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自己紹介(横浜翠嵐高校定時制の存続を求める会の結成集会でのアピールから)

202210月25日、神奈川県教育委員会(以下、県教委)は夜間定時制高校6校募集停止を決定しました。私たちは、とりわけ横浜翠嵐高校定時制課程(以下、翠嵐定時制)募集停止を決定したことに対し、本日12月11日、ここかながわ県民センター、およびオンライン上で集会を持ちました。卒業生、元教員、支援者、学識経験者、市民、そして全国でこの報に接した人びとは県教委の決定に「翠嵐定時制を存続してほしい」という声をあげています。

1.夜間定時制はとても大切な学びの場です

夜間定時制高校には、働きながら通う生徒、義務教育段階で不登校だった生徒、障がいを持った生徒、日本語を母語としない生徒、高校入学の学齢を過ぎた生徒、「学び直し」のための生徒など、さまざまな背景を持ち、個別の対応や支援を必要とする生徒が多く通っており、「教育のセイフティネット」となっています。

2.横浜翠嵐高校定時制で積み上げてきた取り組みは貴重です

翠嵐定時制は、今年度の入学生は30数名、全校生徒も100名以上です。県教委は「適正配置」を言いますが、夜間定時制高校の中では、規模も大きく、通学範囲も広い地域にわたっています。これまで様々な事情、背景をもった生徒を数多く受け入れて「セイフティネット」としての役割を果たしてきました。
特に、在日外国人の多く住む中区や南区に近いこともあり、来日間もない生徒、生活のため働きながら学ぶ必要のある生徒など、外国につながる生徒が多数学んでいます。翠嵐定時制は日本語を母語とする生徒と日本語を母語としない生徒がともに学ぶ、多文化共生教育の大切な場となっています。
翠嵐定時制では各教科の個別対応授業だけでなく、日本語授業を充実させてきたほか、教育課程に母語保障のための「中国語母語」といった授業も位置付けて生徒の学びを保障してきました。
また、外国につながる生徒とその家族だけではなく、さまざまな生徒が抱える生活の課題に向き合い解決していくために、学校外の支援者、支援団体とも連携し、幅広い支援に取り組んできました。
こうした、外国につながる生徒をはじめとする多様な生徒の支援を積み重ねてきた実績は、県内のみならず全国の学校関係者、外国人教育・多文化共生教育の研究者からも高い評価を受けてきました。

3.県教委はなぜ翠嵐定時制を募集停止するのでしょうか?

県教委は校舎の老朽化、交通の利便性、全日制との重なりの`3点をあげています。しかし、これらは到底納得できるものではありません。
「老朽化」は同じ施設を使っている全日制にも該当するはずです。なぜ定時制だけが問題となるのでしょう。また、この間進めてきた大規模な耐震工事とはいったい何だったのでしょうか。
交通の利便性について、神奈川工業高校と比較して最寄り駅からの距離のみを県は強調しています。しかし生徒の状況によっては横浜翠嵐高校の方が通いやすい場合もあります。また、「老朽化」と同様に、定時制のみ募集停止にする理由にはなりません。
全日制との重なりが理由なら、ほとんどの全日制・定時制併置校の定時制課程は廃止しなければならなくなります。不可解です。
県教委は、定時制を募集停止しなければならないほど横浜翠嵐高校に存在する課題とは何なのかこそ具体的に明らかにすべきです。
県教委は横浜翠嵐高校関係者にヒヤリングしたのでしょうか。パブリックコメントを求め県民の理解を深める努力をしたのでしょうか。

横浜翠嵐高校定時制での取り組みを継承すべき

翠嵐定時制で取り組んできた外国につながる生徒支援は、約20年の長きにわたって蓄積されてきたものであって、全く別の学校で一から簡単に引き継げるとは思えません。それより、翠嵐定時制で積み上げてきた取り組みをより充実発展させることの方が、神奈川の教育全体にとってプラスになります。
県教委の計画がこのまま実行されるならば、2026年度から翠嵐定時制は新入生がいなくなります。学年・クラスが毎年減っていく中で、課外活動や生徒会、学校行事などはどうなるのでしょうか。もちろん、教員の数も減らされるでしょう。そんな中では外国から来た生徒だけではなく、生徒全体への対応が手薄になっていくのは火を見るより明らかです。
改めて言います。今回の決定の内容もかかげる理由もあまりにも理不尽です。

私たちは、以上のような趣旨から、「横浜翠嵐高校定時制の存続を求める会」を結成します。そして、横浜翠嵐高校定時制課程の募集停止を阻止する運動を広く展開していきます。

2022年12月11日 横浜翠嵐高校定時制の存続を求める会結成集会参加者一同


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