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恋愛観:序 フィクション

 恋愛観を語れるほど恋愛に一過言あるような人間ではないのですが、ないなりの恋愛観だってきっとあるはず……としばらく考えてみたものの、何を書こうか考えているうちに眠くなってくる始末。恋とは。愛とは。観とは。悩みながら恋愛してきたように、悩みながら恋愛観についてつづっていきます。

 どうしてこれだけ悩んだかというと、やはり初めて付き合った人のことを書かなければいけないからかもしれません。これは前回のつれづれつづりで「敢えて」「意識的に」誤魔化して書くことを避けた部分です。甘酸っぱい初めての彼氏とのあれやこれや……というのは全く無く、苦酸っぱい胃酸が上がってくるあれやこれやしかありません。
 それでも恋愛観を書くのであれば、あれは確かに礎です。喉を焼きながらお話しましょう。

 知り合ったのはもちろんインターネットです。何のサイトだったかは忘れました。少なくともお互いに個人サイトを持っており、その辺で交流をしていました。その後MSNメッセンジャー(今で言うところのLINEみたいなものです)でチャットをして何となく相手からの好意を感じ、こちらも好ましく思い浮かれていました。はっきりとは言わないけどお互い好き合っているというのはむず痒いけれどなんだか楽しい、素敵な時間です。
 その後告白的な事をされ、めでたく恋人へとなりました。当時17歳くらい。お相手は3つ上。こちらは東京。向こうは関西。軽々には会えない距離でした。それでも愛があれば! と燃えていたわけですが、なにぶん初めての相手だし、そもそも会ったことないしで今ひとつ実感のわかない、いわゆるフィクションのキャラクターに恋をしているみたいでした。それでも電話をしたり、チャットをしたり、メールをしたり、そういうささやかな繋がりの中で「恋愛対象として好ましく思われている」という体験に酔いしれていたものです。
 結局付き合った三年間の中で実際に会ったのは二回でした。たったの二回。それ、付き合ったって言うの? と聞かれてしまうかもしれません。本当に好きだったら何がなんでも会いに行くんじゃないの? とか。なんとでも言ってくれたらいい。認められたいわけではないので。

 決して良い彼氏だったわけではありません。気まぐれで、気分屋で、周りのことは全く見てなくて、口ばかり達者で。
 クリスマスに会えないのは仕方ないとしても、フリーのゲイとディナーに行きます? その行った写真をサイトにあげます? やましいことは何もないから?
 そういった些細ではないことは積み重ねられていきました。僕の気持ちなどお構いなしです。それでも目をつむり、信じてか細い関係を続けていくしか選択肢が思いつかなかったのです。
 何がきっかけだったかは忘れましたが、最後は振られてしまいました。悲しいと思う反面、もう振り回されなくていいんだ と安心もしていました。

 兎にも角にも、初めての彼氏がこんな調子だったので、休みの日はぜーーったい会いたい!というのが全く理解できなくなりました。月に一回だって年に十二回も会えてるじゃんとか思ってしまうのです。良いとか悪いとかではなく、そういう物の見方もあるということです。

  次はフィジカルの話。私はもともと筋肉が好きで、当時照英に熱を上げていたくらいでした。とは言いつつも前述の初めての彼氏はかなり華奢で、でもデブとかぽっちゃりとかは無理~ と思っていたタイプでした。しかし、初めての彼氏と別れ、次にどうしたらいいか分からなかったとき、とても惹かれる殿方が居ました。ユーモアのセンスがあって、頭は良いはずなのにそれをひけらかすことのない奥ゆかしさ。ああこの人の特別な人になりたい、他の誰かではなく私が、と初めて思った人でした。けれどかなり、体型で言うと好みではありませんでした。言うなればデブ。マイルドに言うとがっちり。数値を見たとき「う~~~~~~~~~ん」と悩みました。全くタイプではない。けれど好き。でもデブ。その背反する価値観は「デブでもいいじゃん!」と変容しました。タイプな人を好きになるのではなくて、好きになる人がタイプになる、そういうタイプの人間となりました。痘痕も靨。三枚目くらいがちょうどいい。
 結局どうなったかって? 勇気を出して告白したところ「数日前に彼氏ができていた」ということを報告されましたよ。じゃあ、私の方が早かったら とはとても聞けませんでした。好きになる人がタイプ という教訓とともに、勝負は速攻で決めねばならないと胸に刻まれました。

 その速攻の判断は、果たして良い結果をもたらすのかどうか。次回つづれたらつづりましょう。

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