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表現再考:土潤溽暑(つち うるおいて あつし)


 土潤溽暑は、つちうるおいてあつしと読んで、雨で大地に染み込んだ水分が、梅雨明けの青天の日差しに照らされて、大気に発散されて、蒸し蒸しとして暑い様を表現した言葉のようです。

 今年は、梅雨明けが早かったのですが、通常ならば、この大暑の次候のこの頃が梅雨明けの時期のようです。

 とはいえ、まさに、この言葉に応じるような蒸し蒸しとした暑さが続く今日、この頃です。

 陽炎は、まだ、体験ありますが、蜃気楼というのを、みたことはありません。気が晴れないような暑さの中では、さまざまな幻が見えるかもしれません。

 熱気と欲望の中で思い浮かべるのは、秀吉の辞世の「露と落ち 露と消えにし我が身かな 浪速のことは 夢のまた夢」。
 権力者であっても、その儚さをおもいますが、それでも、さまざまな思いを抱えながら語り伝えたい言葉を残せなかったひとびとに比べれば、辞世が話題になるだけ、ひとに良きも悪きも力を奮った証左でもあります。

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