アイドルをやっと送り出せた話

私は、VRアイドル「えのぐ」が好きです。

彼女たちは元々五人グループで、詳細は後述しますが、現在はメンバーが一人卒業し、四人で活動しています。

もちろん、今現在の「えのぐ」も大好きなのですが、心の何処かで、卒業してしまったメンバーの事を思わずにはいられなかったというのが本音です。

ただ、三ヶ月ほど前に行われた、「えのぐ」のワンマンライブを観て、ようやく私は卒業したメンバーを送り出せました。それをこれから書いていこうと思います。

2020年12月29日、「えのぐワンマンライブ2020 〜だからいま、ここにいる〜」が開催されました。このライブは二部制で、今までの「えのぐ」の活動をストーリー形式で追っていくような、そういうライブでした。

私は第二部から参加していました。第二部は、内容としては「結成一周年記念ライブ〜現在」といった感じでした。

簡単にこの時期の活動内容を整理すると、

・「えのぐ」メンバー五人のうち、二人が活動休止

・そんな中、残ったメンバー三人で一周年記念ライブを開催

・残ったメンバー三人で全国各地に行き、握手会などを開催

・休止していたメンバーのうちの一人、「夏目ハル」ちゃんが復帰するも、もう一人の「栗原桜子」ちゃんについては卒業が決定

・「えのぐ二周年記念ライブ」を開催

・「えのぐワンマンライブ2020次章」を開催

といった具合です(ところどころ雑にまとめてしまったので参考程度にしてください)。

特に重要なのは、やはり「栗原桜子」ちゃんの卒業です。当時は「えのぐ」メンバーもスタッフもファンもみんな気持ちの整理がなかなかつかなかったと思っています。

卒業が発表された後に開催された、二周年記念ライブでは、やはりそこについてメンバーの想いが語られていたわけですが、いかんせん直後であったため、私は冷静に聴くことが出来ませんでした。そしてその結果、「えのぐワンマンライブ2020 〜だからいま、ここにいる〜」を観るまでずっと、「栗原桜子」ちゃんの卒業を心の中で引きずり続ける事になりました。

今回のライブは先に述べた通り、ストーリー形式で、当然その辺りについても包み隠さずやっていたわけです。そこでまた各メンバーの想いを聴くことになりました。

どんな事を言っていたのか、正直よく覚えていません。「解散も考えた」とか、「五人じゃなきゃダメなのではないか」とか、そういった事をメンバーも考えていた事を改めて聴きました。

恐らく、記憶が曖昧なので確かではないのですが、同じような内容は二周年記念ライブでも語られているはずなのです。メンバーの口から。

でも、二周年記念ライブの時には、どこかわざとらしさを感じて聴けなかった言葉が、その時には、すっと胸に入って、受け止める事が出来たのです。

理由は定かではありません。落ち着いているからなのか、時間が経ったからなのか。ただ、私は、その言葉や想いを、「栗原桜子のいないえのぐ」として活動してきた後に語るからではないか、と考えています。

「栗原桜子」ちゃんが卒業して以降も、「えのぐ」はもちろん活動していました。記事に取り上げられる事もしばしばありました。しかし、その時紹介される「えのぐ」というのは、「メンバーが四人のえのぐ」なわけです。

もちろん、「メンバーが一人卒業した」、なんて事は一々書く必要ありません。むしろ書いた方が、全く知らない人には混乱させる可能性すらあると思います。だから、「書くべきでない」。

そこに少しですが、モヤモヤしていた私が居ました。「本当は五人だったのに」とか、「隠さなきゃいけないような事なのか」とか、そういう事を考えてしまいました。理解していても。

そうした期間を経た上で、改めて包み隠さず、「えのぐには栗原桜子というメンバーが居て、でも卒業しました」と、語られる事で、「メンバーやスタッフも隠したいわけじゃないんだ」と、ようやく理解出来たのです。

その瞬間にやっと、「栗原桜子が居た事を覚えていなきゃいけない」という、勝手に背負った責任感のようなものから解放されて、「もうそんな事を気にしているような時代ではないんだ」と気持ちを整理する事が出来ました。

それからのライブはもうとても楽しくて、ただ楽しい涙でぐちゃぐちゃになりながらサイリウムをオタクは振っていました。見苦しい姿を想像させてごめんなさい。でも、そうやって最後に楽しめたのは、「えのぐのメンバーが五人だった時期のライブ」だったので、とても嬉しかったです。

他のアイドルや芸能人を応援している人もそうです、いつか卒業だったり引退だったり、別れる日は来ます。

いくら引きずっても良いんです、許せなくても良いんです。ただ、どれだけ時間がかかっても良いから、自分の中で整理をつけてください。

やっぱり許せないならそれでも良いです(アンチにはなって欲しくないですが)。それでも応援する!って気持ちになったならそれで良いです。もういいや、ならそれでも良い。

卒業や引退した人の幻影を抱き続けるのは辛いです。辛くて悲しくてどうしても心から楽しめない部分が出てきます。だから、どうかそれだけはしないようにして欲しい。

忘れなくて良いんです。時々思い出してください。でも常日頃から、「あそこにはあの子がいたはずなのに」なんて考えるのは貴方も、応援される子も、辛いだけなのでやめましょう。それだけです。

本当に馬鹿でどうしようもないオタクでしたが、惰性でも応援し続けてこれて、ようやく心も晴れやかに彼女を送り出せて、良かったなと思っています。

最後に。卒業してから一年ですね。新しい生活には慣れましたか?楽しいですか?笑顔で明るく、希望を持って過ごせているなら、私はそれで満足です。貴方がこれからも健康で素敵な毎日を過ごせますように。

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