筋―C7  Triceps brachii
・手関節掌屈筋、手指伸展筋群―C7,8
・手指屈曲筋群―C8
・手指骨間筋―Th1

・腸腰筋―L2,3
・大腿四頭筋―L2,3,4
・前脛骨筋―L4,5  Tibialis anterior muscle
・長/短母趾伸筋―L5 Extensor pollicis longus muscle ,Extensor hallucis brevis muscle
・大腿三頭筋(Hamstrings)―L5,S1
・腓腹筋/ヒラメ筋―S1  gastrocnemius   Ans.be

頚胸髄 AVM の責任血管検索で不要なものを一つ選べ
A.Vertebral Artery
B.Thyrocervical Artery
C.Costocervical Artery
D.Internal Thoracic Artery
E.Intercostal Artery

解説)B45-2015・・・良問!                         ツ(椎骨)ナ(内胸)コ(甲状頚)ロッケ(肋頚)で分岐を覚える
thyrocervical artery:甲状頚動脈 → VA閉塞時にbとcが要になるので重要
costocervical artery:肋頚動脈 → 最上肋間動脈を分岐、そこから1st, 2nd肋間Aを栄養(これが重要)
internalthoracic artery:内胸動脈 Ans.d
intercostal artery:肋間動脈 

https://visual-anatomy-data.net/circulatory-system/artery/detail-highest-intercostal-artery.html

画像8


Myxopapillary ependymomaで誤っているものを選べ

A 男性優位 B 易出血性 C GFAP 陽性 D cytokeratin陰性 E WHO grade II

解説)
Eが誤りであることを見抜くのは容易だが2021年~grade IIに移行予定(Ans.e)一方、A-Dまでなじみないかもしれない
好発年齢は 20〜40 歳。男性:女性=2:1 で男性に多い
血管に富む腫瘍で、腫瘍内出血やくも膜下出血で発症することが多い。  くも膜下出血で発症した脊髄腫瘍例の約 2/3 は粘液乳頭状上衣腫である
GFAP陽性、S-100 蛋白:陽性、Vimentin:陽性
Cytokeratin:陰性・・・神経膠腫の仲間と思えばそうでしょう。

びまん性特発性骨増殖症(DISH)に関して誤っているものを選べ
A. 白人よりもアジア人に多い
B. 椎間板の変性は少ない
C. 椎体の前方及び側方に突出する高度の骨棘形成が4椎体以上にわたり連続性にみられる
D. 後縦靭帯骨化症を50%程度合併する
E. 中高年者の脊椎に多く、頸椎病変は胸椎の病変と比較して少ない


解説)びまん性特発性骨増殖症(DISH)
中高年者の脊椎、特に下部胸椎〜上部腰椎に好発(胸椎>腰椎>頸椎の順)
椎体の前方及び側方に突出する高度の骨棘形成が4椎体以上にわたり連続性にみられる
人種は白人に多い(靭帯骨化症との違い)OPLLを50%程度合併する。
★DISH の画像診断基準は以下の3項目である。
1)4つ以上の椎体にまたがる連続性の骨化あるいは石灰化
2)椎間板は比較的保たれ、vacuum phenomenonなどの椎間板変性所見もない
3)椎間関節や肋骨椎体関節、仙腸関節に骨性硬直がない ←強直性脊椎炎(国試113D60)
軽微な外傷で骨折することがある。遅発性の脊髄障害に注意が必要。 Ans.a

軸椎骨折に関して誤っているものを選べ
A) 高齢者に多い
B) Anderson type IIは椎体に骨折が及んでいる
C) Anderson type IIではHalo固定しても半数は治癒しない
D) Anderson type IIよりIIIの方がHalo固定による骨癒合を得られる
E) Odontoid screwは前方、Margel法(trans-articular screw)は後方より行う

解説)2020年財団セミナーより cf B41-2012
Anderson type IIではHalo固定しても半数は治癒しないが、Anderson typeIIIではHalo固定による骨癒合が半数以上得られる。            また、軸椎骨折は高齢者に多い。
Anderson type IIは軸椎基部、Type IIIは椎体に骨折が及んでいる   Ans.b
Odontoid screwは前方、Margel法(trans-articular screw)は後方より行う
写真は「trans-articular screw」の問にあり
Type II骨折に対して、Odontoid screw他、後方環椎軸椎固定術もあり

以下の選択肢で誤っているものを選べ
A) 頸椎黄色靭帯石灰化症は黄色人種の女性に多い
B) 頸椎黄色靭帯石灰化症はリン酸カルシウムの沈着による
C) 胸椎黄色靭帯骨化症は黄色人種の男性に多い
D) 胸椎黄色靭帯骨化症は中位胸椎が好発である
E) 黄色靭帯骨症は後縦靭帯骨化症を合併することが多い


解説)財団セミナー+問題集 Cf A22-2020, B76-2016
A) 頸椎黄色靭帯石灰化症は黄色人種の女性に多い(セミナー)
B) 頸椎黄色靭帯石灰化症はリン酸カルシウムの沈着による(セミナー)
C) 胸椎黄色靭帯骨化症は黄色人種の男性に多い(セミナー)
D) (Ans)胸椎黄色靭帯骨化症は下位胸椎が好発である(問題集 K11-1) Ans.d
→これは胸椎椎間板ヘルニアと同じ
E) 黄色靭帯骨症は後縦靭帯骨化症を合併することが多い(問題集 K11-1)


頸椎後縦靭帯骨化症で正しいものを選べ
A) 脂質異常症との関連が示唆されている
B) 発症年齢は70歳代が最も多い
C) 頸椎と胸椎の後縦靭帯骨化症では手術成績は同等である
D) 分節型は連続型・混合型に比べ胸椎靭帯骨化を合併することが少ない
E) 頸椎前縦靭帯骨化症の場合では、頸部痛の頻度が多い


解説)脊髄外科専門医試験問題集K4-1~4
A) 糖代謝異常との関連が示唆されている
B) 発症年齢は50歳代が最も多い (胸椎椎間板ヘルニアとおおむね同じ)
C) 頸椎の方が良い(比較:胸椎の後縦靭帯骨化症の手術成績)
D) 〇分節型は連続型・混合型に比べ胸椎靭帯骨化を合併することが少ない
E) 頸椎前縦靭帯骨化症の場合では、頸部痛嚥下障害や嗄声の頻度が多い Ans.d

脊髄硬膜外血腫に関して正しいものを2つ選べ
A) 若年層に好発する
B) 頸椎>胸椎>腰椎仙椎の順に多い
C) 血腫は腹側に多い
D) 硬膜外静脈叢由来の出血である
E) 性差はなし~やや女性に多い


解説)財団セミナー 金先生
好発年齢 60-70歳、1/100万人
頸椎>胸椎>腰椎仙椎で背側に多い 治療:早期減圧あるいは保存的療法
A) 脊髄梗塞が50~60代なのでそれよりも10歳高齢
B) 〇頸椎>胸椎>腰椎仙椎の順に多い
C) 血腫は背側に多い
D) 〇硬膜外静脈叢由来の出血である
E) 性差はなし~やや男に多い Ans.bd

透析性脊椎症で誤っているものを2つ選べ
A) 軸椎周囲アミロイド沈着
B) 後縦靭帯骨化症
C) 破壊性脊椎関節症
D) 骨棘形成
E) 椎間板腔狭小化

解説)                                                                                                                透析脊椎症とはアミロイド沈着(β2ミクログロブリン由来)を背景として
1. とくに頸椎に好発
2. 椎間板腔狭小化
3. 椎骨の縁(終板)が破壊(破壊性脊椎関節症) 鑑別は化膿性椎体炎
4. 骨棘(-)
http://www.onitaiji.com/spine/disease/dis19.html (岡山大学病院) Ans.bd
後縦靭帯にアミロイド沈着を呈して肥厚するケースはあるが骨化ではない

椎間板嚢胞に関して正しいものを選べ
A) 高齢者に多く、多発する
B) 嚢胞壁は神経組織を認める
C) 嚢胞の存在する椎間板の線維輪の断裂を認める
D) 正中から発生し後縦靭帯の隆起を認める
E) 腰椎椎間板ヘルニアの発生高位頻度と相違ない

解説)A34-2020類 脊髄専門医問題集K25-2               稀な疾患 鑑別疾患に椎間板ヘルニア
青年層に好発する                          片側性の単一神経根障害をきたすので椎間板ヘルニアと症状が似る
椎間板ヘルニアの発生高位よりもやや頭側に多い             椎間板障害(線維輪の断裂)が基盤にあるが、変性は重度ではない(椎間板と交通を持つ)                           嚢胞壁は線維性結合組織である
硬膜嚢の腹側・外側に発生する(後縦靭帯を避ける) Ans.c

64歳女性、右下肢のしびれ・疼痛を認める。疾患に関して正しいものを2つ選べ

画像8

A) 仙骨に生じることが多く多発することもある
B) 嚢胞壁は神経組織を認めない
C) 無症状が多いが、有症状になると症状は改善しにくい
D) 嚢腫壁焼灼術は有効である
E) 症候性の場合、全摘出が望ましい

解説)脊髄専門医問題集K25-6 診断:神経根嚢腫(perineural cyst)
椎間関節嚢胞とは別物だが、好発部位仙骨の局在で判定するほかない?
嚢胞壁に神経組織を有する(別名Tarlov’s cyst)
殆ど無症状、有症状でも内科/理学的治療で改善する 改善無い場合は嚢胞壁の穿刺・焼灼・縫縮等が行われるが、神経組織が介在するので全摘は膀胱直腸障害等のリスク Ans.ad

椎間板嚢胞に関して誤っているものを選べ
A) 腰椎に好発する
B) 嚢胞壁は病理で線維性結合組織を認め、lining cell layerを認めない
C) 嚢胞の存在する椎間板の強い変性所見を認める
D) 造影剤で嚢腫の辺縁が増強される
E) 内溶液は血性から漿液性である

解説)A34-2020類 当該椎間板と交通する脊柱管内の稀な嚢腫性病変
滑膜嚢胞ではないので注意 椎間関節嚢胞とは別物
L5好発の椎間板ののう胞 Bの選択肢はかみ砕いていうなれば嚢胞壁は椎間板由来でない
硬膜嚢の腹側・外側に発生する Ans.c

画像9

腰椎椎間板ヘルニアにおいて、自然消退しやすい因子を2つ選べ
A. 脱出型(遊離脱出したもの)
B. ヘルニアサイズが小さいもの
C. 造影でリング状に造影される
D. SRL徴候の強陽性
E. 腰椎の前屈制限

【解説】脊髄専門医問題p88~89解説 K13-3
自然消退が期待できる特徴:脱出型(⇔膨隆型)、リング状造影、ヘルニアsize大
若年者の特徴:SRL強陽性、前屈制限、neurologyで異常少ない、椎体終板損傷
高齢者の特徴:SRL陽性少ない、軟骨終板を含む Ans.ac

脊髄腫瘍において、髄内腫瘍より髄外腫瘍でみられるものはどれか、2つ選べ。                                 A) 索状痛
B) 感覚解離
C) 根性疼痛
D) 発汗障害
E) Brown–Séquard 症候群

解説)A34-2020 ※B72-2014 と酷似問題、選択肢は異なるがeが同一
B72-2014 A発汗障害 B解離性感覚障害 C棘突起叩打痛 D下行性感覚障害 E Brown-Sequard syndrome
→こちらは正解がCとEになる
追加するなれば、上行性感覚障害であれば髄外腫瘍になる(脊髄感覚分布が内側ほど頚髄、外側ほど腰髄分布を示すため)             本問のAns.ce こういう問題は決して落としてはいけない

Q1. 肘関節屈曲に関与する主な支配神経を2つ選べ
Q2. 手関節背屈に関与する主な神経支配を選べ

a. C4
b. C5
c. C6
d. C7
e. C8

                                   
解説)
肘関節屈曲はC5,C6 肘関節伸展はC7
手関節伸展(背屈)はC6、手関節屈曲はC7(ちょうど7の文字を屈曲すると作れる)Ans. 1bc 2c

支配神経と筋肉の組み合わせで誤っているものを選べ
A 正中神経‐拇指対立筋 Opponens pollicis muscle
B 尺骨神経‐拇指内転筋 Adductor pollicis muscle
C 尺骨神経‐回外筋 supinator muscle
D 橈骨神経‐上腕三頭筋 Triceps brachii
E 橈骨神経‐腕橈骨筋 brachioradialis muscle

                                    
解説)脊髄専門医試験問題集 解説p57参照
回内筋系は正中神経 回外筋は橈骨神経 Ans.c

橈骨神経麻痺をきたすものを選べ
a. 肘部管症候群   b. 回内筋症候群     c. 回外筋症候群
d. 手根管症候群   e. De Quervari症候群

解説)
まず明らかに違うaとdは除外
正中神経支配が円+方形回内筋(pronator)を含んでいることは豆知識として。するとcとeのいずれか。ドケルバンsyn.は腱鞘炎の1つ。 Ans.c

猿手を認める患者の筋肉で障害されないものはどれか
a. adductor pollicis
b. abductor pollicis brevis
c. flexor pollicis brevis
d. opponens pollicis
e. pronator quadratus

【解説】難 SANS 2018 Q.2 
adductor pollicis 母指内転筋 ・・・これだけ橈骨神経支配
abductor pollicis brevis 短母指外転筋
flexor pollicis brevis 短母指屈筋
opponens pollicis 母指対立筋
pronator quaratus 方形回内筋  回外筋supinatorは橈骨神経系

画像13

脊髄障害と障害部以下の症状の組み合わせについて、誤っているものを一つ選べ。
a. 脊髄前半障害 ― 解離性温痛覚低下
b. 脊髄後半障害 ― 解離性深部感覚低下
c. 脊髄半側障害 ― 同側深部覚低下、対側温痛覚低下
d. 脊髄横断障害 ― 全感覚低下
e. 中心性障害 ― 位置覚、振動覚低下

解説)B48-2018
空洞症などを参考に 解離性感覚障害とは
外側脊髄視床路では温痛覚がクロスして伝導されるので中心性病変で、温痛覚障害+位置覚/振動覚が残存する またaの選択肢は前問のB47-2018と同じことを問うているAns.e

A 脊髄前半障害 ― 解離性温痛覚低下 〇前脊髄動脈閉塞症など
B 脊髄後半障害 ― 解離性深部感覚低下 〇亜急性脊髄連合変性症など
C 脊髄半側障害 ― 同側深部覚低下、対側温痛覚低下 〇Brown-Séquard症候群
D 脊髄横断障害 ― 全感覚低下 〇外傷による脊髄損傷など
E 中心性障害 ― 位置覚、振動覚低下→障害レベルの温痛覚低下 ×脊髄空洞症など
初期は片側、進行すると両側温痛覚、はたまた運動障害も生じる。後索障害はきたしにくい。


脊髄の運動・感覚伝導路に関して誤っているものを選べ
A 薄束は楔状束よりも外側に位置する
B 薄束は下半身、楔状束は上半身の感覚を伝導する
C 脊髄視床路の最内側は頚髄路である
D 前皮質脊髄路は錐体で交叉せず同側の脊髄を下行する
E 前脊髄視床路は粗大な触覚を伝達する

解説)
まず薄束が正中側、楔状束がその外側 脊髄から見ると薄束の方が遠い
脊髄の感覚伝導は脊髄より近い側から頚髄→胸髄・・・と続くため、BCの選択肢はいずれも検討できる 薄束は脊髄より遠いと考えると下半身になる
その他の選択肢はその通り 前皮質脊髄路は20%で80%は外側皮質脊髄路  Ans.a

画像10

脊髄の機能に関して正しいものを2つ選べ
A前脊髄視床路は脊髄レベルで交叉しない
B 左Brown-Sequard症候群は左側の運動障害と位置覚振動覚障害を認める
C 右Brown-Sequard症候群は脊髄障害側レベル以下の右側の温痛覚障害を認める
D 前脊髄小脳路は位置覚を伝達する
E 前脊髄小脳路は振動覚を伝達する

解説)
まず正確に脊髄の断面図と通行路を記載して正しく選択肢を選ばないといけない、という意味で難問。
単純に脊髄レベルで交叉しないのは運動と位置覚振動覚であり、BS症候群では脊髄障害側の障害になる。温痛覚は障害レベルでは同側、障害レベル以下では対側になる。
前脊髄小脳路は振動覚を伝導しないが、位置覚や触圧覚を伝導する
小脳は平衡感覚=位置ということで前脊髄小脳路の位置覚を覚える。なお前脊髄小脳路はクロスは脊髄レベルと延髄で2回するという、超マニアック。脊髄クロスしないのは感覚では後索-内側毛帯系のみ(これだけは是が非でも覚える)
前脊髄視床路は脊髄レベルで交叉し、粗大な触覚を伝達する(外側脊髄視床路と同じ動き)
<以下に3大感覚のシェーマ> 頭で分かっていても常に惑わせる難問の壁  Ans.bd

画像11

感覚の伝導路に関して誤っているものを選べ
a. 識別性触覚は後索によって伝達され、延髄で対側へ交叉する
b. 前脊髄視床路は脊髄レベルで交叉し、粗大な触覚を伝達する
c. 一次体性感覚は温痛覚よりも位置覚の方が障害されやすい
d. 二次体性感覚は片側の感覚刺激で両側が活動する
e. 体性感覚誘発電位(SEP)は外側脊髄視床路の機能を反映する

                                    
解説)クロスしないのは後索系だけ
識別性触覚/位置覚振動覚は、脊髄後根に入った後、後索を上行し延髄の薄束核(内)・楔状束核(外)でニューロンを換え、反対側に渡り内側毛帯を通って、視床でまたニューロンを換えた後、内包を通って大脳皮質感覚野に届く。体性感覚誘発電位(SEP)は後索・内側毛帯系の機能を反映する Ans.e

靭帯骨化症に関する記載で正しいものを2つ選べ
a. 後縦靭帯のK-lineはC2とC7の脊柱管前後径中点を引いた線である
b. K-line(+) 症例では後方除圧の成績が不良である
c. K-line(-) 症例では前方除圧の成績が不良である
d. 後方除圧におけるC5麻痺は後縦靭帯骨化症で多い傾向にある
e. 靭帯骨化症の分節型は連続型よりも予後が良い

【解説】財団セミナー 金景成 脊髄+SANS 2018-Q47             
注意! K-lineは(+)が中点超えないもの、(-)が超えるもの
よって後方除圧の効果が成績悪いのはK-line(-)症例 Cf. SANS 2018-Q47
一方で、前方除圧は成績変わりなし
C5麻痺:頚椎症 5%程度 VS OPLL 8%程度 ややOPLLに多い
C5麻痺は後方固定術後2-7日に発症することも併せて覚えるべし
Eの選択肢、分節型症例は狭窄部における動きがあり、連続型より脊髄症を発症しやすい Ans.ad

画像14

腰椎すべり症の選択肢で正しいものを2つ選べ。
a. 腰椎分離すべり症はL3/L4腰椎椎間で頻度が高い
b. 分離すべり症での分離部固定術は不安定性が大きい場合に適応になる
c. 腰椎変性すべり症では馬尾障害を来す場合がある
d. 腰椎分離すべり症では馬尾障害は通常みられない
e. 腰椎変性すべり症における椎間板狭小や骨棘はすべり症進行のリスクである

【解説】p.90-93 K15-16すべて(脊髄専門医試験問題集)
腰椎分離すべり症:L5/S1に好発 分離症自体は男性に多い=スポーツと覚える
分離すべり症での分離部固定術は若年の偽関節など比較的安定したもので保存抵抗例
不安定性があるものは前方固定、後方固定など
腰椎分離すべり症では脊柱管径が保たれるため馬尾障害が出ない
椎間孔部での神経根症状

腰椎変性すべり症:L4/L5に好発 女性に多い(分離症と相反する)
椎間板狭小や骨棘は再安定化に関与
すべり症の進行=症状の進行を意味しない
馬尾障害の出現あり  ということでAns.cd

胸椎椎間板ヘルニアの選択肢で誤っているものを1つ選べ
a. 上位/中位の障害では肋間神経痛と判断されることが多い
b. ヘルニアの脱出は9割程度正中ないし傍正中である
c. 半数以上、T8以下に生じ、Th11-12が好発部位である
d. 単純X線では椎間板の石灰化を認める
e. 70歳代以上に好発する


【解説】p.87-88 K12すべて(脊髄専門医試験問題集)
70歳以下はまれ 40-60代がpeak                   そもそも胸椎椎間板ヘルニアは頻度少ない
後弯が生理的に存在するため後方除圧単独は危険 固定術も併用
あるいは開胸椎間板切除、肋横突起切除になる Ans.e


Q1. 馬尾症状を呈さないものを1つ選べ。
Q2. 馬尾症候群を呈すもので最も多い原因を以下より1つ選べ。

a. 腰椎分離症
b. 馬尾腫瘍
c. 腰部脊柱管狭窄症
d. 腰椎変性すべり症
e. 腰椎椎間板ヘルニア

【解説】Q1:B62-2017
馬尾神経はL2以下の脊髄神経から構成され、この圧迫により馬尾症状を呈する。主な症状は、臀部感覚鈍麻、腰背部痛、坐骨神経痛、排尿・排便障害、勃起不全などである。
馬尾症候群(Cauda Equina Syndrome)の原因としては、腰椎椎間板ヘルニア(45%)、腫瘍(29%)、感染(28%)、脊柱管狭窄(21%)、血腫(20%)、炎症性疾患(12%)、血管奇形(11%)などが挙げられる。
分離症がすべり症に進展した場合は起こり得る(稀) 以下は分離症のCT。 Ans. 1a/2e

以下のA-Cにおける画像を認める疾患に関しては誤っているものを選べ

画像15

a. 男性に多い
b. 前屈位で症状が増悪する
c. 黄色靭帯の肥厚を認める
d. 頸椎Xpではstraight neckを認めることが多い
e. 屈曲時に頚髄が前方移動し著明に扁平化する

【解説】B56-2017改 cf K1-5(脊髄専門医試験問題集)
診断:平山病 若年性一側上肢筋萎縮症ともよばれる。10歳代と20歳代前半、主に15~17歳の思春期に発症し、圧倒的に男性に多い(女性は数%)。病態機序として、頸部前屈時に硬膜後壁が前方に変位することにより、頸髄が頸椎後部で圧迫されておこる反復性の圧迫性循環障害による前角細胞の壊死性病変(cervical flexion myelopathy)に起因するものと推定されている。硬膜外スペースが二次的に改題。(黄色靭帯は無関係。よってAns.c)
筋萎縮は母指球筋、小指球筋、骨間筋(掌側、背側)に生ずるが、一様ではなく強弱があり、一側優位の手と前腕筋に筋力低下・筋萎縮をきたす。小指外転筋が母指球筋と比較してより高度に障害されることが多く、筋萎縮の分布は尺骨神経麻痺に類似する。筋力低下・筋萎縮の多くは一側性で(70%)、経過とともに両側性になっても一側優位は保持される

平山病、以下どれが正しいか2つ選べ
A 家族発生 B 温痛覚麻痺 C 斜性萎縮 D 感覚障害 E 進行停止

【解説】B55-2017
萎縮部と健常部の境が前腕を肘から前腕橈骨縁の遠位1/3付近へ向かって斜めに走る、特異な斜め型筋萎縮(oblique amyotrophy)を呈する。発症から進行停止までの期間は3年以内が70%、6年以内が90%であり、生命予後は良好である。Ans.ce

Cf 平山病、以下どれが正しいか2つ選べ
A 右側に多い B 脊髄虚血 C 横隔神経麻痺 D 上肢感覚障害 E 腱反射異常

Ans.ab

画像16

平山病に関して誤っているものを選べ
A. 筋力低下・筋萎縮の多くは一側性で右に多い
B. 筋萎縮の分布は正中神経麻痺に類似する
C. 上腕二頭筋を含めて上腕の筋群は原則侵されない
D. 腱反射は正常範囲内である
E. 進行期では下部頸髄硬膜管後壁の前方移動および硬膜管の狭小化をみる

 
解説)
B57-2018の解説のkey wordを拾い上げた Ans.b
・基本的には尺骨神経障害に類似し、前腕部尺側~手のみの萎縮を認める。
尺側の手・前腕筋の萎縮に対して前腕橈側の腕橈骨筋や橈側手根伸筋は保たれるため、萎縮部と健常部の境が前腕を肘から前腕橈骨縁の遠位1/3付近へ向かって斜めに走る、特異な斜め型筋萎縮(oblique amyotrophy)を呈する
・3年程度で症状増悪が停止する。
・増悪停止後10年から30年を経て脱力の再増悪と、感覚障害や下肢錘体路障害を認めることがある。感覚障害と錐体路症状(腱反射など)は初発時や増悪停止期には認められない。

20歳男性 手骨間筋萎縮と握力の低下を認める。
以下の画像の通り(A:通常、B:屈曲時)選択肢で誤っているものを選べ

画像23

A. 屈曲時に硬膜外腔の拡大を認める
B. X線ではstraight neckを認めることが多い
C. 屈曲時に脊髄が前方に偏位し扁平化する
D. 性差は見られない
E. 硬膜形成術を行う事で病状の進行が食い止められる

 
解説)
診断;平山病                            10-20代に好発する一側性上肢筋萎縮症 圧倒的に男性に多い Ans.d

誤っている組み合わせはどれか選べ

画像17

A. 1:tectorial ligament                                                                                      B. 2:dentate ligament                                                                                    C. 3:alar ligament
D. 4:cruciate ligament (Transverse ligament)                                                E. 5:posterior longitudinal ligament

【解説】以下の通り 2に該当するのは(緑)のApical ligament(歯尖靱帯)  Ans.b

画像18

62歳女性、数か月前から下肢の違和感を自覚し、来院。
MRI結果は以下のようであった。考えられる所見を1つ選択せよ。

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A. 下肢筋萎縮
B. 間欠性跛行
C. 膝蓋腱反射低下
D. Babinski反射陽性
E. 肛門周囲の感覚低下


【解説】B53-2017 
conus medullaris syndrome 円錐部症候群を問うている問題
端的に言うと、円錐上部は筋力低下、円錐部はサドルバッグ、馬尾は痛み
円錐上部はTh12レベルで支配L4L5S1S2, 円錐部はL1レベルで支配はS3S4S5なので膝蓋腱反射(L4)もアキレス腱反射(S2)も円錐上部症でしか低下しない
脊髄排尿中枢はS2-4に存在するので場合によっては排尿障害を認めないがそれは豆知識   Ans.e

画像19

以下の選択肢で誤っているものを選べ
a. 脊髄円錐上部の障害では下肢の筋萎縮は強いが、疼痛は目立たない
b. 円錐部の障害では会陰部の感覚低下 (saddle anesthesia) を認める
c. 円錐部の障害では排尿障害・下肢運動障害を認める
d. 馬尾症候群は椎間板ヘルニアによる神経根症状が最多である
e. 馬尾症候群は下肢痛や間欠性跛行を認める


解説)
円錐部障害に関して                         →障害される髄節:S3~coccygeal髄節(脊椎高位:L1)
運動:下肢筋への神経線維も前角も位置していないため、運動障害は通常認めません(周囲の神経根も障害される場合を除く)。排尿障害、陰部感覚異常がメイン。Ans.c

画像22

BKP(balloon kyphoplasty)の適応にならないものを選べ
A 不安定性の無いもの
B 原発性骨粗鬆症
C 腫瘍性圧迫骨折
D 後壁骨折を伴うもの
E 椎体偽関節を形成しているもの

                                     
解説)B80-2016改 BKPは頻出問題
BKPの効能または効果
1.原発性骨粗鬆症による1錐体の急性脊椎圧迫骨折で、十分な保存的加療によっても疼痛が改善されない症例
2.多発性骨髄腫または転移性骨腫瘍による3椎体までの有痛性脊椎圧迫骨折で既存療法に奏功しないと考えられる症例

適応禁忌:対象錐体後壁の骨折がCTで確認された場合。全身性感染症または骨折した錐体の局所感染症を有する場合。出血性素因を有する場合。 Ans.d

以下の術式の適応として最も適当なものはどれか

画像21

A 椎弓根骨折
B 破裂骨折
C 4椎体にわたる腫瘍性圧迫骨折
D 椎体後壁骨折
E 椎体偽関節

解説)先ほどの問題の通り  BKP(balloon kyphoplasty)の適応 Ans.e                           


C3-C6椎弓形成術後の経過で上肢の挙上が困難となった。
(1) 障害されている部位はどこか。

A. C2   B. C3   C. C4    D. C5    E. C6

(2) 以下の記述で正しいものを2つ選べ                 A. 術後2日ほど経過して出現することが多い
B. 発生頻度は50%ほどである
C. 前方アプローチに多い
D. OPLLではほかの疾患と比較し発生しやすい
E. 症状が永続的に続くことが多い

解説)(1)B42-2018改 (2)オリジナル
C5 palsty/C5麻痺 Ans,(1)d/(2)ad
頚椎術後(主に後方アプローチ後)2日~7日ほど経過してから生じ易いC5の障害による上肢筋力低下(三角筋や上腕二頭筋などの近位筋)。     三角筋はC5単一支配のため症状が出やすいともされる。         発生頻度としては5%ほどとされる。                  椎弓形成と比較して椎弓切除でより頻度が高い傾向。OPLLで高い傾向。
予防および治療の目的でステロイド投与を行われることが多いが、多くで症状は一過性で改善が見られる。

以下の画像所見を認める疾患に関して誤っているものを選べ

画像26

a. 出血による急激な症状の増悪を認めることがある
b. 自然消退することがある
c. 手術で摘出する場合は前方からのアプローチが通常選択される
d. 腫瘤の壁のMRI造影を認める
e. すべり症を合併することがある


解説)B35-2018類 
診断:synovial cyst (椎間関節嚢腫)  類題はB35-2018
Key word;−特徴:中高年男性、L4/5レベル 後方外側
すべり症、椎間関節の変性あり無症状~根性疼痛(急性は嚢胞内出血)−  画像:
MRI T1 low, T2 high(ヘモジデリン+)、造影剤で壁造影
自然消退、CT/MRIガイド下嚢胞穿刺吸引、後方除圧術+嚢胞摘出 Ans.c

頸髄損傷に関して誤っているものを選べ

a. 頸椎のfacet interlockingは頸椎過伸展損傷により起こり、前方からの整復を要する
b. C5以下の損傷では横隔膜呼吸を認め、肋間筋麻痺があるため、奇異性呼吸を呈する
c. 副交感神経支配有意であるため徐脈・血圧低下を認める
d. 急性期には下肢腱反射は消失している
e. 仙髄回避がある場合、ない場合と比較し10倍程度慢性期に歩行機能を得ることが期待できる

                                    
解説)
頸椎のfacet interlockingは頸椎過屈曲損傷により起こり、後方からの整復を要する  Ans.a
急性期は脊髄ショックで下肢の腱反射は消失する
交感神経遮断はTh4-5以上の高位損傷で発生する
歩行機能の獲得:仙髄回避Sacral sparingがある場合64% 、ない場合6.4%位
Sacral sparing
有 :仙髄節(肛門周囲)の運動 and/or 感覚が残存していること
無 :仙髄節(肛門周囲)の運動 and 感覚の両方が残存していない
Sacral sparingが有るとき、不全損傷と定義する。
Sacral sparingが無いとき、完全損傷と定義する。

脊髄梗塞について正しいものを2つ選べ
a. 高齢者に多い
b. 動脈閉塞は特発性が最も多い
c. 突然の病変高位の疼痛で生じる
d. T10-12に好発
e. 前脊髄動脈症候群と後脊髄動脈症候群の頻度は同じ

                                    
解説)B49-2019                            cf 脊髄外科専門医問題集K10-4 後脊髄動脈症候群:SANS 2020 Q.3
脊髄梗塞は痛い。                         (病変高位)胸髄に多く(Adam A.の関係)、頚髄に少ない
若年者に多い。45%は大動脈手術関連、21%が特発性。側副血行の関係上、前脊髄動脈症候群>>>後脊髄動脈症候群 Ans.cd

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