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『いつも誰かのきっかけに』 中山宇蘭

今から書くことは、今、一生懸命自分と向き合っている人にとって嫌な思いさせてしまうかもしれません。
だから、こういう考えもあるんだなあって、そのくらいの気持ちで読んでください。
でも、「頑張りたい」と思っている誰かが、動き出せるきっかけになることができたら嬉しいです!

はじめまして。東京学芸大学女子ラクロス部MGの中山宇蘭です。

学芸大学は9月30日まで、部活動が禁止されています。
活動再開が、公式戦への出場に間に合うかどうか、活動が認められても選手のコンディションを考えてリーグに参加できるか、今はまだ見えないことばかりです。
今、同期やチームメイトと今年のチームのゴールをどうすればいいか、たくさん話し合っています。

全力を向けてきた部活生活の4年目。
思い通りに活動できない最後の1年。

  

私はすごく不器用で、何かを出来るようになるためには人より少し時間が掛かります。
だから、せめてその分、頑張っている人の気持ちも、頑張りたいけど頑張れない人の気持ちも分かる人であれたらと思います。悩みを相談してもらったり、チームの状況に不安を感じると、自分にはどんなことができるか考えすぎて眠れなくなることもあります(笑)

それでも、この期間、私はなぜか常に前を向けています。
時には前ばかり見る自分が、みんなの気持ちを無視していないか心配になることもあります。こういう自分が嫌になることもあります。
私はこの大学生活の4年間で、今この状況の中でも前を向くことができる材料に本当に本当にたくさん出会うことができたんだなと、この期間に感じることができました。

日本代表の活動に関わったり、
関東ユースのMGをさせてもらったり、
チーム幹部を任せてもらえたり、
SGリーダーの学生代表をやらせてもらったり、

名前だけ並べてみたら、私の度量には合ってないものばかりで、
やっている時も「うまくいった!」と言い切れることはなくて、
思い返せば毎日何かの役職のことを考えて不安ばかりです(笑)

だから、「無理しないでね」なんて言葉を周りの人からたくさん言われてしまったけれど、
たくさん無理をしたから出会えたものもたくさんありました。
無理をしたって、大変だって、それが誰かのがんばるきっかけになった時、私はすごく嬉しいです。

私には大学3年生まで関わらせていただいた、女子19歳以下の日本代表の活動が終わったときから大切にしている想いがあります。それは、いつも自分の行動が誰かにとって何かの「きっかけになれるように」意識することです。

いつもなら、「うまくいかなかったなあ」という落ち込んだ気持ちだけで終わってしまいますが、
大学3年生までの間にやってきたチームや外部活動を経験して、
私の経験したこと「聞きたい」と言ってくれる人がいて、
自分の夢を話してくれる人もいて、
挑戦したくても踏み出せない人がいることに気が付きました。
それをきっかけに、私は、自分の今までの経験を、自分のためだけにしないで、
常に発信しなければいけないと思いました。
だから、この期間、私がすべきことを考えて軸がぶれることなく過ごすことができたんだと思います。

こういう気持ちに辿り着くまで、本当にたくさんの人に助けてもらいました。

部活以外の友達や、家族とは一緒に過ごす時間も少ないし、迷惑をかけてしまっているなと思うこともあります。
そんな時に、家族が、
「うらんがやりたいことを思い切りやることが家族のみんなは嬉しいんだよ」
と言ってくれたことがあります。

私が、大好きなこの部にいて、一生懸命にやっていることが、誰かにとって一番応援したくなることなんだって思いました。

発信するのはすごく怖いし、反応が返ってこない時はこんなこと意味があるのかなあと思ってしまうこともあります。 

この期間、たくさんのミーティングを重ねてきましたが、
リーダーとして、チームや学年のミーティングの内容を考えるとき、チームの色々な場面でミーティングの仕切りをしたり、みんなの前で話すとき、
みんなの顔を見ると、きっといろんな思いがあるんだろうなと考えます。
うまく伝わらなかったり、みんなの言葉を受け止められなかったりすると、
ミーティングが終わって、パソコンを切った瞬間、何時間も涙が止まらなくなることもたくさんありました。

でも、一回の発信だけで伝わったかどうか決めてはいけません。
何度も何度もトライして、発信を続けて、やっと届く想いもあると思うんです。
誰かの「頑張りたい」っていう気持ちの歯車と、自分の「伝わってほしい」という思いが上手く噛み合うタイミングがきっとあります。
発信を続けていれば、私を見たとき何か行動を起こすヒントになるかもしれない。
そのために私は落ち込んでいても、立ち止まってはいられません。
活動が制限されている状況で落ち込んでいないわけはないです。だけど、落ち込んでいたってその時にしか思いつかないようなアイデアがあります。
思い立ったらすぐ行動。失敗なんてないんだから

そのぐらい一生懸命にならないと、
これまで迷惑を掛けたり、応援してくれたり、相談に乗ってくれたり、叱ってくれた人に恩返しができないと思うんです。

「誰かの支えになりたい」という大それた目標ではなくて、
誰かの「ほんの少しのきっかけ」に、
立ち上がるための手すりに、寄りかかるための壁になれたらいいなって思います。
そこから進んで行けることができるようなきっかけになれたらいいなと思っています。

私にとっては、少しくらい無理をしないと「やってよかった」って思える景色には出会えないと思うんです。
無理をしたって、そこには支えてくれる仲間がいます。
考えたり、人と話したり、誰かと一緒に悩む時間はとっても好きです。

このKEEP THE FIRE BURNINGのプロジェクトのメンバーと出会えたのも、4年間やってきたことがつなぎ合わせてくれた縁です。このプロジェクトを全国規模に広げられたのも、この4年間でできたつながりのおかげです。 
 

このプロジェクトに誘われた4月は、本当は話だけ聞いて断ろうと思いました。
今こんなにも忙しいのにこれ以上増えたらやっていけない、またみんなに「大丈夫?」って心配されないかなって思いました。
でも、その時のチームの雰囲気を見て、何かアクションしないといけないと悩んでいた時期でした。
自分を必要としてくれるところに行くのはすごく嬉しかったです。
このプロジェクトも私をこの期間前向きにしてくれたことの一つです。

でも一番やってよかったと思えたのは、
このプロジェクトのおかげで、4年生だけではなくて、色んな地域の後輩やスタッフの声を発信する場にできたことです。
記事を書いてくれた子から、「自分にもこんな影響力があるって気づけて良かったです」と言ってもらえて、
スタッフの友達や、チームメイトから「モチベーションになった」という声ももらえて、
全ての人の心に響くなんてことは難しいけれど、少なくともほんの少しの人の力にでもなれたのだとしたら、それはなによりも嬉しいことだなって、それがまた私のエネルギーにもなりました。

 

今年の20チームが始動するとき、私がチーム幹部として、4年生として、自分の中で掲げていた目標があります。それは、「みんなが胸を張れるチームに」すること。
この状況下でそれを実感するのは難しく感じていました。
 

でも、つい最近、後輩と電話をしたときに本当にうれしいことがありました。
その後輩は、入部当初は部員の前で自己紹介するとき、泣いてしまうほど人前に立つことが苦手な子でした。でも、今は「人から応援されることが好きになった」「チームのことが好きになった」と言ってくれました。

この後輩はもちろん、本当に本当に本当にすごいです。自分でここまで成長してきたんです。
でも、この後輩にこういう風に思わせたチームメイトの影響力も本当にすごいです。

誰かが誰かに、必ず影響を与えてます。自分から見えなくても、絶対誰かの力になっている。
あなたが自分では確信を持てなくても、私は信じます。あなたは必ず誰かの力になっています。

ただ諦めるのと、目を背けるのは違います。諦められるのはそこまであらゆる手を尽くして頑張ったときです。目を背けるのはそこまで自分がやろうと思っていたことを頑張りきれなかったときです。
どちらも正解なんてありません。全ては自分が納得できる選択かどうかです。続けることも、諦めることも、目を背けることも、たくさんのエネルギーが必要です。
大事なのは「正しい選択」よりも、その時の全力をいつも尽くしているかです。全力を尽くしてからの後悔は必ず次につながります。一番いけないのは後悔だけで終わること。

最後に、今私が1番大事に思っていることを話します。
こんな先行きが見えない状況だから、同期の中には「早く引退したい」、なんて言う人もいます。
「うらんはキラキラしてて辛さなんて見えなくてすごいね」、なんて言われてしまいました。
それが少し悲しくて、「どうして自分だけ突っ走っているんだろう。どうしてみんなの気持ちを分かってあげられないんだろう。」って、自分の気持ちばかり考えてしまいました。

今、私が頑張れるために持っているたくさんの材料は、私が「やりたい」と思っていることをやらせてくれたチームメイトや同期のおかげに他なりません。
だから、今のこの気持ちの違いは、すれ違いではなくて、
応援したり、叱ってくれた同期に、今度は自分が寄り添う番なのかもしれません。

もしかしたら、この先同期とチームの方針を話し合って、決断していくうえで、
今自分が成し遂げたいことを諦めることも必要になるかもしれません。
でもその時、ちゃんと、自分は「みんなと一緒に」ベストを尽くしたと笑顔で終われるように、前に進んで行きます。
「諦める」ことは嫌いだったけど、「諦める」の本当の意味をわかった私はまた少し違ったゴールをチームのために考えられるような気もします。

学芸は逆境に強い。
乗り越えられるからある試練です。これを乗り越えたらまた「ずっと強い学芸」に繋がるんだ。絶対そうだ。
この状況下で、ずっと頑張り続けてくれるチームメイトに感謝しながら、私も自分の立場からできることを最後まで頑張ります。

2020年を無かった年とは言わせない

この状況が大変なのは、みんながきっと同じです。
でも、「大変だ」と思う理由はきっとそれぞれ違います。
自分が困った時ほど、ほんの少し周りを見渡して、誰かの気持ちにも寄り添ってください。
チームメイトやコーチの皆さん、ラクロスで繋がった仲間や、リーグの昇格制度がないことや無観客試合であることを知ったOGさん、家族の顔を浮かべると、この状況でどんな言葉を掛けていいのか言葉に詰まります。

すべてのチームのリーダーに「本当によく頑張っていますね」と伝えたいし、学年や立場も関係なく、全ての人に自分と向き合った期間に自信を持ってほしいです。落ち込むのも、前を向くのもどちらも大切なことだから。

迷ったとき、みなさんの答えを出すためのきっかけになれるように、私はいつでも力になります。
でも、それができるのは、仲間の頑張りがいつも私の原動力になってくれているからです。

一生懸命になれることがあるのは本当に幸せなことです。
私にたくさんのきっかけをくれたラクロスに恩返しができるように、できることを少しずつ頑張ります!

最後まで読んでくださりありがとうございました。

東京学芸大学4年MG 中山宇蘭