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インディアンさんは嘘つかない

今日は2学期末の灸の実技試験。

ー半米粒大【はんべいりゅうだい】サイズのお灸をチネチネして、
ーお線香で火を点ける
ってのを
ー3分間で
ー10壮やりなさい。
ってお題。

授業では2分で出来るように。
と言われてやってきてますから、
普通は余裕。
なんですけど、
ワタシの視覚の問題がここに入ってくると
米粒【こめつぶ】の半分のサイズのお灸に火を点ける。
ってのが、なかなか厄介なわけです。

そもそも朝ごはんのお茶碗に残った米粒を一個一個箸で摘むってのが、
厄介なってるわけでして、
その米粒の半分のサイズの三角錐【さんかくすい】にチネったお灸の頂上と、
火の点いた線香の先っちょとを
チュってフレンチキスみたいな。

どうも気持ち悪い表現なっちゃいましたけど、
チュって感じで上手く山頂に火を移すと
ものの0.5秒くらいで三角錐の艾【もぐさ】のお山が
焼け尽くされて灰になるわけです。

灸療法というのは、
一般的なイメージだと鬼の角【つの】くらいのやつを据えるって感じですけど、
鬼の赤ちゃんに生えてるくらいの小さな柔らかい角って感じで、
お米の半分くらいのお山を
人のカラダの上に乗っけるってもので、
そのお山がデカかったりカタかったりだと、
「アッチーー!!」
ってなっちゃうんです。
わざと、
「アッチーー!!」
で治療するって方法論もあるんですけど、
学校で身につけなきゃいけない基本的な技術は、
小さくふんわりとしたお山をチネって
じんわりと
「あったけーー。」
ってお灸が出来るようになりなさい。
というものなんです。

で、その試験。
ちょっと心配なわけです。
(3分で10壮)
(ん、練習もしてきたし、大丈夫。)
(大丈夫??)
(ほんとに??)
(試験なったら焦るよ。緊張するよ。)
(大丈夫??)
(や、、ん、、はい、、)
(大丈夫)
くらいな感じで今朝学校にやってきて、
9時半のチャイムの後に出席確認があって、
出席番号20番のワタナベさんは大トリ。
9時半スタートで11時に終わる1限でいえば、
呼ばれるのは10時45分頃。
ま、1時間くらいは準備とかに余裕があるわけです。
その間に白衣に着替えて、
試験前の艾をヨジヨジしたり、
ちょっと練習もしとかなきゃな。
くらいの気持ちの準備をしている
真面目なワタナベさん。

だったのですが、
先生の口から、
9時30分に発せられたのは、
「えー、今日は後ろからだったよね。」
「番号20番から19.18番の人まで9時40分までに実技室に。」
って。

ワタシ、
一度だけ、とんでもない寝坊をしたことがあるんですけど、
名古屋に宿泊して、翌日は東京で10時のアポイント。
ま、7時過ぎの新幹線に乗って現地近くで部下と合流してコーヒーでも飲んで、
そのアポイントの準備するか。
くらいの予定です。
前の日に朝方まで飲んでたのは飲んでたのですけど、
アラームを入れたし、
今まで遅刻なんかしたことないワタシ。

名古屋でふと目が覚めて、
時計を見ると、
9時30分。

(んー、9時半かー。)
(9時半ね。)
(9時半ってなんだっけ?)
(ん?夜?)
(なに?)
(どこ?)
(オレ、だれ?)
(10時に、、東京???)
(オレ。名古屋じゃん。)
(、、、、)
(ヘリ??)
(ヘリ来る?)
(呼べる???)
(来ても、、間に合わねーじゃん。。)

ってので、
1分くらい布団に全身くるまってから、
ごめんなさいの電話をアチコチにしたんですけど。。

なんか、
それを思い出したんです。

(え?)
(オレから??)
(白衣着替えてねーし。)
(ヨジヨジは?)
(練習は??)
なんて思いながら、
名古屋ん時と違うのは布団にはくるまんない。
先生の話を聞きながら、
白衣に着替えはじめて
名札つけて、
艾をヨジヨジでヨジヨジして、
フェイスシールドつけて、
練習だけは抜けちゃってますけど、
1時間でやろうと思ってたのを5分で準備。

結果なんですけど、、
3分のアラームが鳴る寸前で、
10壮目の山頂に
チュ
って線香の火が移って
0.5秒で燃え尽きて。
お題を完遂。

ふと我に帰ると、
フェイスシールドの額んところが汗でビチョって。
「ピッタリでしたね。」
って微笑んで声をかけてくれた先生の言葉は
篭ってた熱が全身から発散される水風呂みたいな爽快感で、
(やー、終わったわ。。)
って肩やらなんやら色々を撫で下ろしちゃって。

お灸は練習してたんですよね。
チュってやつ。
苦手なやつ。
なんか、練習は嘘つかねーな。
って。
ベタなんですけどね。
感じました。

思い返せば、
名古屋のホテルで布団にくるまってる1分間。
いろんな嘘を考えてはシュミレーションしたんですよね。
お客さんはもちろんなんですけど、
東京で合流して同行するはずだった部下なんかには、
みっともなくてしょうがなくて、
嘘で隠しちゃいたいとかって脳みそクネクネさせるんですけど、
どんな作り話もダサダサでダメダメで、
結局、全部本当のことを話すしかねーなってことで、
謝って。

インディアンさんって嘘つかないみたいじゃないですか。
で、寝坊とか遅刻ってやつも嘘つかない方が良いっぽいですよね。
で、練習ってのも嘘つかないっぽい。
インディアンさんが本当に嘘つかないのかは知らないんですけど、
練習さんが嘘つかないのは今日久々に体感した感じで、
水風呂の後の外気浴の風が気持ち良い。
そんな昼です。


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