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海外事例研究 | スウェーデン 電動キックボード、マイクロモビリティの未来の一端を担う安全なまちづくり


はじめに

GEOTRAの伊藤です。

日本では、2023年7月の法改正で、16歳以上が運転免許無しで、電動キックボードに乗ることが可能になりました。電動キックボードの利便性が高まった一方で、事故や違反の増加など、その安全性が不安視されています。

本記事では、電動キックボードの導入が進む北欧のスウェーデンにおける、電動キックボードの安全性を高める取り組みについて、ご紹介します。

背景

スウェーデン政府は、温暖化対策の一環で、マイクロモビリティの利用を推進するため、2018年に電動キックボードの使用の規制緩和を行いました。
これに伴い、電動キックボードは、公共交通手段の一つとして、普及してきました。
規制緩和以降、その安全性を高めるために、厳しい駐輪制限や、歩道走行の禁止等の法改正が行われてきました。

一方で、電動キックボードのシェアサービスを行う会社は、走行禁止区域での自動速度制限や、安全な使用方法を市民に伝える活動を、積極的に行ってきました。

その影響もあり、スウェーデンでは、電動キックボードの走行1kmあたりの事故件数の割合の減少が確認されています。

Voi社による、データを活用した電動キックボードの安全性を高める取り組み

北欧を中心に、電動キックボードのシェアサービスを展開するスウェーデンのVoi社は、人流データや道路情報を活用して、電動キックボードの安全性を高める取り組みを行っています。

Voi社は、2030年までに、電動キックボードを原因とする死亡・重大事故数をゼロにすることを目標に掲げ、電動キックボードを、安全に使用できる環境の提供に努めています。

図1が示すように、Voi社は、電動キックボード利用者に関する情報や、自社のキックボードのセンサーのデータ収集に加え、保険会社、公共機関と連携して様々なデータを収集し、これらのデータを、AIを用いたテクノロジーを活用して、体系的に分析しています。

図1:Voi社のデータ収集のイメージ図
出典:Making streets safer together with cities. Voi.より

その上で、分析結果をもとに、図2のように交通事故が発生した危険箇所を可視化した地図を作成しています。

図2:サービスを展開するノルウェー、オスロ市の電動キックボード関連の交通事故の原因の分析
出典:Making streets safer together with cities. Voi.より

Voi社が提供する、図3の電動キックボードのアプリ内のナビゲーション機能では、出発地から目的地までの①交通量が多い道路を通らず、②駐輪場にアクセスしやすく、③乗車禁止区域を避けた、最適かつ安全なルートを表示しています。

図3:Voi社が提供するナビゲーションサービスのイメージ図
出典:Making streets safer together with cities. Voi.より

更に、Voi社は、サービスを展開するノルウェー、オスロ市で、電動キックボードの利用データや、携帯のGPS位置情報から得られる人流データを分析して、図4のように、電動キックボードの歩道走行量が多く、危険な場所を特定し、可視化しています。

このデータは、
1 .交通インフラの修繕(道路のくぼみの修繕、歩道幅の拡張やガードレールの設置等)の優先順位の決定
2 .電動キックボードの制限速度の低下の検討
などに活用されます。

図4:ノルウェー、オスロ市での歩道を走行する電動キックボード数
出典:Making streets safer together with cities. Voi.より

最後に

ここまでご覧いただきありがとうございました。

本記事では、スウェーデン、Voi社のデータを活用した電動キックボードの安全走行を促進する取り組みについて、ご紹介しました。

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